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カテゴリ:健康グルメ
いちご煮(青森県八戸市)
「いちご煮」と聞いてウニ、アワビを思い浮かべる人はちょっとした食通だろう。この料理を名物としている八戸は、寒流と暖流が交わって好漁場とされる東北太平洋岸にあり、ウニが棲みつく磯浜が多い。禁漁が解かれた直後の6月、いちご煮の味を求めて八戸の港を訪れた。 ■新鮮なウニとアワビで作る漁師のぜいたくな浜料理 早朝、深い霧に包まれた八戸市街から港へ車を走らせた。春から初夏にかけて、北東から吹く冷たい季節風“ヤマセ”の影響で、八戸は濃霧に覆われる寒い朝が多い。ウニ漁の解禁は5月から7月まで。ほぼヤマセの時期と重なる。 鮫浦漁港に着き船着場で待つと、海上の靄(もや)をかき分けるように1隻の小型動力船が近づいてくる。八戸鮫浦漁協の福嶋岩雄さん(59)が素もぐりで獲ったウニの小山が、甲板に2つあった。 「八戸は“ムラサキ”の北限と“バフン”の南限がちょうど重なる辺りなんだわ」と福嶋さん。キタムラサキウニはエゾバフンウニに比べ、トゲが長く、黄色の身はあっさりとした味。飲食店のウニの多くは!)!)ムラサキ!)≠セという。 水揚げしたウニは主婦たちが“身”を取り出して洗い、市場に出せる状態にする。「せば、これ食べてみるべ」と、福嶋さんが容器にキタムラサキウニをすくってくれた。口に入れて舌で押すと、弾力のある身は溶けるようにくずれ、海水の塩味とともにクセのない、独特の甘みが広がった。ちなみに!)!)身!)≠ヘウニの卵巣のこと。産卵期の夏を待って卵が増えるので、今が旬になるというわけ。 いちご煮の名称は、昔の漁師が汁に浮かぶウニを朝靄の中の野いちごに見立てて名づけたそうだ。 「わらし(子供)のころはよく食べでだな。がっぱりウニが入ってだなあ」と福嶋さん。 一緒に入れるアワビは、ウニと旬が重なり、生息場所も同じ磯なので同時に収獲しやすい。食べごたえも増す。 たくさん獲れたときは、大鍋の熱い潮汁に材料をたっぷり入れて食べ、タンパク質など栄養価の高いウニと汁で体を温めたのだろう。のちに、近在の旅館が椀に盛って吸い物として出すようになり、ウニ、アワビの高価格化とあいまって高級料理になっていったらしい。 家庭でのいちご煮の作り方を教わるため港を後にし、陸奥湊にある前森セチさん(77)宅を訪ねた。ご主人は元魚問屋。集まってくれたのも漁業に関わってきた方たちだ。「こっちゃの人も、今はあんまり食べないさ。正月と結婚式くらいだなぁ」と前森さんが言うと、周りのみんなも「んだ、んだ」とうなずく。 作り方は、市販のコンブ・カツオのダシ汁を水で薄め、そこに酒、しょうゆ、砂糖と薄切りのアワビを入れる。この汁を、生ウニを盛った椀に入れるだけ。ダシを使う以外は昔の漁師料理と変わらないシンプルさ。それでも家によって味が異なるというから面白い。前森家のいちご煮は、ダシ汁のあっさりした甘さとウニのうま味が合い、食べやすい。アワビのコリコリ感、青ジソの風味も利いている。 ほかにウニと米を炊き込んだ「ウニめし」、ゆでた真イカとその肝を混ぜた「イカのとも和え」、海藻のアカバギンナンソウをすりつぶして固めた「あかはたもち」など、浜料理が食卓に並んだ。「うんめなぁ」と皆さんの顔がほころぶ。 膨れたおなかを抱えて外に出ると、霧は晴れて日が出ていた。ヤマセ吹くウニ漁の季節が過ぎたあと、八戸に短い夏がやってくる。(文/福崎圭介 写真/佐藤新一) 旅行読売8月号より (2007年7月10日 読売新聞) おまけ<今日8月5日は何の日?> 1913年のこの日、岩波茂雄が岩波書店を創立しました。1962年には、マリリン・モンローが睡眠薬で自殺しました。 ご投稿を歓迎します。ハーブのご利用についてのご質問もお気軽にお寄せ下さい。 ご参考情報:美容とリラクゼーションにおすすめのハーブ :世界の一級品チリ・コエサム社オーガニックローズヒップ製品 <hidechan1229:オーガニックハーブサプリメント専門店eサプリ東京店長> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年08月05日 11時11分19秒
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