(Vn: T.Y.記)
午後の練習は、ヴァイオリンの七澤清貴先生にみていただきました。
自分は、昨年のクラリネット五重奏でも、オーケストラの弦分奏でも何度もお世話になっていたのですが、ホルニストとピアニストは初めてだったので、練習開始前は緊張した面持ちでした。しかし練習が始まると、先生の穏やかな語り口の中に、とても深いものを感じ、どんどん先生の話に引き込まれていきました。
また、ヴァイオリンの先生なので、実はピアノやホルンに関しては、失礼ながらヴァイオリン奏者の立場からのアドヴァイスがもらえる程度と思っていたのですが、とても具体的なアドヴァイスを頂き、本当に驚きました。
楽章毎に、最初に通してから細かく見ていただきました。
特に印象に残ったのは、
- 音量やテンポを、先を見越して計算するのは大事だけれども、計算していることがわかってしまうのはよくない。例えば、先に ff があるからここの f は少し落として、などと計算したときに、落としているのがわかってはだめ。
- 拍やテンポにとらわれすぎて、フレーズ感がなくなってしまっている感じがする。場所によっては、拍感を取り払って歌ってみるのも一つの手段としてあり。
といったところでしょうか。他にこまかいところは下記の通り。
1楽章:
- 冒頭のヴァイオリンの音程。B-F-E-F を全部 G 線で弾くのですが、運指番号で 2-3-2-3 と取ると F の音程が不安定になってしまうので、2-4-3-3 を採用していたのですが、そうすると 3-3 と移動した先の F が不安定になってしまうと指摘されました。どちらのフィンガリングも一長一短なので、短所を気をつけること。
- p dolce の表現ですが、自分たちは p を意識して、p の雰囲気の中で dolce を表現しようとしていました。先生のお話では、先生の師匠がその師匠から聞いた話で、その師匠はブラームスから聞いたという話だけど(でも、こういったたぐい話は眉唾物で、信憑性は疑問とのことでしたが)、dolce は p でも朗々と大きめになってもよい。また、メロディで小節の最初が八分休符のフレーズがあるのですが、この休符はなんとなく感じるのではなく、音符と同じように“休符を演奏する”とよい。
- ピアノは右手は小節の頭が八分休符で、左手が三連符の頭抜き、という部分が多々あるが、左手の休符を休みすぎないように。
- poco piu animato からのヴァイオリン、もっと不安な感じを現すといいのでは。そのためには、弓を大目に使うといいのでは。決して急がず、104小節目までは全体的につなげる感じがよい。
- 105小節目のピアノ、f が唐突になっているので、その前の<(松葉)から f に向かった方がよい。
- 105小節目のホルン、fp の p を小さ目に。
- 110小節目からのピアノ、左手がメロディで、右手の親指を弱めにする。
- 186小節目からのピアノ、ペダルを少なめにした方が、メロディがわかりやすいのでは。
- 234小節目からのヴァイオリン、アウフタクトの八分音符のスラースタッカートを軽くしないように。
2楽章:
- Aのヴァイオリン、弓をゆっくり準備して、ホルンとブレスをあわせるようにしたらどうか。
- Aの2連符を、3人で合わせて。
- Aの後の、タイで頭抜きの四分音符のリズムを正確に。
- 49小節目からのピアノ、レガートに。
- 111小節目、3人で合わせる。
- Cの5小節前からテンポを緩めて、Cからの八分音符をつぶがよく聴こえるように演奏した方が、leggiero らしく聴こえるのでは。そして、Eの4小節前からテンポを戻すのがよいと思う。
- Molto meno Allegro. のピアノ、右手の小指を大きめに。
3楽章:
- 3小節目は、前の1・2小節目と音形が違うので、前へ向かう感じがよいのでは。
- 21小節目のヴァイオリン、23小節目のピアノの入りは、オンタイムにこだわらず、前のフレーズの響きを聴いて、自然に入ってみては。
- 27小節目のホルンとピアノの入りは、合わせたほうがいよい。
- 68小節目から明るくなるので、f をしっかり。後で ff が出てくるからといって、f で抜いた感じにならないこと。
4楽章:
- ヴァイオリン、四分音符以上の長さの音は、すばやくヴィブラートをかけるとよい。
- 43小節目のヴァイオリン、最後をダウンで終わった方がいいのでは。
- 145小節目からの rit. は、もう少し緩めた方がいいかも。
自分たちだけの練習では、これ以上はどうしよう、という感じでしたが、この練習で新境地が開けた感じがしました。本当にありがとうございました。
夜はホールでの練習です。ぜひ先生練の成果を試してみたいと思います。