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2007.10.02
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カテゴリ:博物館などの記録
右はこの図録を買った時に付いて来た手提げである。
生地自体は脆そうだ。

どうでもいいが。

今回この展覧会もギリギリの最中に行って来たもんで、余り多くは語れない。

唯、印象のみなら語れると思う。

文字通り、三点の新大陸文化の遺蹟を題材としている。
凡そ科学の名が付く博物館に於いて文字ではアプローチ能わぬ従来の文化系学問に代わって下支えしている有様だ。

文化系も科学の端くれなのだが、一先ず擱いとこう。

ここで言う科学的な扱いって何だろか?

文字以前の文化の民の遺伝子のことか?
或いは栽培種子とか。

上野の三館(東博、東美、科博)は時としてリンクしている。
常設展による違いだろうが。

今回感じた中で、この中南米の展覧会の主催者の言葉が、スペイン征服以前と後とによって違っているのではないかと悟った。

完全にヨーロッパの言語そのものだ。
言葉も生活様式もとっくのとうに失われていて、最早メキシコ(メヒクトリ)、グアテマラ、ペルーはヨーロッパのサブジェクトにしかなっていない印象である。

よく言われるのは生贄の存在であることだ。
果たしてこれ等の三点の文化のみ特別だったか?
ヨーロッパとて魔女狩りも似たようなもんである。

軌道修正して、これ等の展示と能書きを見るにつけ、我が国日本も彼等の国のような嘗ての状態と同じ過渡期にあるのではないかと思えて来る。

メソアメリカ・ラテンアメリカがイベロ言語に支配されていることは言うに及ばず。
人種もほぼ入れ替わっているだろう。
フランス人が己れらの源流を探る時何を手本にしたらいいかという話で、フランスはローマ文化の継承者でもあり、嘗てのガリア地方のケルト人の末裔でもあり…というのが続く。
イギリスなんかにしたら更にワケわからんだろう。
ケルト人の末裔でもあり、アーリアの末裔でもありノルマン人の末裔でもあり、ゲルマン人でもありアングル族やらサクソン族でもあり、ローマ文化を受け継いだり、フランス文化の継承者でもあり…。
ケルト文化はキリスト教文化にとって変わってしまったから、それ以前のことが全く判らない。
そういうことが新大陸でも行われたのである。

幸いにも遺物がかなり残っていたし、イスパニアの文字による記録も残っている。
ただ、イスパニアからの視点なので現地の人々にとって自分達の祖先の文化は彼等のフィルタを通してからじゃないと理解出来ないのが誠に憐れ。
詰まり、祖先は野蛮であることが前提である。
遂に彼等は自分達の言葉で自分達の謂われを語ること叶わなかった。

これは戦後の歴史教育に於いて馬鹿の一つ憶えの様に「夫れ楽浪郡の中南海に倭人あり…」と繰り返して憶えさせられるのと同じである。
神話はフィクションであることは分かっている。
ただ我々の言葉で歴史は語れないものなのか。
こうした構え方が今の言説を席巻しているように思われる。

保守主義なんてのも元々イギリス由来なのにそれをパッチワークに我が国の在り方として語らしめる風潮があった。

改革することが保守である、ということ。

馬鹿みたいだ。
イギリスの言葉そのまんまでよく恥ずかしくないなと思った。
日本の保守すべきものって全部ヨーロッパになってしまうではないかという矛盾は彼等には毫も思わなかったらしい。

これが過渡期なんだろう。
郵政も民営化されて、恐らくは負けっぱなしの我が国だから戦勝国の言い分の為すが儘に塗り変えられて、軈て戦勝国の劣化コピーになって行くのだろう。

負けたけれど、ずっと生き続けているではないか。
言いたいことだってある筈だ。

さもなくば、新大陸やアフリカの様に白人世界の秩序の下で価値観を拝まねばならなくなるのだろう。






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Last updated  2007.10.29 04:34:16
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