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カテゴリ:韓国で日本語を教える
さかのぼり日記。 ソウルの大学で、所属学会の冬季国際学術大会があった。 今回は私も「北原白秋『真珠抄』論-「短唱」を中心に-」という題で、口頭発表。 午前11時半からだったので、早めに出て、10時前に会場に到着。 来年度会長をされることになっている師匠が握手で迎えてくださった。 私の発表には、萩原朔太郎の研究者であるS先生が討論者として、貴重な意見を出してくださった。 白秋の第4詩集『真珠抄』(1914)は、白秋中期の作、貫通事件の後、東京から三崎へ移ったころを題材にした一風変った詩集である。 すでに前年、第一歌集『桐の花』を発刊していた作者が、短歌や俳句とは一線を画す新しい詩のスタイルである「短唱」を多く収めている。 常に新しいものを生み出そうとした白秋の実験作の一つであったが、このあたりから日本の「伝統」に接近をはじめ、評価が大きく分かれ始める。 高名な文芸評論家・磯田光一氏は第三詩集『東京景物詩』(1913)までは何とか読めると評価するが、それ以降については関心を示さなかった。 しかし、『真珠抄』以降の白秋詩は、評価するしないにしろ、近代詩における「伝統」の問題など、未だ充分に明かされていない研究領域が残っているというのが、私の考えだ。 昼食は、朔太郎研究者で母校で学位を採られたIさん、韓龍雲(ハンヨンウン)と宮沢賢治の研究者シン先生、藤村の研究者チェ先生といっしょに。 午後は、吉林大学・宿久高先生の「中国の日本語教育と学会の現況」、林史典先生の「日本人の日本語力-課題と施策-」、そして、職場の先輩の発表を拝聴し、総会に出席した。 終了後、ボランティアの警備の建物へ急ぎ足で向かった。その建物では今年最後のボランティアだったが、着任してしばらくすると、雪がこんこんと降り始めた。
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最終更新日
2006.12.30 12:21:31
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