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カテゴリ:絵画.・アート
少女雑誌の挿絵画家の、夢見るような眼に星の入った表現が、実際にストーリー性や性格をもって歩き出し始めたのが、いわゆる少女マンガであろう。 初期の少女漫画家、牧美也子、わたなべまさこ、今村洋子に加え、後年に絶大な影響を与えた水野英子の展覧会が弥生美術館で開催されたのは、数年前のことであった。弥生美術館の守備範囲が、少女マンガをも内包するものであるということは、少女マンガ世代のわたしには、非常にうれしいことである。 江戸期の読売や洒落本・黄表紙といった読み本にルーツを持つ、明治・大正期に始まった円本ブームは、印刷技術の発展に伴い、大衆による文化の消費という現象を倍々ゲーム的な規模でひき起こしていく。挿絵という形で、アートの世界もその潮流に巻き込まれていく。それは、読売や洒落本、黄表紙といったメディアの相方として浮世絵があったのと同じ様である。 しかし、消費されるという形での広まりであるがゆえに、消費されつくしたサブカルチャーは、時代の流れに埋もれていくわけであるが、そのつかの間のきらめきを、美術館という形で留めておいてくれる弥生美術館の存在意義は、これらの画業の収集が単なるノスタルジーではなく、大衆というサイレント・マジョリティーの精神的・文化的遺産の収蔵という意味で、多大なものであると思う。 鹿野氏の偉業に、厚く感謝したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.02.19 09:05:34
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