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こんにちは、古木恵美子です。
今日もご訪問ありがとうござします。 私が実名で描かれています小説「毘怒羅の矢」(ヒドラのヤ)の紹介をしています。 今日のお話も昨日に引き続きまして、謎の生命体、M618と名づけられた生物と自衛隊の最前線の攻防パート3となります、その模様を取り上げています。 世田谷区は北烏山と言うところへ、主人公の亜兼 義直さんが上司の青木キャップに指示をされまして、M618を追ってやってきました。 そこで亜兼さんが見た自衛隊とM618の熾烈な攻防はまさに命がけの戦いでありました。 自衛隊のユンボが、M618の陣取っています、丘の下側を住宅もろとも掘り始めました。 そして、三日間、夜通しで掘りつづけたのです。 その穴は、二百メートル真四角で、深さは、三十メートル以上はあるのでしょうか。亜兼さんは思わず、呆気に取られて、立ち尽くしてしまいました。思い出したように、カメラのシャッターを切りました。 自衛隊は放水で、M618を掘った穴に落そうと言うのでしょう、亜兼さんは無理のような気がしました。すでに、放水は四時間を経過していました。土砂が流れ出しています。 「まてよ、一気に行くか」と亜兼さんに緊張が走しりました。そう思ったとたん未確認生命体の真っ赤なドロドロした山のような本体が縦に二つに裂け始めました。片割れの半分が、地盤ごと自衛隊の掘りました大きな穴に落下を始めました。 亜兼さんは、慌てて望遠鏡をカメラに持ち替えました。 物凄いしぶきを上げて、掘った穴にM618が落ちて行きました。 カシャ、カシャ、カシャ、そしてカメラのシャッターを切りまくりました。そのファインダーの向こうで、大隊長が叫んでいました「もう少しだ、頑張れ」 それから、三時間程して、残りの半分も落ちて行きました。その瞬間、隊員が一斉に笑顔で万歳が起きたのです。何度も何度もやっていました。もちろん亜兼さんは、逃さずシャッターを切っていました。 また大隊長が「まだ終った訳じゃねえぞ、次の段取り早くしろ」と、怒鳴りまくっていました。 「了解、タンクローリー、今入って行きます」 「よーし」タンクローリーが数台入って来たのです。そして、穴の縁から、液体を流し始めました。亜兼さんが望遠鏡で見ていると、すごい、鼻をつく匂いがしてきました。 「これは、ガソリンだ、風下はやばそうだな」慌てて、風上に回りこむため、移動を始めました。 穴の中からM618が、二〇メートルくらい腕のようなものを伸ばしていました。上に昇ろうとしているのかしら。放水車が、それを吹き飛ばしていた。タンクローリーが液体を穴に流し終わりますと、大隊長が「全員退避、退避しろ」と、叫び終わらないうちに、爆音が聞こえ出してきた。中央高速道の向こう側から、いきなり、数機のUH型のヘリコプターが現われました。 亜兼さんはカメラを構えたのです。 「それで、何が始まるんだ。エー」 M618が落とされた穴に、ヘリが除々に近づいていきました。穴の中のM618は時折、腕のようなものを伸ばすが、地上までは届かず、腕の先端を切り離して、赤い塊を飛ばして来ました。直径四~五メートル程の塊が、地上にドサと落ちてくるなり、赤い化け物が、何体も出て来ては、隊員に襲いかかって来ました。 隊員も、炸裂弾を浴びせ掛け、応戦していました。ヘリがホバーリングをして、合図を待っています。何か予感を感じるのか。M618が静かになりました。と言うより、次に起こるであろう事を、想定して、構えている様にも思えました。 時が来た。「撃て」合図を受けると、ヘリの操縦士が、ガトリングレバーの先端の発射ボタンのカバーを起こし、赤いボタンに指を掛けました。ためらうことなくボタンを押しました。ロケット砲が発射され、ヘリボーン攻撃が始まったのです。 亜兼はカメラのシャッターを切りまくりました。 M618がいる巨大な穴が、一気に火柱が上がり、天をや妬き焦がす程の威勢に見えました。火柱が渦巻いて、炎は物凄い轟音を、けたたましく鳴り響かせて、荒れ狂るい出しました。 M618はと言うと、青白く発光して、バリアを張り、ロケット砲や、燃えたぎる炎に、平然と対抗して身を守っていました。そしてヘリに向って、青白く光ったまま、M618の赤い塊を飛ばしてきたのです。 腕からいきなり切り離された。M618の赤い塊が一機のヘリに激突したかと思うと、その中から赤い化け物が現われてきて、機体を伝わって、ヘリに乗り込んできました。 機内で隊員が9ミリ拳銃で応戦しましたが、まるで利きません「ギャオ」隊員は腕をもぎ取られ、首を折られ、ヘリから投げ落とされました。 操縦士は、後ろから胸を拳で座席ごと討ち抜かれました。ヘリは失速して地上へ落下して行きました。地上の隊員達は、上空のそのヘリを見守るしか、なすすべがありませんでした。 思いも寄らず、ヘリが撃墜され住宅街のど真ん中に突っ込んで行きました。一気に真っ赤な炎が上がり大音声と共に大爆発を起こし住宅ごとバラバラに吹き飛びました。地上の隊員達は手を施す術がなく、歯噛みをして、激しく怒りを覚えるのみでありました。 地上に激突したヘリの辺りから、何体も、赤い化け物が現れて来ました。隊員たちは走りよって、怒りを込めて炸裂弾を赤い化け物めがけて撃ちまくりました。有無を言わさず、化け物をバラバラに吹飛ばしました。 隊員の顔には、心の苦痛と怒りが露わになっていました。 亜兼さんは、その表情を逃さずシャッターを切って隊員の怒りの思いを捕らえていました。 ここでの自衛隊と真っ赤なドロドロした山のような、M618との攻防の記事は 亜兼さんにとって始めて東京青北新聞の一面を飾ることが出来ました。上司の青木キャップを納得させるべく記事でもあったようでした。 今日はここまでです。 毘怒羅の矢(上巻) 兼子光雄|日本文学館|2007年 11月発売 単行本|ISBN/JAN:9784776515340 本体価格:1200円 (税込み:1260円) Amazon 7&Y 楽天ブックス e-hon クロネコブックス 紀伊国屋書店 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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