こちらは国立ロシア美術館展の図録です。
この時もギリギリで入館したのを覚えている。
流して見た訳でもなく、それでも余裕あって大方見られたから良かった。
これらの絵は時代も新しいから写実的である。
色も忠実である。
特に光の陰影が恰かもこの眼を通したかの如くはっきりくっきりしていたのには固唾を飲む程魅入らせるものだ。
ただ、やはり絵なので描き手の思惑が優先されていて現実には有り得ない構図ばかりである。
対象物というか、人物は全て横一直線に並ぶ。
ダ・ヴィンチの最後の晩餐のように無駄に奥行きのある部屋や、横に長っ細い卓に皆悉く中央に乗り出すような、そんな構図なのである。
言うなれば、漫画である。
キャラクターは決して背を向けない。
向いてるとすれば、それはたとえ人であっても最早人でなく、背景の一部に同化したものである。
しかしこうした絵も写真の技術が発達した後は受けなくなるんだよねえ…。
後はてめえ勝手のワケノワカラン俺様絵画ばっかりになると。
それでも、絵は過渡期だったんだろうけど。
甲乙付け難しだ。