ＥＹＡＳＵＫＯの草取り日記

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• 素顔のハイドシェック

  　それは、一本の電話から始まったそうである。 　来日を控えたエリック・ハイドシェックから、高知パレスホテルのオーナーの吉村氏に、電話が入った。「来日のスケジュールをこなしたら、高知にヴァカンスに行くよ！その際、ピアノを弾いてあげるから、親しい人たちもご一緒にどうぞ。」　吉村氏と奥様は、自分たちだけでマエストロの演奏を聴ける機会を独占するなんて、そんな贅沢でもったいないことはできない。それなら、同ホテルが催している月曜会の中に取り込んでしまい、みなさんにこの機会を味わっていただこう。　そんな風に、３月７日のハイドシェックの夕べが決定したというわけである。　マエストロは、前日の大阪公演の疲れもみせず、上機嫌、愛用の黒い三角ストールを羽織って、待機場所の舞台横の衝立の影に脱ぎ捨て、黒いシャツとスカーフという、粋な格好で登場する。なぜ、そんなことをわたしが知ったかといえば、会場左隅の一番前の席がひょっこり空いて、そこへ移動したところ、ハイドシェックの待機場所横のレストランのドアが鏡になっていたため、すっかり見えてしまったのだ。　とにかく巨匠、上機嫌で登場。吉村氏の紹介も待たず、「こんばんわ。今日は『みどり』に合わせて、緑のスカーフです。京都のマロン･ホールでは、茶色だったけど、きょうは緑です。」と、英語で挨拶。あわてて、吉村氏が解説する。　「『みどり』とは、うちの家内の名前に「翠」という字が入っていて、それが「緑」を表す漢字であるとハイドシェックさんに説明したら、そのことを覚えていてくださって、今のご挨拶になりました。マロン･ホールとは、京都で親しくしている方のホールで、「マロン」は栗色のいみがあるので、京都で演奏した時は、茶色のスカーフを合わせた、と言っているんです。」と、説明がある。　そんな砕けた雰囲気で、演奏が始まった。　

  2007.03.08

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• 白のランチ

  　ロダン展を堪能したわれわれ一行が向かったのは、美術館内のレストラン「エスタ」。ここは、静岡市清水区の日本平ホテルの経営である。美術館の企画展にちなんだランチを提供してくれる。　今回は、テーマの「黒と白」にちなんで、「黒ノメニュー」「白のメニュー」というわけだ。「黒のメニュー」は、お肉で、オードヴルもつくため、2300円と割高。われわれは、１６００円の「白のメニュー」をいただくことにする。　メインディッシュは、鮭のソテー、ブールブランソース（バターの白いソース）。これが白の見立てである。こういったメニューの場合鮭がパサパサになりがちであるが、この料理は、表面はパリっとして、中は程よくしっとりとし、美味であった。　特筆すべきは、主食のパン。もちもちとした食感で、われわれは、不覚にも「おかわり」をしてしまった。取得したカロリーを消化すべく、帰路は歩いてJR草薙駅までかえることとする。　ロダンの世界を堪能し、また、美味しいランチまでいただき、この上ない幸せに浸った一日であった。

  2007.03.07

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• ロダン展(2)Noir et Blanc

  　これもモデルは、おそらくカミーユ・クローデル。黒は、ブロンズ。光を吸収し、重厚な味わいに。白は石膏または大理石。光を跳ね返し、やわらかなニュアンスを加味する。実際、ロダンの胸像は、男性はブロンズ、女性は石膏または大理石の作品が多いという。　展覧会は、ロダンとカミーユ・クローデルの胸像で始まる。ロダン像は、カミーユ作のブロンズ、カミーユ像は、ロダン作の石膏像。こちらは、型とりのためのつぎはぎが残っている。このつぎはぎが、ロダンとの愛憎に精神を病み生涯を終えたカミーユの人生を暗示しているようで、痛々しい。　なんだ、ロダンって、じいさんじゃない、こんな年寄りに狂うほどに焦がれてしまうなんて、どうしたのよ、カミーユ！と、思うけれど、ブールデル、マイヨール、荻原守衛そして当のカミーユと、ロダンの弟子は、みな個性豊かに花ひらいている。残されたロダンの作品も、すばらしいものばかり。たまたま男と女であったために、精神だけではなく、肉体のくびきをも背負ってしまったのだろうか。「地獄の門」のパオロとフランチェスカのように。　今回の展示物は、パリのロダン美術館の所蔵品を中心としての構成であったが、そこに色濃く漂うのは、カミーユ・クローデルの影であった。黒と白が相反し、また相補完するように、ロダンにとって、カミーユは、やはり、ファム・ファタル、特別な存在であったのだ。

