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カテゴリ:旅
今回の北海道旅行にはいくつかの目的がありました。 まず、そのひとつは、ここを訪れること。
神田日勝は、1937年(昭和12年)に東京に生まれるが 1945年3月の東京大空襲のため東京を離れ北海道鹿追町に一家で疎開し そのまま鹿追町に定住した父の後を継ぎ、農業を営む傍ら画家を志した。 彼はベニヤ板にペインティングナイフやコテで力強いタッチで家畜や人物を描いた。 わたしが日勝を知るきっかけとなったのは、この絵 絶筆「馬」 体の半分で断ち切られたそのフォルムが何とも異様で 馬の禍々しい運命を感じさせるようで、驚き また、作者が1970年に32歳の若さでなくなっていることを知り ますます興味をそそられた。 1970年といえば、わたしは大学に入学した年 その年にはもう日勝さんはこの世を去っていたんだなぁ、と この作品だけで知っている人でしかないのに、無性に悲しかったものである。 3年前、主人と北海道に行ったとき、この記念館を最初に訪れた。 そのとき見た作品の数々は強く印象に残ったものである。 記念美術館は写真撮影禁止なので、発売されている絵葉書で中の様子を 一番奥に絶筆の「馬」が展示されているコーナーがあり それを取り巻くように日勝の作品が展示されている。 日勝といえば「馬」に代表されるようなセピアの画風と思われがちであるが 左手の壁にはフォーヴィズムの洗礼を受けたような 荒々しいフォルムと色彩の奔流が描かれた作品も展示されている 日勝が様々に表現の可能性を探った証であるが 32歳という享年はその可能性をも断ち切ってしまったことを 改めて残念に思わせるものである。
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