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カテゴリ:絵画.・アート
絵金の絵は激しい。 芝居の名場面を描くのであるが、ほとんどのシーンが「死」や「血」に結びつく。衣装も赤や青、緑の原色をこれでもか、とたたきつける。 赤岡町にいくまで、わたしは「無残絵」と、いう観点からのみ、絵金の絵を見ていた。何らかの怨念を抱いて、このような激しい絵を描くに到った屈折した人物であろうとの先入観を抱いていた。それが、激動の時代とあいまって、絵金の「おどろおどろしい」世界をつくりあげているのだろうと。 ところが、実際は違っていた。 赤岡では、絵金は、「絵金さん」なのである。 赤は、魔よけの色なのである。 絵金のデフォルメしきった芝居絵は、当時芝居見物が禁じられていた庶民の、なによりの娯楽であり、喝采を持って迎えられていたという。 土佐には、「怨霊が海を越えてやってきて、たたりをなす」という言い伝えがあり、その怨霊を魔よけの赤で駆逐するべく、激しい赤を使った絵金の画を、家の玄関に掲げて、怨霊を玄関で跳ね返すのだという。 絵金の屏風絵は、家の宝物なのだ。 実際、「百聞は一見にしかず」とはこのことで、情念の画家と思っていた絵金が、赤岡へ行った事により、全く別の姿をあらわしたのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.13 08:38:36
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