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カテゴリ:コンサート

倉敷市民会館リニューアル・オープン記念


マリス・ヤンソンス指揮
バイエルン放送交響楽団


ソリスト五嶋みどり(ヴァイオリン)

ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団


[指揮]マリス・ヤンソンス
[ヴァイオリン]五嶋みどり
[管弦楽]バイエルン放送交響楽団

2009 11/7(土)2:00pm 倉敷市民会館


~ Program ~

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61

~休憩~

チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64



~ アンコール ~

ハイドン:セレナーデ(弦楽四重奏曲 Op.3-5 第2楽章)



座席:S席1階11列右9番

倉敷市民会館(座席表)




 11月7日(土)午後7時に倉敷市民会館で行なわれた、マリス・ヤンソンス指揮・バイエルン放送交響楽団の演奏会に行ってきました。拙ブログの開設記念の一環で、わざわざ遠くまで足を延ばしました。この指揮とオケを聴くのはこれが2回目です(前回は2007年来日時)。

 ソリストは、ヴァイオリニストの五嶋みどりさん。演奏は今回まったく初めて聴きました。白の下地に、ピンク系の大きな水玉が幾つも施されたドレスでのご登場です。彼女が演奏するベートーヴェンを非常に楽しみにしておりました。

 会場へは自宅から自家用車を走らせました。(まさに奇跡的に)ギリギリに到着したため、台数の限られた駐車場には当然のように空きありませんでした。しかし偶然、会館の門扉の前になぜかスペースが生まれて、そこに駐車することができました(もし駐車できなかったら、他の駐車場を探す時間が取られて、五嶋さんの演奏は聴けなかったです)。

 会場はリニューアルされたばかりの倉敷市民会館。私自身は初めて訪れました。事前に音響には難があると聞かされていましたが、今回のリニューアルで幾らか改善がなされていたようです。チケットは、今回のツアーの中では破格である上に、人気指揮者、人気オーケストラ、人気ソリストだったため早々に完売した様子で、会場は満席でした。

 オーケストラの配置は、弦が左から第1・2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ。これら中低音の右手後ろにコントラバス。左手奥にティンパニ、その隣りに金管、前に木管セクション。この配置は、恐らくチャイコフスキーの演奏を意識したもので私自身も理想とするものです。

 開演になると、オーケストラのメンバーが拍手と共に登場。その後、ソリストの五嶋さん、そして指揮者のマリス・ヤンソンス氏が燕尾服の姿で現われました。さあ、いよいよ演奏会が始まります。


ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

 コントラバスが2プルトであることから、弦楽五部は逆算して「12型」だったと思います。よって、管は古典派二管編成。

 私は五嶋さんの演奏に集中していたため気づきませんでしたが、この同じ演奏会に行かれた方によると、最初オーケストラに珍しく緊張がみられた様子だったようです。でも、第1楽章のカデンツァ後あたりから本領が発揮されたとのことです。

 (初めの方で、どこからか周波数の高い雑音が数分間、断続的に聴こえてきたのが残念。)

 それにしても、五嶋さんのヴァイオリンは実に素晴しい。冒頭は、まるでステージからせり上がってくるかのような入り方。その後、あたかも彼女にスポットライトが当てられたようにその存在感を表わしてゆきます。淀みのまったくないヴァイオリンの音色。オーケストラとの呼吸も驚くほどピッタリです。

 ヴァイオリンを目いっぱい響かせ、音量もたっぷり余裕を感じました。一音一音に説得力があり、聴いていて自然に音楽へ引き込まれてゆきました。何しろ、このベートーヴェンの作品を熟知しておられて、テンポの揺らし方と強弱のつけ方が本当に端正で巧み。音楽に施された表情が大きな感動を覚えるほど、とても豊かで多彩。華やかで歌心いっぱいのベートーヴェンなのです。

 過去に神尾真由子さんと川久保賜紀さんの演奏を聴きましたが、五嶋さんのベートーヴェンは、実績からしても円熟度からしても(申し訳ありません)彼女らを遥かに凌いでいました。開演に間に合い、最初から五嶋さんの演奏が聴けて本当に良かったです。もう、すぐにこの日から彼女の大ファンになってしまいました。

 終演後のサイン会に並びました。本当に感動したのに、「素晴しい演奏でした。ありがとうございました」という月並みの感想しか言えなかったですが、サインと握手もしていただき、とても嬉しかったです。

五嶋みどり(サイン)



チャイコフスキー:交響曲第5番

 コントラバスは4プルトに。弦楽五部は「16型」。後期ロマン派二管編成。

 2007年来日は強行スケジュールだったらしく、バイエルン放送響の持つパフォーマンスは、十分には披露できていなかったそうです。でも今回は、その実力が遺憾なく発揮されていて、たいへん感動的で素晴しい演奏を聴くことができました。指揮者のマリス・ヤンソンス氏も、そしてオーケストラも、その姿は大きな躍動感に溢れていました。

 いやいや、第1楽章から圧倒されてしまいました。非常に厚みのあるオーケストラの響き。非の打ち所のないアンサンブル。音楽が流れるように、また力強く進んでゆきます。実に均整がとれていて、かつとても熱い演奏。感動のために身震いして涙が出そうでした。この楽章が終わった時点で早くも、「凄い、完璧」と心の中でつぶやきました。

 私の最も好きな第2楽章。遠くで素朴に、しかし存在感いっぱいに響かせるホルンのソロは感動的。思わずため息の出るような美しさです。第3楽章は速めのテンポでしたが、それでも乱れることはなく、細かなリズムも緻密な演奏でした。

 そして第4楽章。ああ、重厚な弦の響きが雄大。オーケストラが一つの大きな塊となって、グイグイ音楽を引っ張ってフィナーレまで突き進んでゆきます。ここでも押し寄せる音楽の波に圧倒されそうでした。残念だったのは途中、音楽が完全に止まったところでフライング拍手が入ってしまったこと。しかし演奏が終わると、「ブラヴォー!」の嵐と割れんばかりの拍手が会場内に響き渡りました(アンコール曲は、ハイドンのセレナーデ)。

 これまでチャイコフスキーの5番を様々なオケで聴いてきましたが、今回の演奏が自分の中では間違いなく「ナンバーワン」です。ヤンソンス氏の指揮者としての実力をまざまざと見せ付けられました!バイエルン放送響のレベルの高さにも非常に驚きました。この余韻を大切にしたくて、しばらく他の演奏を聴くのは控えたいくらい。次回の来日が楽しみです!





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Last updated  2009年11月08日 22時20分00秒
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