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カラヤン生誕100年記念 サントリーホール カラヤン・フィルム・フェスティバル [監督]アンリ=ジョルジュ・クルーゾー [出演]ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ▼日時:2008 4/5(土)3:00pm ▼会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール) ▼プログラム: ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 「運命」 リハーサル付、日本語字幕付、1966年制作、モノクロ(51分) 座席:6列6番? サントリーホールのブルーローズで行なわれた、「カラヤン・フィルム・フェスティバル」に行って来ました。2008年4月5日のこの日は、カラヤンがちょうど100年前にこの世に生を受けた日でした。 プログラムは、ベルリン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 「運命」の演奏がリハーサル付きで収録された、1966年製作の映画です。ステージ壁に設置された大きなスクリーンに、その内容が映し出されました。実はこの映像、2005年に既にDVDの形で発売されており、購入すれば見ることのできるものです。しかし私は、初めてのサントリーホールということもあって、自身の記念とすることにしました。また、自宅では味わえない大画面の迫力ある映像を楽しむことができたのは良かったと思います。 この映画で興味深かったのは、「運命」の演奏を鑑賞する前に、この作品をカラヤンがいかにオーケストラと共に形にしていくのか、その音楽の作り方を第二楽章を題材に解説していることです。私たち聴衆側は、ホールでは完成された音楽を聴くことになりますが、それが出来上がるまでの過程を見ることはまずありません。カラヤンがこの映像を残そうと考えたのは、まさにそれを見せることが目的であることを、冒頭のインタビューで語っていました。 この映画で、私は恐らく初めてカラヤン自身の声を聞きました。私が想像していたのは低音の渋い声でしたが、実際は高めで、どこにでもいそうなドイツ人のおじさんという印象を受けました。しかし、音楽に対する彼の考え方は実に真摯で、細かいところにまで行き届いており妥協を許しません。 会場での指揮者の姿は華々しく映ります。でも、その舞台裏は楽な仕事ではないことをこの映画は教えてくれました。指揮者自身がオーケストラから引き出して聴きたい音は何なのか、それが明確になっていなければならない、とカラヤンは語ります。指揮者の考えが、きちんとオーケストラに伝わっている必要があります。理想の音が出てくるまで、何度も根気よく意思の疎通を音楽によって楽団員たちと図るのです。 こうして出来上がった音楽が、その後の演奏によって披露されました。この時のカラヤンの「運命」のテンポはイメージよりも遅め、音程は少し高めな気がしました。音質は古いため、さすがに良くありません。編集もカラヤンらしく、優美に見せるためにあとから張り合わせた箇所が幾つか感じられました。しかし、このオーケストラ特有の凄みのあるサウンドと、高い集中力で演奏する奏者の姿が楽しめた、貴重な歴史的資料だったと思います。 上映終了後、ウィーン楽友協会の協力による「カラヤン特別写真展」を見ました。ウィーン楽友協会内に展示されていたカラヤンの写真の幾つかに加えて、下の画像のものも展示されていました。 展示品の内容は以下の通りです。 ・カラヤンの指揮棒: ウィーン楽友協会「カラヤン・チクルス」における1954年11月17日の公演 (チャイコフスキーの交響曲第4番)の途中で、先端が折れたもの。 ・カラヤン自身の書き込みのある楽譜 ・ウィーン楽友協会所蔵のカラヤンの未公開写真、他 この中では、やはりカラヤンが実際に用いた指揮棒とスコアを興味深く拝見しました。特に先端の折れた指揮棒は、彼の得意としていたチャイコフスキーが熱演だったことを物語る貴重な展示品の一つです。 このフィルム・フェスティバルは、この日を皮切りに毎回違った作品によって4月11日(金)まで行なわれます。「運命」の上映は今後も2回あります。興味のある方は、行かれてみてはいかがでしょうか。 1日1回の応援クリックをよろしくお願いします! ↓↓↓↓↓↓↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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