|
カテゴリ:絵画.・アート
蔵の観覧の最中、それでなくとも、ほの灯りの中で絵金の絵と一対一の差し向かいで居たとき、不意に照明が切れ、真っ暗闇になってしまった。チキンなわたしは背に何かの気配を感じたような気がしたため、急いで入り口に戻ってしまった。今から考えるに、その日は絵金の命日であったというから、何かがいたずらをしたのかもしれない。 折りよく、そのとき団体さんが入ってきた。 館員が説明をしてくれるというので、一緒に団体さんに混じって説明を伺いながら展覧した。こんどは怖くない。 一階はお祭りや絵金の収蔵庫の蔵の穴、復元された絵馬提灯、床に六尺ゆたかな大男絵金のフィギュアがあり、大好物の酒を呑みながら絵を描くさまを表わしたコーナーがあったり、泥絵の具と道具の展示があったりして、屏風絵の世界をいろいろな角度から見せてくれる。 展示場所の隅にらせん状の階段があり、そこを上ると今度は「おどろおどろ」でない絵金の姿を見せる展示となる。 土佐であった地震の様を書き付けたものや、絵巻物として残っているものも、屏風絵などとは、随分趣のちがったものが展示されている。江戸に狩野派の修行に出た際、葛飾北斎に傾倒し、影響を随分受けたそうで、どちらかというと北斎漫画に近いタッチであるかもしれない。 そして、絵金の生涯を上手にまとめたビデオを見るコーナーがあって、それで展示は終わりである。コースとしては、絵金のことをよく知らない人は、まずこのビデオコーナーを見てから一階へ降りて、展示を見、二階へ上がってここに戻ってくるというコースなのだそうである。但し、団体の場合二手にわかれ、先にビデオを見るコースと、今回のように一階の展示から説明付きで廻るコースが設定されるそうである。 二階からおりたところはミュージアムショップになっていて、絵金の絵をデザインしたTシャツや手ぬぐい、パンフレットや絵葉書の販売、町内のお店で作っているグッズなどが紹介されているコーナーがある。入り口を出たところに喫茶コーナーがあり、コーヒー、紅茶、お薄(落雁つき)各200円でいただくことが出来る。 また、蔵の正面は、絵金まつりに伴って行われた地歌舞伎(絵金歌舞伎というのだそうである)をが演じられた「弁天座」が、現在復元建設中であり、7月の絵金祭り近くに竣工の予定である。今年の絵金祭りの楽しみはいや増すにちがいない。 あとで知ったことだが、この蔵は農協の米倉庫を改修したもので、町の人々が奔走したことで、当初の予算より随分安く取得することができたのだそうだ。また、蔵の運営も、町の人がボランティアとして参加したり、Tシャツや手ぬぐいを手作りで作成する有志の会が結成されたり、町ぐるみで、大切な財産を守っていこうという気概にあふれた蔵であった。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[絵画.・アート] カテゴリの最新記事
|