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カテゴリ:絵画.・アート
入院中に何冊か本を読んだのだが、この本だけは、読みきれなかったのが、篠田節子作「讃歌」である。女性ヴィオリスト(ヴィオラ奏者)の生涯を主題とした小説であるが、某新聞の連載されたもので、その時の挿絵が、遠藤彰子画伯であった。新聞掲載時は知る由もなかったわたしで、この夏の遠藤画伯のつくばの展覧会で、初めてそのことを知り、遠藤画伯のHPで、全イラストレーションが公開されているので、挿絵のみ先行して読んで(?)いたが、いったいどんな話であるかと、今回の入院の無聊をなぐさめるため、病院に持ち込んだのだった。 ところが、この単行本、表紙や中扉の装画からして遠藤画伯の絵ではなく、字だけの単行本である。(マァ、ショウセツナンダカラ、アタリマエトイエバ、ソウナンダケドネ) 読み進んでいくうちに、もういけない。遠藤さんのイラストは、ここをどう描いているかなぁ、とそればかりである。病院なので、当然ネット環境なんて思いもよらない。結局あきらめて、退院後遠藤さんのHPを見ながら小説を読むという楽しみを今日から開始することとした。 つくばでの展覧会の折、老年の男性が、この新聞小説の連載が始まり、遠藤画伯がその挿画を担当するということが発表されたとき、「『こりゃぁ、大変なことになったな』と思いました。」と、おっしゃっていた。毎日作者の原稿に向き合って、真剣勝負で、挿画を描く作業は、たいへんな精神の緊張を要する、と遠藤画伯ご自身もエッセーで打ち明けていた。 そんな甲斐あって、挿画は、小説を読むと挿画の情景が、挿画を見ると小説の中のシーンが想い起こされてくる、という出来であると思う。今日はちょっと所要で、夜になるまでお預けだが、秋の夜のなによりの楽しみである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.11.22 10:08:03
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