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カテゴリ:国内トピックス
【門倉貴史の眼光紙背】第6回:求められる「セリクラ」への規制強化
男女に出会いの場を提供するという触れ込みで、90年代末頃から大都市部を中心に店舗を増やしているのが、「セリクラ」という新手の店舗型出会い系ビジネスである。 「セリクラ」とは、女性とデートする権利を訪れた男性客に競り落とさせるオークション形式の店で、現在のところは条例などによる規制の対象外となっている。もともとは、アメリカのオークションにヒントを得て考案されたものだ。 「セリクラ」の具体的なシステムは次のようになっている。 男性客は入会金(3千円程度)を支払って会員登録する。登録をすませると、1時間数千円の個室使用料を支払って店内の個室に案内される。各個室にはテレビモニターが設置されており、女性が来店する都度、このモニターに番号札と年齢をつけた女性が映るようになっている。男性客は気に入った女性がいれば手元の入札伝票に(1時間のデートをするための)落札価格を記入して投票する。複数の投票があった場合には、最高値を提示した客が落札することになる。 デートする権利を落札した客は、店の外に女性を連れ出して食事をしたりするというものだ。女性のほうも、モニターで客の容姿を確認することができ、気に入らなければたとえ落札されてもデートを拒否することができる。つまり、男女の思惑が一致した場合のみデートが成立するというわけだ。平均的な落札価格は4千円~5千円程度だ。 「セリクラ」は、テレクラや出会い系サイトなどと違って、事前に相手の容姿が分かるという点が売りとなっている。しかも、オークション形式になっているので、自分の容姿に自身のない女性が参加してくる可能性は低く、容姿に関して自然淘汰の原理が働くメリットもあるという。 「セリクラ」は一応男女間の出会いを仲介することをうたい文句としているが、実際のところは、登録している女性のほとんどが女子中高生などの未成年者で落札価格の一定割合(通常は2割)を店側に支払っているという。極論すれば、店側が売春目的で男性と女子中高生を引き合わせているといってもよく、「セリクラ」は一部の「出会いカフェ」と同様、テレクラ、デートクラブ、出会い系サイトにかわる新たな「売買春」の温床となっている。 そうしたなか、悪質な「セリクラ」業者については摘発されるようになってきた。たとえば、2001年4月には埼玉県に出店していた「セリクラ」が、女子中学生に売春をあっせんしていたとして摘発された。この女子中学生は1時間7千円で落札されていた。この店に登録していた女性は100人にのぼり、そのほとんどが中学生、高校生などの未成年者であったという。99年11月に開店してから、摘発されるまでに延べ約1600人の客が訪れ、月商およそ100万円、累計640万円の売り上げを記録していた。 また2003年8月には、大阪・ミナミでも「セリクラ」が摘発された。この店では、客から入場料3000円を徴収したうえ、最低落札価格を1000円に設定して、競りを行っていた。男性300人、女性50人が会員登録をしていたという。 しかし、摘発された業者は氷山の一角にすぎず、いまなお多くの「セリクラ」が営業を行っているというのが実情だ。「セリクラ」は、究極的には「人身売買」にも結びつく危険なシステムであるという認識のもと、政策当局には、出会いの場の提供を隠れ蓑にした「セリクラ」に対する規制をさらに強化していくことが求められている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年11月08日 09時07分05秒
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