  2007.03.06

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• 「ロダン　創造の秘密」展

  　静岡県立美術館で開催されている「ロダン　創造の秘密」展を見に行った。副題に「白と黒のロダン」とあるように、世に喧伝されているロダン作品はブロンズ（黒のロダン）が多いのだが、ロダンはブロンズ作品とは別に、同一主題の石膏像や大理石の作品（白のロダン）を作成している。　制作の過程からすれば、ブロンズ作品よちも、石膏や大理石のほうが、よりロダンの原型にちかいものといえる、という興味深いコメントがあった。　会場に着く前に迎えてくれたのが、この看板。「パンセ」と題された思索する若い美しい女性像は、ロダンの弟子であり、愛人であったカミーユ・クローデルがモデルであるという。　

  2007.03.05

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• 若きイザベッラ・デステ

  　年若の友人に、パリ土産の絵葉書をいただいた。折からMusee de Luxenburg　という美術館でティツィアーノ展をやっていて、日本ではあまり公開されることのないこの画家の代表的な作品が展覧されていたという。　ティッツィアーノといえば、官能的な「ヴィーナスとキューピッド」などの作品で知られているが、実は肖像画の名品を多く描いている。　その中の一枚がこれ、なんと「イザベッラ・デステ」の肖像である。いかにも意思の強そうな、若き女性。その野心の割りに、嫁いだフェラーラの国はあまりにも小さく、大国の思惑に振り回されながらも、かのチェーザレ・ボルジアを向こうに回して、一歩も引かなかった、イタリア・ルネッサンスの代表的な知性、とまで言われる女性。　ティツィアーノが、どのようないきさつでこの画を書くに到ったか不明ではあるが、そのきらきらしたまなざしは、豪華な衣装にも負けぬきらめきを放っていて、その後の彼女の活躍を語ってあまりあるできばえの作品である。

  2007.03.04

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• ルドゥーテのバラ（２）

  　送られてきたティーセットへの、もう一つの不満は、その色である。カタログでは、ブルーがトルコブルー（ターコイズブルー）に見え、赤いバラとの対比が際立ってみえたのだが、実物を手にしてみると、どちらも弱い色あいで、第一帝政時代の華やかさがあまり感じられないものとなってしまっていた。　もっとも、この製品、英国王立園芸協会（The Royal Horiculture Society:略称ＲＨＳ）のオリジナル製品であるという。ルドゥーテは、宿敵ナポレオンに愛された画家であるので、何か含むところがあった、というのは、勘繰りすぎであろうか。　なお、ＲＨＳの日本支部では、会員を募集中とのことである。　http://www3.ocn.ne.jp/~rhsj/

  2007.03.03

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• ルドゥーテのバラ

  　某クレジットカードのポイントプログラムの景品で頼んでおいたルドゥーテのTS/C（ティーカップ　＆　ソーサー）と、ティーポットが届いた。　ベルギーの画家ルドゥーテは、ボタニカルアートのミケランジェロとも言われた画家で、バラの画をよくし、ナポレオンの皇后ジェゼフィーヌに使え、「バラの画家」とよばれた。　http://www.oi-bijutsukan.com/item-0604002.html　平面で見て、これだけステキなので、このポイントプログラムにティーセットが入っているのを見て、３年ほど一所懸命ポイントを溜めて、本日待ちに待った納品があった。　ところが、ところがである。まず、第一に、これはこれでステキなのだが、やはり一流品の洋陶器にくらべると、肌あいが安っぽい。また、絵付けが、なんとも平板である。ルドゥーテ本人が絵付けをしているわけではなく、ルドゥーテの描いたバラの画を転写紙に印刷して、それをカップ等に貼り付けて焼成したわけだから、二重にオリジナリティから遠ざかっているわけだ。　以前、箱根のマイセン庭園美術館に行った時、ショップの管理人の女性が、マイセンの優れているところとして、バラの絵付けの立体性を主張していたが、たしかに、こういうものと比べてみると、曲面に書いた画（マイセン）と、平面に書いた画（ルドゥーテ）が、同じバラであっても、これほどに違うか、というほど違ってきている。　http://www.hakone-meissen.com/index.html　ちょっと嬉しく、ちょっとがっかりな本日であった。

