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カテゴリ:絵画.・アート
最初に華宵の絵に逢ったのは、わたしが小学生のときだった。扁桃腺肥大症を患っていたため、冬になると決まって高熱を出していたわたしは、あまり外遊びをせず、家で本を読むことのほうが多かった。 ある日、学校の図書室で、ジョルジュ・サンドの「愛の妖精」という本を借りてきた。初めて読むちょっと大人の世界に加えて、物語世界へ引き込ませてくれたのが華宵の挿絵だった。睫毛バシバシの、華麗で憂いに満ちた登場人物の描写は、ロマンチックなサンドの物語世界にふさわしいもので、病気がちのわたしは、すっかり虜になってしまった。 つぎに華宵の挿絵を見たのは、アルセーヌ・ルパンシリーズの「813」だった。「愛の妖精」とは、全く趣の違うミステリーであるが、最後に絞殺されるドローレス・ケッスルバハ夫人の妖艶な姿が、今も鮮やかに脳裏に焼きついているくらい鮮烈な印象を受けた。 後年、このシリーズがあった講談社の「少年少女世界文学全集」を手に入れるべく、神田を始めとする古本屋を探してみたが、いまだに発見出来ずにいる。また、弥生美術館で見た華宵の作品の中にも存在していなかった。 また、後年講談社の依頼による挿絵原稿の新発見があり、それを展示した展覧会が静岡アートギャラリーで開催され、見に行ったが、その中にも上記の2作品の挿絵は存在していなかった。 http://www.art.shizuoka-city.or.jp/old/program/takahata.html 華宵の故郷である愛媛に「高畠華宵大正ロマン館」があり、いつの日か訪れてみたいと願っている。願わくば、そこにこの2作品の原画が眠っていて、めぐりあえることを夢みている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.02.18 00:20:24
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