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EiliPrivate~思索の森…奇蹟を求めて~

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2018年10月27日
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テーマ:愛しき人へ(903)
カテゴリ:トランス
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自分が信奉していた聖者のような方が、何かに取り憑かれたように沈思し、しかも瞳が虚ろで虚空の中に漂っているような様子で、深くうなだれている姿を垣間見ることは…恐怖だ。たとえ、それが想像上のことでも。
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 見てはならない夢を見てしまった…というものだ。
  夢の中でさえも、心構えがなければ死んでしまいそうになる。
   動悸が止まらない。
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   あれは、もうひとりの<僕>だ。
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僕は何度かアーナンダや豊田くんの事が夢に出てきているけれども、その夢は、彼らの独房の中が多かった。
まず、この夢には「匂い」があるのだ。
壁のコンクリーに染み込んだ水滴の腐ったような匂い…
そこからいつも始まる…
見るのは昼間でも夜中でもいつでも不意に訪れる。
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■豊田亨くん
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凛として毅然な様子の豊田くんでさえ、法廷から自分の房に戻ると、嗚咽するようにうなだれ、倒れ込むような姿を何度も感じた。
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彼の孤独は、あの頃より感じていたが、今やそれを遥かに超える過酷な孤独が待っていた。
教団でも、彼は一際孤独で、お供物(※オウムの食事のこと)を頂く際にも、できるだけ人を避けていた。
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彼は朋友アーナンダの事に思いを馳せたりもしない…
もう、すべてが間違っていたのだから…
もう、何もかもが彼の元から奪い去られており、拠り所となるものは、教祖も朋友も神さえもいない…
こんな孤高の孤独の中に、彼は独りポツンといるのだ。
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ああ、癒せるものであるならば、彼を癒やしてほしい…
このブログに辿り着いて言葉を落としてくださる精霊のような方々も、100人居ても足らない…
彼はすべてを拒むのだ…彼に向けられた温かい視線があたっとしても、それに目をつむり、ひっそりと、極めて丁寧に退けるのだ。
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自分には、投げかけて頂く愛情を受ける価値もないのだと…徹している。
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この拒絶に、親も兄弟も友人も弁護士の方々も、為す術もなかったろう…
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それでいて彼はご両親に、こう告げて精一杯の配慮を忘れない。
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「ご心配には及びません、獄中で自殺などはいたしませんので、どうかそのような心配はなさらないでください…」
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なんという精神
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■井上嘉浩くん
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もうひとりの朋友の房の中はどうだっただろうか…僕はそれを見てきたかのように感じることができた。
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彼もまた過酷な法廷での戦いを終えて、己の房に戻るとき、一旦はほっと溜息をつく。
法廷で泣きはらした瞳は黒く大きく、それを包む瞼は腫れぼったい。
狭い独房の中で、最初のうちはテキパキと動き、身辺を整理する。そのふるまいに落ち込みがないように思われるのもつかの間
まるで堰を切ったように、うなだれるように、床に突っ伏すのだ…
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 ああ、なんてことを、僕はしちまったんだ…
  僕はなんてことを!
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倒れ込んだ身体は、嗚咽の中でエビのように丸まってゆく。
彼もまた、房の中で、慣れ親しんでしまった水滴が染み込んだコンクリーの腐敗するような匂いの中で、
後悔の念に包まれてゆくのだ。。。
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こんな状態が、23年間も続いていた。
一瞬も気の抜けない状況の中、彼は希求する…許されないとわかっていながらも「生」きること
生きて償うこと…これを目標としてゆく
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彼はこのような「絶望的な状況」でさえも、狭い道を打開して前へ進もうとする…
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■教祖・麻原彰晃
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精霊も悪霊も去っていった彼の独房の中は、極めて異様な惨状だった。
正常な精神による諦めや、精一杯の強がりな達観ももはや彼の表情にはない…
彼は自分の身体ですら、既に無視し諦めてしまっている…ただ悔いが残っているようでぶつぶつと何かを呟きながら、
壁のシミを見つめているのだ…
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彼はシヴァ神と会話をしている。
だが、以前のようには応えてくれぬようだった。
しきりに、「どうしてだ…なぜだ…」と繰り返し、壁のシミに訴えているようだった。
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威厳というものは、もはや消え失せてしまっている。
しかし、確かにこの男にかつて<何か>が宿っていたのであり、その器を、宿っていたものは、放棄したのだ。
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彼もまた、何にも増して、浮かばれない…
彼を乗っ取っていた精神ですら、彼のことをもはや見捨てたからである。
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Eili ...





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最終更新日  2018年10月27日 08時02分34秒
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