  2007.03.02

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• 華麗なるハリウッド映画衣装展

  　アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた、菊池凛子さんは、惜しくも受賞を逃し、４０何年ぶりの快挙はならなかったが、このところ興行成績でも日本映画はハリウッドを凌駕しており、黄金時代の再来という声が高い。　しかし、個別にはたしかに面白い映画があるが、コマーシャルベースでの話題作というものをいくつか並べて見ると、同じような俳優の羅列で、いささかヘキエキする。　たしかに、器用で、うまい役者で、その映画の雰囲気にもあっているが、それがまた別の映画で似たような役どころをつとめたりしていると、ちょっと引いてしまう。また、映画で人気が出たら、テレビにも起用され（またはその反対）、いつの間にか人口に膾炙してしまう俳優も多い。　プロデューサーや監督としては、便利な役者なのだろうが、あまり多用されると、なんとなく興ざめしてしまうのだ。役者の層の厚さ、演劇理論の深さ、演じるということへの情熱といったところは、まだまだ日本はハリウッドに学ぶことは沢山あると思う。奢ることなく、映画に活気のある時期に、次世代への足かためをしてほしいものである。　閑話休題。　本日から１３日まで、東京駅八重洲口にある「大丸ミュージアム東京」で、「華麗なるハリウッド映画衣装展」が開催されている。　http://www.daimaru.co.jp/museum/schedule/tokyo/index.html　１９３２年の「令嬢殺人事件」のジョーン・クロフォードに始まって、「風と共に去りぬ」、「ジャイアンツ」、「恋をしましょう」、「マイ・フェア・レディー」といった黄金期から、「タイタニック」「ムーランルージュ」といった最近の話題作までの衣装が一同に会する催しである

  2007.03.01

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• 春のお菓子

  　今日、今年初めて庭でフキノトウをみつけました。だいぶトウがたっていて、お飾りで、一輪挿しにさしています。　春ですね。Burnetさんのブログで、入江麻木さんのお菓子を紹介したページがあり、四角いパイが出ていました。 　http://plaza.rakuten.co.jp/burnet/diary/200702150000/　ステキだったので、応用で、こんなパイを焼いてみました。オリジナルは、富士宮の「来路人」（キャロット）という喫茶店で一番人気のパイです。毎年いちごの出回る１月から３月限定です。　今日は、それを真似して、市販のパイシートで、四角いパイを焼き、いちごと生クリームでデコレーションして、EYASUKOバージョンの出来上がりです。いちごは、懇意の果物屋さんが、お菓子を作るといったら、安くしてくれました。　ティーカップは、ロイヤルウースターの「ロノーク」。ずっと以前にイギリスから通販で購入したもので、わたしのお気に入りのC & Sです。

  2007.02.28

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• ひなまつり（5）雛の吊るし飾り

  　先般、観光協会事務局長を公募したことで、全国的に有名になった伊豆稲取温泉であるが、ここは又、雛の吊るし飾り発祥の地として知られている。　http://www.inatorionsen.or.jp/hina/index.html　　「雛の吊るし飾り」は、ちりめん等で作られた小さな人形などを、赤い紐に吊るして、雛壇の脇にかざったもので、稲取で作られる吊るし雛には、「這い子人形」「おかだごろ」「三番叟」　「猿っ子」「うさぎ」、人形ではないが「座布団」「もも」「三角」という、いづれも可愛らしい形の飾りが吊るされている。　ホームページによると「江戸時代においてはお雛様を購入できるような裕福な家庭はまれで、せめて代わりに、愛する子供や孫の為に手作りの雛飾りで初節句を祝おうという、切ない親心から生まれた」のがこの吊るし飾りだということである。　「雛の吊るし飾り祭りは、３月３１日まで稲取温泉で開催されている。

