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カテゴリ:旅
妙好人とは、野にあって、特に宗教的な教養等ないにもかかわらず、高い宗教的境地を具 現している人をいう。鈴木大拙氏が、その著書「妙好人」で紹介した浅原才市(才一ともいう) がその一人である。 作家の水上 勉氏も、才市に惹かれたひとりで、彼の即席を追い、その名も『才市』という作 品を書いている。それによれば才市は、雲州温泉津(ゆのつ)の生まれで、若い頃は大工とし て出稼ぎ等、旅の空を転々としたが、故郷温泉津に帰っては、下駄職人として暮らした。そし て下駄を作る合間に、下駄を削ってできるカンナ屑に、1万を越える念仏を称える唄を書いた という。 それはたとえば、こんな唄: 「仏と話をすることは 称名念仏これが話よ」 「世界虚空がみなほとけ わしもそのなか なむあみだぶつ」
高校の恩師のK先生は、常々『歌わぬ詩人』と言う言葉がお好きであった。自らをも含め て、日々の生計(たつき)に追われて、言葉にはならぬがその存在を懸けて世に向き合う態度 をこう表わしたもの、と不肖の弟子はこう解釈するのであるが、いまだその境地には到ってい ないわが身を恥じるばかりである。 12年ほど前、たまたま勤め先の出張で、米子に行く機会があり、そのついでに温泉津に足 を伸ばし、才市のよすがを辿ってみた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.24 01:14:16
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