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2009.02.05
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気付かぬ間に、時が経ってました。

 

朋也も年を取ったか、目の下に隈が出来た。

隈と言うよりも、皺だな。

 

朋也の負のイメージは前半の省略される形でそそくさと済ませてしまった。

 

渚を喪ったその後のエピソードは殆んど、朋也のモノローグで片付けられてしまっている。

尤も、渚が死んだのかどうかも判らない見せ方である。

 

それを朋也は、「渚と出逢った事を後悔している」と言う言葉に収めてしまっている。

 

朋也の部屋は、不精髭の表情と共に荒んでいた。

ポストの表札は剥がされ、散らしも新聞紙も堆く積れた儘である。

しかし、それも早苗さんの足早い登場で部屋も綺麗に片付けられてしまっている。

早苗さんが来ると言う事で、髭も剃ってしまっている。

 

暗澹とする朋也を成るべく払拭させたい魂胆なのだろうが、これでは何故朋也が後悔しているのかと言う理由が判らなくなってしまう。

 

朋也に、哀しみに耽る時間を与えてくれない。

我々は(本当は、わたし)常に深淵の暗闇をも照らし続けるが如く太陽の輝きを見せ付けられたくないのだ。

 

人は孤独であると言う事を、どこで教わるのだろうか!

 

朋也は、哀しみを背負い込みたくないから、後悔していると思っているのだ。

 

人は悲しみを背負う事で、大きくなる。

 

朋也に同情するならば、偽善と厚かましさに彩られた光明の仮面で現れて、圧し掛かって来る厄病神を背負わされる事である。

 

時も間も押している。

安らぎを与えてくれない。

 

渚の忘れ形見である汐が朋也の前に現れた。

当然、汐を渚の親に預けっぱなしなので、接し方に戸惑っている。

 

焼き飯を作ってあげても、胡椒が効き過ぎて汐の口には合わない。

 

当たり前だ。

 

子供には未だ香辛料に耐え得る舌を持ち合わせていない。

焼き飯を嫌がり、白いご飯が欲しいと強請る汐。

ちゃっかりふりかけを掛け、お腹を満たす。

 

朋也の焼き飯を「いらない」と投げ返す汐。

汐はずっと「早苗さんは?アッキーは?」と朋也に問い続ける。

 

汐は朋也を自分の父親だとは分かっていても、ずっと育ててくれた祖父母の事が気になる。

恐らく古河夫妻は、自分達は汐の親ではないのだと教え込んで来たのだろう。

 

汐が二人を名前で呼んでいるのはそうなのかもしれない。

ポニョで宗介が親を名前で呼んだのとは違うが。

 

そりゃそうで、苗字が違う。

 

久し振りに対面して父親面するも、直ぐにその化けの皮は剥がれる。

あんまり構ってやる事もなく、唯時が過ぎて行く。

 

古河夫妻はまだ40代か?

しかし、朋也は老けた。正味26歳ってとこか。

 

寸尺も変化したかな?

汐と並んだ時には背が高く見えるのかも。

 

昼飯の買物とは言え、汐を置いて外出するのも、煩わしさから逃れたい気持ちだろうか。

それでも汐は付いて来る。

 

付いて来るのは、後悔しても宿命は纏わり付くからである。

 

汐は紛れもない事実そのもの。

 

現実からは逃れられない。

 

朋也は何時気が付くのであろうか。

 

それはこの作品を観させられる者へ語り掛けるかの様である。

 

エヴァンゲリオンの結末みたいに、現実に帰れってか。

 

臭作でもおんなじ様にプレイヤーに現実に引き戻そうとする。

 

結局、早苗さんから貰った切符を頼りに旅行へ行く決心が付くのだが、汐は幼い子供だから足取りも朋也に較べて遅い。

 

父に連れられる事が嬉しいのか、足取りも軽やかになり、そのままエンディングの汐のスキップへと重なる。

 

そう言う事だったのか。






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Last updated  2009.02.06 04:02:23
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