  2007.02.27

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• ひなまつり（4）

  　♪灯りをつけましょ、雪洞に---で始まる唱歌「ひなまつり」の作曲者は、海野厚さん、奇しくも静岡市駿河区のご出身でした。　http://www32.ocn.ne.jp/~ginzanokaze/Nao/unno.htm　1925年に28歳の若さで亡くなった海野氏は、「ひなまつり」のほかにも「おもちゃのマーチ」「せいくらべ」など、後世に残る名曲を作曲しています。　つい、一週間ほど前、海野さんのご出身の静岡市立西豊田小学校で、「ひなまつり」を含む海野さんの楽曲を児童たちが演奏し、CDに納めたという記事がこちらの新聞に載り、テレビでも紹介され、それで初めて海野厚さんという方の存在を知りました。　改めて海野さんの遺した楽曲を思い出してみると、戦前の庶民の家庭の、豊かとはいえないが、のどかな在りようが浮かんでくるような気がします。なかでも、「せいくらべ」は、海野さんも含めて、この歌に歌われた世代は、第二次世界大戦では兵役の頃。この兄弟は、無事に戦時を越えて生きられたのか、と思うと感慨深いものがあります。 

  2007.02.26

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• エリック・ハイドシェック日本公演２００７

  　いよいよハイドシェックの日本公演がはじまった。会場の相模湖交流センターは、２０００円という破格の入場料の割りに８分の入り、もったいないことに、上の方に空席があった。　わたしは、かぶりつき。最前列の舞台向かって左側の５番、６番。まさにマエストロの神宿る手を堪能する至福の場所である。ピアノは、同センターにベーゼンドルファーがあるということで、期待していたが、ヤマハのコンサート用グランドピアノだった。　最初は、モーツァルトのロンド。少し緊張気味で、神経質な入り具合であったが、5年前の草津音楽祭以来のソロ演奏は、順調なすべりだしで始まった。第一楽章の終了の後、聴衆から拍手が出てしまったせいなのか、第２･第３楽章は続けて弾いていく。以後そのスタイルとなる。　以前コノブログにコメントをお寄せくださったchachatさんは、ハイドシェックの愛弟子で、来日直前のハイドシェックが、自宅でコンサートメニューを、お弟子さんたちに披露する様を、そのブログに書いてくれているが、その様子を思い浮かべながら、次第に勢いを増すハイドシェック節に引き込まれていく。　http://monchemin.exblog.jp/　プログラム前半の最後は、テンペスト。７０歳とはとても思えない、若々しさ溢れる演奏に、万雷の拍手である。この日の最高潮の瞬間である。　幕間、以前宇神幸男氏が、宇和島でのハイドシェックの様子に、その鍵盤を打つ力のすごさ、１ステージ終了後には、調律がガタガタになってしまう、ということを書いていたが、調律師の方が出てきて、入念に調律を始める。いまさらながらに、テンペストの熱演を感じる。　後半は、少しお疲れかな、と感じるところもあったが、なんとか無事プログラムが終了した。万雷の拍手の聴衆に応えて、アンコール一曲目は、定番のヘンデル。２曲目は、モーツァルト、３曲目は「今日はグリーグの誕生日なので」と、ラ・マルセイエーズのグリーグ風、そして、なんと４曲目までアンコールに応えてくださった。４曲目はバッハの美しい曲。　chachatさんのお話では、来日初日は、眠りが浅く、疲れることが多いとのことであったが、多少そのようなフシも見受けられたが、あれだけのテンペストを聴かせてもらえれば、言うことはない、という出来栄えであった。　アンコールの際、右手と左手が交差し、マエストロの左の親指を垣間見る。すばらしく大きな親指であった。　続く東京、藤沢、大阪の公演も期待できるのではないだろうか。また、アンコールの闊達な展開から、３月７日の高知での「カルト・ブランシュ」に、大いに期待を寄せるものである。

  2007.02.25

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• ひなまつり（3）

  　７,８年前、主人のお知り合いの方からのご招待で京都に旅行したとき、偶然４月の京都御所の一般公開に出くわした。　通常、御所の拝観は、宮内庁に往復はがきで、拝観人数等記入して申し込み、拝観日時の指定は先様がやるので、いつが希望などということは叶わず、一方的に宮内庁の指定する日に行かなければならず、勤めを持っているものには、とても実現不可能なペースでしか拝観できないのだが、４月･９月の１０日前後の一週間くらいに一般公開ということをやっており、混雑はすごいのだが（それとて、東京の人気のある展覧会の最終日付近に比べれば、ほんの数分の一くらいの程度である。）、行けば必ず拝観できるチャンスである。　それで、せっかくだから並んで見てみようということで、列に並んで、お庭の回廊を巡って、紫しん（うかんむりに辰）殿を正面に拝することになった。と、この建物、というよりは、建物の佇まいに見覚えがあるのである。　なんと、しん殿飾りのおひなさまの佇まいそっくりなのである。左近の桜、右近の橘も、雛飾りのとおりに設置されている。　男雛･女雛の一対のお雛様のことを「お内裏様」というように、もともと御所がモデルなのだから、当たり前といえばそうなのであるが、今更ながらに、その佇まいが忠実に再現されていることにカルチャーショックをうけたものであった。　もし、御所の拝観をおやりになっていない方は、４月の一般公開に一度おいでになることをオススメする。

