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カテゴリ:絵画.・アート
夏目漱石といえば、「こころ」や「それから」と言った謹厳なモラリストというイメージの作家であるが、「夢十夜」という作品は珍しく耽美的・ファンタスティックな彩りのなされているもので、わたしのお気に入りの作品である。 その第六話に、「運慶が仁王像を彫り出す」という話がある。運慶は鎌倉期の仏師であるので、多分技法は寄せ木造りで作ったであろうが、彫像の世界では雄渾な金剛力士像を始めとしていくつもの名作の作り手として、神様的な存在であろう。瞬く間に彫り出される仁王像を彫っている運慶は、その手際に感心する「わたし」に、「木の中にすでに存在しており、仏師はそれのなりたい形を取り出すだけである」という。 これは、まさに一木彫をイメージした情景ではないだろうか。 今回、さまざまに彫られた仏像を見ることが出来、古の人々が仏像に託した祈りを垣間見る想い、ひとしおであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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