カテゴリ:藝術道
よりによって最終日、それも日曜日に「北斎展」に出向いたのです。
http://www.hokusaiten.jp/ 日経広告研究所の岡崎昌史さんからいただいた招待券を握りしめ、 せっかくの日曜日に早起きして、朝一番で並んだにも関わらず.... ああ、あわれ、一番手前の東洋館前のお庭から大行列。 そして、ようやく本館入口に足を踏み入れたと思ったら、 それは、お隣の会場の平成館まで館内経由で続いている 果てしない大行列の最後尾でした。 そして、なんとかかんとか平成館の会場にたどりついたと思ったら、 なんと修行時代の版画の前にさえ人だかりで作品が見えません。 しかもその行列は、なぜか動かないのです。 そこで、前半はさらっと流して、後半の「葛飾北斎期」に入ると、 みんな前半飛ばしすぎ、いや止まり過ぎたのか、 それなりに空いているから不思議です。 あの冨嶽三十六景は、さすがの人だかりでしたが、 私が好きな北斎漫画のこんな絵は、じっくり見ることができました。 しかし、圧巻だったのは「画狂老人卍」に最後の変態を遂げた後の、 艶かしい彩と筆致が冴える肉筆画の数々でした。 例えば、前北斎卍筆 肉筆画帖の画題の取り合わせは 蛙とゆきのした、塩鮭と鼠、蛇と小鳥、鰈と撫子、桜花と包み ....という不思議。 枯淡の境地とは程遠い色気と毒気が、生々しいのです。 また、羅漢図も北斎期のそれと見比べれば、 ああ、どちらが若い時に描かれたか、まず当てられないでしょう。 とても、こんな老人(自画像)が描いた絵には見えません。 そにしても、絶筆に近いという「富士越龍図」は、圧巻でした。 なぜか、この絵は晩年には珍しく、淡い水墨で描かれ、 枯れに枯れているように見えるのですが、圧巻でした。 やはり最後は、北斎も富士に招かれ、 龍までも見えてしまったのかと、ため息をついたのです。 幸か不幸か、前半に時間と情熱をかけ過ぎた、 冨嶽三十六景で心満たされてしまった 多くの聴衆は、この最後の作品を通過してしまっていました。 もったいない....。 人生折り返し点のあたりで描かれた「日月龍図」も 美しく素敵ではありましたが、 この地味で小さな富士越龍図の、遠くに見える控えめな 龍こそが、本物の龍に見えました。 葛飾北斎、いや画狂老人卍おそるべし。 最後に、わがふるさと墨田区と北斎の話。 実は、私が小学生時代チャリンコを走らせていた 割下水(今は暗渠で大通り)沿いに、北斎の生地はあります。 控えめな墨田区は、彼の地に案内の棒杭を一本立てているだけ。 これでは、江戸博物館や両国国技館から 蕎麦の名店「ほそ川」に出向く人も見過ごしてしまうでしょう。 それから、わが墨田区は、 冨嶽三十六景を含む695展を誇る世界最大の北斎コレクション ピーター・モースコレクションを有しながら、 そして北斎ならびに小生の生地近くに、 まとまった広さの北斎美術館建設用地を確保しながら、 いまだに、それを知る人さえ少ないという寂しい状況です。 もし、計画されている世界一のすみだタワー建設にあわせて、 世界に誇れる葛飾北斎美術館ができたとしたら、 今回、国立博物館に駆けつけた以上のお客様が、 世界中から集まるかと思うと ....ちょっとコワうれしくなります。 ▼北斎展 http://www.hokusaiten.jp/ ◎ただいま久米繊維第二創業人財募集中! 久米 信行@縁尋奇妙 http://kume.jp/ http://t-galaxy.com/news/ http://jentle.co.jp/ http://t-galaxy.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.12.05 00:37:38
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