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テーマ:最近観た映画。(40093)
カテゴリ:review
と、今宵はそういう一昨年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した「フォッグ・オブ・ウォー」。 ケネディ、ジョンソンに至る、まさに危うい時代のアメリカ国防長官を務めたロバート・ストレンジ・マクナマラへのインタビューによって綴られる一作である。 政治・経済学のスペシャリストとしてハーバード大ビジネススクールでで教鞭とっていた彼は、戦時中得意の数値解析手法を活かし陸軍航空軍で戦略爆撃の解析および立案の仕事に従事。B-29による対日戦略を効率的として推し進めたという。その後当時経営難にあったフォードに入社し経営を改善し、初めて創始者一族以外からフォードの社長に就任して5週間、ジョン・F・ケネディから国防長官への就任を要請されその職に就き、人間的判断より論理的判断を優先した国防構想を実現した。その後あまりに効率の悪いヴェトナム戦争の戦闘停止を提言しジョンソンと確執が生じ長官を辞したと言われる。 履歴をざっと見れば、そういう調子の冷徹な効率主義振りであまり良くは言われなかった人だが、一応公職にある身の自分としては、上辺だけのヒューマニズムや義理人情と唱え、実は保身に走ってるだけのような管理職よりは、よっぽどこういう公と自分の立場に則った徹底した姿勢を持って、その責任においての判断を的確に指示してくれる管理職こそ欲しいものだし、実際それで救われる部分が相当あると思うのだが、賢くなれば狡くなるし、足も引っ張られるだろうし、国から県、町、層が下がれば愚人に合わすもより必要だろうし、ともかく人の世中々効率だけで動きはせぬもの。 大体この人だとて、キューバ危機やヴェトナム戦争など、正な理論は結局通用しなかった見える部分もあるわけだけど、劇中でも語っていたように、話すわけにはいかないもっともっと酷く狡い部分が真実として存在し、そこに何よりも自分の身の効率を優先した対処を行っていった結果、最終的に世界銀行の総裁のポストまで就くことができたのだろうな。 構成は彼へのインタビューを主体に当時の映像が差し込まれるありがちなものだが、編集の巧さで引き込んでゆく。そしてその表情の変化を克明に描き出そうとするインタビューの撮影シーンは緻密なハイビジョン描写による極上の仕上がり。音作りの方はほとんど必要ない作だがそれに不満もない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.14 21:07:28
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