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カテゴリ:薬物・薬効・薬害
「解熱剤処方しましょうか?」
「坐薬なら持ってます」 「粉とシロップもありますよ」 「坐薬だけかと思った・・・」 7才の女の子。夏カゼ40℃で受診しましたが、元気に駆け回っております。 聞いたら、38.5℃になると、「かかりつけ医の言うとおり」、元気に駆け回っている児を押さえつけて、パンツを脱がせて無理やり坐剤をお尻に突っ込んでいたそうです。 これは「虐待」です。嫌がるのを無理やりも大変ですが、坐剤を入れられるのが好きになったら将来もっと変大です。 解熱剤は「解熱鎮痛剤」です。子どもの解熱剤は大人の鎮痛剤(頭痛・歯痛・生理痛の薬)と同じものです(冷やして痛みを止める)。 大人は痛みを楽にするために使うので問題ありませんが(治ってはいない)、子どもは数値を下げるために使うから問題がおきるのです。 39℃・40℃あっても元気に駆け回っていれば使う必要はありません。 元気がなくなってもクーリングや汗を拭いたり衣服の調節でも十分です。もちろん、嫌がったら冷やす必要すらありません(嫌がることをするのは看病ではなく嫌がらせ)。 当科では「解熱剤は良くないよ」と説明しながらも解熱剤は処方します。 母は理解しても家族が騒ぎます。持っているだけで、見せただけで家族は安心します(親の精神安定剤?水戸黄門の印籠?)。 その場合、もっとも安全な解熱剤のアセトアミノフェンにも坐剤(アルピニー、アンヒバ)と散剤(カロナール細粒)と錠剤(カロナール錠)と水薬(カロナールシロップ)がありますので、使い分けることが必要です。 えっ?、講演会で「坐薬は親の精神安定剤だから子どものお尻に突っ込んでもうるさいばあちゃんの口に突っ込んでもどっちでもいい」って言ったって? 毒多ぁが、そんなお下品なことは、言うわけがありません。「同じ1個使っても、絶対使わないつもりが1個坐薬を使ってしまった!(ゼロ個を基準にするマイナス思考)よりも、本来3個使うところが2個減ってよかった!(減らせた分を感謝するプラス思考)で看病しましょう」というお上品な講演会です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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