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テーマ:最近観た映画。(40095)
カテゴリ:review
そしてこちらが昨年のアカデミー作品賞。ボクサーの才能に全てをかけ、懸命に成功を目指す女ボクサーと、そんな彼女を煙たがりながらも次第にうち解けてゆく老トレーナーとの絆を描く、クリント・イーストウッドの手による「100万ドルの可愛い奴」。 いやぁ、さすがにこちらは見応えあった。以前も書いたがイーストウッドの作は役者使いが絶妙で、画的にも楽曲的にも内容的にも誇張抑えて且つ染み込ませるような巧さがある。 よって観る方としてもどこまでそれに染み染まる白さと厚さがあるかで、満足度が違ってくるとは思うのだが、それは内容、作りだけでなく、そういう役者や、撮影、楽曲……アートとまでは言わないけれど、それらを駆使することで作り上げられる映画ならではの見方や楽しみ方をどこまで感じようとするかで大きく左右されるだろう。 役者としてのイーストウッドは、顔をいじってあるのだろうか感情の表現には表情的に無理がある感じだが、役者向きのでかい口と目を兼ね備え、表情も豊富だが、美人でもなく戦闘的な顔つきはなかなか使いこなしが難しいと見ていたヒラリー・スワンクの役付けはよいね。次第に様になるファイティンポーズなどきめ細かい演出も冴えている。 お話的には、こういう展開はあまり好みではないのだが、なんかきめ細かく作り込むその姿勢が目を惹きつけ、「あぁこれでいんだよなぁ……」という気持ちにさせるラストまで引っ張っていってくれた。 色数落として、明暗でくっきり分けて暗はつぶして見られる明で画を作る、彼流の映像世界はこの作で完成の粋か。一見地味で鮮やかさに欠ける画作りながら、ハイビジョン映像がその凄みを克明に描き出し、極上の映像世界を堪能できる。音場感も派手さはないけど観衆のざわめきや質の良い楽曲が心地よく包む見事な出来映え。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.13 20:40:29
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