少年法の改正法案が衆議院を通過しました。
改正のポイントは、少年院への送致可能年齢の引下げです。家庭裁判所は「十二歳(前後一歳の幅あり)」をめどに少年を少年院に送致できるようになります。
少年法は、戦後まもなく制定されたとても古い法律です(昭和23年7月15日施行)。
◆少年法(最終改正:平成一八年六月八日法律第五八号)
第一条 この法律の目的は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の更生に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について徳悦の措置を講ずることを目的とする。
第二条 (1)この法律で「少年」とは、二十歳に満たないものをいい、「成人」とは満二十歳以上の者をいう。
(2)この法律で「保護者」とは、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護するものをいう。
施行後、第一条の「年齢区分」に手が入れられ、その後「無法地帯」だった十四歳未満に手が入り、今回の改正法案で十一歳の少年を少年院に送致できる余地が生まれました。
少年法が想定する「少年による犯罪」とは、戦後の社会的・経済的混乱期にみられた窃盗等の「社会の混乱や家庭環境が引き金になって犯された軽微な性質のもの」であって、昨今見られるような、社会を震撼させる性質の重大な犯罪は想定されていませんでした。そのため、法律の内容は、あくまで児童福祉的見地にたった内容になっています。
戦後、社会が変化し、少年による犯罪の質も変化しました。
ところがこの法律は殆ど改正されませんでした。
施行されて以来改正されなかった同法のおかげで、重大犯罪を犯した犯罪者が長きに亘り、「○歳だから少年」と刑事犯としての処罰を免れてきたのです。
少年犯罪の凶悪化に伴い、古すぎる少年法の改正の必要性が唱えられてきましたが、社会を大きく騒がせるような重大事件の続発をうけ、漸く近年厳罰化が進み始めました。
でも、犯人に科される刑罰の種類や程度が犯人の年齢によって異なるなんておかしいですね。
昨今の「少年犯罪者」の中にはテレビ報道などから「○歳だから、まだ大丈夫」と余計な知識を仕入れたうえで犯行に及ぶ者もいるそうです。
被害者へのインタビューでよく使われる「少年法の壁」という言葉。これに直面することが、いつかあるかもしれません。
家庭環境は確かに人を犯罪・非行に駆り立てる要因のひとつでしょう。しかし、本人の生来の人格もまた、犯罪を引き起こすかどうかの大きな要因のひとつです。
児童福祉の観点から矯正・更生を試みることは、必要な社会的仕組のひとつだと考えます。それらの試みが有効に機能する場合と無駄に終わることもあります。例えば再犯率の高い性犯罪者などは、刑期の満了を以ってあたら犯罪者を野に放っていることもあるのではないかと、昨今の事件報道を見て感じることがあります。
第二条に「保護者」の定義があります。
最近明らかになった事件に、小学4年生男児による同級生女児の"暴行"という事件がありました。
ZAKZAKの記事
この記事のその後の加害者側保護者の対応について、テレビ朝日の「ムーブ」という番組で採り上げていました。加害者の保護者が警察に「(被害者側から)恐喝されている」と訴えたり、「子供(息子)には手を出すな」と被害者の保護者を恫喝したそうです。
・・・もはや、保護者が責任を取るということは、「正直者が馬鹿を見る」にカテゴライズされるようなことなのでしょうか
この事件以前に起きた別の少年犯罪で、インタビューを受けた保護者が「少年だから!」とマスコミに言い放ったのを見た記憶があります。
せめて民事訴訟で賠償金を・・・という考えもあります。しかし、加害者側に支払の意思や能力がない場合、裁判所が支払いを命じても、賠償金すら取れないのが実状ではないでしょうか(国が支給する犯罪被害者給付金の支給水準は、自賠責レベルとききましたし)。
ちょっと例が違いますが、離婚後に子供の養育費の支払いを命じられた父親のうち、きちんと義務を果たしている人は全体の3割程度といわれています。
日本は法治国家なのだから、犯罪者は年齢に関係なく、相応の刑に処せられるべきと考えます。
尤も、肝要なのは厳しい処罰規定を設けることではなく、犯罪のない安全な社会を作り上げることです。加害者が刑に服したからといって、被害者・遺族が救済されるわけではありません。被害者・遺族が背負うもののほうが、重いのです。
例のごとく長々と書いてしまいました・・・
NHKラジオ講座のドイツ語やんなきゃ・・・。