|
カテゴリ:絵画.・アート
昨年出光美術館で開催された「ルオー大回顧展」はすばらしい企画だった。 実は、この出光のルオーコレクションに吉井氏が深く関わっている。 清春白樺美術館に一通の手紙が展示されている。 パリに滞在中の梅原龍三郎画伯が ルオーの絵に出会った感動を書きなぐりに近い書体で伝えてきたものである。 これは、まさにルオーという「体験」を 梅原画伯が吉井氏に伝えてきたものであった。 吉井氏とルオーの出会いは氏が学生のときであったという。 ルオーの絵に魅せられ、氏は画商になることを決意 画商になれば、ルオーの絵に接することが出来る、という想いであったという。 画商になるため、飛び込みで画廊に就職し、10年に亘る丁稚奉公の後 1965年、念願叶って銀座に吉井画廊を設立した ( 中国新聞 「びんご人物記」 より ) 1971年ルオーの「パッション」シリーズが日本で公開された この企画を成し遂げたのが他ならぬ吉井長三氏である。 企画展が終了したら、この「受難(パッション)」という一連の作品は 散逸してしまう恐れがある。 それを惜しんだ吉井氏は出光興産の創業者出光佐三氏に 「パッション」を見せに行く このとき、出光佐三氏は持病の眼疾から、ほとんど視力が出ない状態だったという おまけに、氏の蒐集はそのときまで東洋美術に限られていた しかし その出光氏が、かすかに見えるルオー作品を 「これは、日本の画家の絵ではないのか」という感想を述べ その直感から、即座にこの連作油彩画の購入を決定したという。 この運命的な出会いから、出光美術館のルオーコレクションが生まれた 現在は、このキリストの「受難」をテーマにした連作絵画「パッション」をはじめとし 銅版画集「ミセレーレ」、ボードレールの詩に絵をつけた「悪の華」など 400点に及ぶルオーコレクションが出光美術館に存在している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[絵画.・アート] カテゴリの最新記事
|