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カテゴリ:ニュース・社会うんちく
8月はじめのある日、渋谷で歓送迎会があった。会が始まるまで少し間があったので、時間をつぶすため、マークシティ近辺の書店に立ち寄った。そこでたまたま手にした本の中で、元「風俗嬢」ライターが”東電OL”について語った記事を読んだ・・・・。 いわゆる”東電OL殺人事件”については、被害者のプライバシーが、あることないこと過剰にマスコミで取り上げられ、報道とプライバシー、人権の問題となったこと、そして容疑者として逮捕されたネパール人が冤罪の可能性が高いこと、その二つについての大状況の認識しかなかった。 売れさえすれば捏造もプライバシー暴露も厭わない、週刊誌をはじめとするマスコミのやり方が野放図となっているこの国の状況、そして東南アジアからの出稼ぎ労働者を犯人にデッチあげて事件を片付けようとする警察・検察の姿勢、そういった人権後進国・日本の野蛮さと不公正さにうんざりという感覚はあったのだが、被害者の女性に関する知識は、東京電力の女性社員であったという事実以外ゼロに等しかった。更に殺人事件のあったアパートは被害者が住んでいたところという誤ったイメージすら持っていて、プライバシー暴露についても過去の異性関係が興味本位でマスコミに取り上げられたのだろうぐらいしにしか思っていなかった。要するにその日まで被害者について無知であったということだ。 渋谷の書店で偶然見た記事には、被害者の女性が常習的に売春を行っていたこと、円山町のいくつかのホテルで脱糞や放尿により部屋を汚し、出入り禁止となっていたこと、その原因がSMによる行為の結果ではなかったかと推測されていることなど、予想だにしていなかった内容に少なからず衝撃を受けた。繰り返し言うが、それまでは普通の女性会社員だとばかりと思っていたからだ。 事件のあった当時、被害者の女性は土日の昼間、五反田にあった「マゾっ娘宅配便」というホテトルを拠点として、そこからホテルへと向かっていた。 単に体を売っていただけではなく、SMの対象となってまでいたことに、何故そこまでやる必要があったのかと当然のごとく疑問が生まれた。もちろん行為に対して、少しでも高いお金を得たいということはあったのだろうが、しかし大会社の社員として安定した収入がありながら、SMの対象となってまでして更にお金を得ねばならないどんな事情があったのか・・・。被害者のプライバシーという次元を飛び越え、その謎に否応なく惹き付けられた。 ・・・・この事件、正確にいうと事件そのものではなく、事件によって広く知られることとなった被害者の生き方、日常生活について、そのプライバシーの扱いに関する見解は後で論ずることとする。 歓送迎会の時間が近づき、書店を出て、道玄坂を登った。実はそのコースがいつも彼女が円山町へ向かうコースと一致していようとは、その時はまったく知らなかった。文化村方面へ抜けるため、百軒店入り口から路地に入った。風俗店数店舗とラブホテルが続き、町名はまだ「道玄坂」であった。すぐに坂を下り、通りへ出ると、歓送迎会のあるビルにたどり着いた。普通の雑居ビルなのだが、2階入り口を直ぐ出たところがラブホテル街の坂道となっていて、ちょど街と街の境界に位置しており、坂と坂下とで見事に住み分けされている渋谷の街に妙に感心したりもした。 ・・・ その日以降、書店で立ち読みした記事と、道玄坂のラブホテル街のイメージが頭に残り、佐野眞一の『東電OL殺人事件』、そして続編となる『東電OL症候群(シンドローム)』を手にするまで、そう時間はかからなかった。だが、まさかここまではまってしまおうとは・・・。 (この話、断続的に続く) ●自ブログリンク:渋谷・円山町 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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