テーマ:社交ダンス(8696)
カテゴリ:映画のはなし
黒澤明監督の名作映画『生きる』のイギリス版リメイクです。
元の作品を見ていなかったので、物語も何も知らずにこの映画を見たんですが、心に沁みるいい話でした。 舞台は1953年のロンドン。 紳士たちは帽子を被り、蒸気機関車で通勤しています。 ピーター・ウェイクリングは市役所の市民課に就職し、その初日でした。 ウィリアムズ課長は厳格な人で、市民課の部下たちは一目置いています。 みんなの机の上には未処理の書類が山積みで、それが忙しい言い訳となっているようでした。 ピーターは初日から、お役所仕事の洗礼を受けます。 資材置き場を公園に変えて欲しいという陳情書を持ち込む婦人たちと一緒に、役所内の様々な課をたらい回しにされ、結局市民課に差し戻されるとウィリアムズ課長は当然のように書類を未決の棚に放り込みました。 ウィリアムズ課長は胃の調子が悪かったようで、検査結果を聞きに医師を訪ね、末期ガンで余命半年と言われてしまいます。 どうして良いか分からず、病院の待合室で女性たちの話題に上っていたリゾート地ボーンマスへ、初めて仕事をサボって出かけるんです。 ボーンマスって、毎年UK戦が行われるところですよね。 そこで知り合った作家の男に案内され酒場やストリップ小屋を渡り歩きますが、全く気持ちは晴れませんでした。 ロンドンに戻っても仕事に行く気が起きず街を歩いていると、転職を考えている部下のマーガレットに見つかってしまいます。 彼女は生気に溢れていて、推薦状を書いてもらおうとウィリアムズ課長が職場に戻るのを待っていたんです。 ランチを共にし話をするうちに、堅物のウィリアムズ課長は心を開いていくんですね。 息子夫婦にさえ言えない自分の病気のことを話すんです。 これがきっかけとなって、ウィリアムズ課長は仕事に復帰します。 残りわずかな命を燃やして、今まで保留にし続けてきた仕事に真摯に取り組んでいきます。 人間覚悟を決めるといろんなことができるものなんでしょうね。 先がないと分からないと、先延ばしにしてしまいがちです。 夏休みの宿題のように。 『生きる LIVING』(原題:Living)は、2022年のイギリス映画です。映像が古そうに見えたので、昔の映画なのかと思いました。 世界の黒澤の名作をどうアレンジするのか、ハードルは高かったはずですが、脚本をノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロが務め、オリバー・ハマーナス監督が見事に料理しました。 主役を演じたビル・ナイも、市民課のメンバーもいい味出してましたね。 自分だったら余命6ヶ月と言われた時どうするだろうと考えました。 いい映画でした。 心を潤す名作映画 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/07/24 07:05:29 PM
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