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カテゴリ:絵画.・アート
ムンク「二人の姉妹」が展示されている青山ユニマット美術館には 優品が多く展示されていて 中でもエコール・ド・パリの作家たちについては粒よりのものが多かった が わたしのお気に入りは、これ ジャン=フランソワ・ミレーの「犬を抱いた少女」 かわいいでしょう?ゆき猫みたい! 「晩鐘」「種まく人」などの農村風景で知られるミレーですが こんな可憐な作品も残していました。そして、もう一人のミレー 「オフィーリア」の作者です。 もうじき日本にやってくる(8月30日~)この絵は シェイクスピアの作り出した悲劇的な人物オフィーリアの その愛に殉じた末期の美しさを極限まで追及した、ミレーの最高傑作であり その細密に描かれた人や草花は、まるで生きているかのような風情をとどめている。 この絵に触発された人物の一人が夏目漱石であり その作品「草枕」の、ミレーの絵画への言及がある 「なるほどこの調子で考えると、土左衛門は風流である。 スウィンバーンの何とか云う詩に、女が水の底で往生して嬉しがっている感じを 書いてあったと思う。 余が平生から苦にしていた、ミレーのオフェリヤも、こう観察するとだいぶ美しくなる。 何であんな不愉快な所を択んだものかと今まで不審に思っていたが、 あれはやはり画になるのだ。 水に浮んだまま、あるいは水に沈んだまま、あるいは沈んだり浮んだりしたまま、 ただそのままの姿で苦なしに流れる有様は美的に相違ない。 それで両岸にいろいろな草花をあしらって、水の色と流れて行く人の顔の色と、 衣服の色に、落ちついた調和をとったなら、きっと画になるに相違ない。 しかし流れて行く人の表情が、まるで平和ではほとんど神話か比喩になってしまう。」 (夏目漱石「草枕」第7章:出展は青空文庫による) 漱石が「不愉快なところ」としたオフィーリアの背景は しかし、イギリス人の感覚からしたら、やはり美であり また、背景の中に描写される草花には象徴的な意味が込められているという ヤナギは見捨てられた愛 イラクサは苦悩 ヒナギクは無垢、 パンジーは愛の虚しさ 首飾りのスミレは誠実・純潔・夭折 ケシの花は死を意味しているのだそうである。 ジョン・エヴァレット・ミレー展は8月30日より 東京渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催されます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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