  2007.02.24

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• ひなまつり（2）

   春の気配がもうすぐそこまで漂ってきている日常で、今年は特に春の訪れを楽しみにしている自分がいる。　なんでだろう？と、自問してみるに、生活にゆとりができたから、と自答する。地方公務員を３０年やってきて、思えば２月･３月は、事業の年度末の修羅場であった。２月下旬のこの時期は、年度末を控え、残る3０日余で、いかにして事業のまとまりをつけるか、３月末の人事異動の時期に、自分が転勤予定の時は更にであるが、自分は異動しないまでも、スタッフ・上司・トップのいづれかの異動は必ずあるので、事業の結末はつけねばならず、ルーチン業務に加えて、決裁をいただくためや、印もれ、申請もれ等のチェックをしていかねばならない。　それに、そういう焦燥にかられているのは自分だけではなく、他人もそうであるから、別の部署から、「今週中にこれやって！」だの「今年度の仮決算のために、この数字をまとめて！」だのの類が次々襲ってくる。　とても、優雅にお雛さまに想いをはせるなんてことはできない、ガサツな毎日となっていく。　その重石から突然開放されたのだ。　もう誰に遠慮することなく、日のうつろいを楽しめるのである。　我が家の庭も、現在梅の花が五分咲き、水仙は満開、これが１ケ月も経つと桜が蕾をふくらませ、花大根の紫がそこここに咲き乱れ、辛夷や紫と白の木蓮が花をつける。百花繚乱の季節がもうすぐそこまで来ている。　お雛様が春を連れて来てくれるものである、ということに初めて気が付いたわたしである。

  2007.02.23

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• ひなまつり

  　３月も間近になってきたので、テンプレートを「ひなまつり」に変えてみました。おひなさまは、形代（かたしろ）として、子供に降りかかる災厄や病を背負って身代わりになってくれるといいます。また、雛飾りは、早く出して早くしまうと、娘が早く嫁に行く等、庶民の生活に縁の深いものとなっています。　なにより、おひなさまの段飾りは華やかで、子供の頃は父が飾ってくれるのを心待ちにしていたものでした。　静岡県は、雛道具の生産が盛んで、地場産業の一翼を担っています。また、高松宮妃喜久子さんは、徳川慶喜の孫に当たる方で、慶喜が静岡に住んだ所縁からでしょうか、毎年「高松宮妃のおひなさま」展が静岡市のグランシップで開催され、多くの人が来場され、にぎわっています。　http://gship.jugem.jp/

  2007.02.22

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• 堀多恵子さん

  　立原道造記念館の館長は、堀多恵子さんでした。現在は高齢を理由に辞退され、後任の館長は定めず、副館長氏がその任を代行しているそうですが。　堀さんは、立原道造が縁の深かった堀辰雄氏の奥様です。　堀辰雄氏が亡くなってもう５4年年目になろうとしています。奥様の多恵子さんは、現在９４歳、思い出深い軽井沢追分に住まれて、随筆をお書きになったり、ラジオの番組を持ったりされているようです。　http://www.karuizawa.co.jp/editor/2007/01/post_35.html　図書館に堀さんのご本があったので、借りてきて今読み出しています。串田孫一氏の挿画・装丁になる美しいしつらえで、文章もすばらしく、すっかりファンになってしまいました。　９４歳の現在もしっかりとしていらっしゃる様子で、わたしもこのように歳が取れたらと、つくづく思います。　目標ができました。

  2007.02.21

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• 弥生美術館（6）：立原道造記念館

  　弥生美術館の傍らに、１９９７年立原道造記念館が建設された。２４歳8ケ月で夭折したこの詩人は、また東京大学建築学科に在籍した建築家でもあり優秀な学業に対し与えられる「辰野賞」の受賞者として、建築家としての将来を嘱望される青年でもあった。　この立原道造の遺した自筆原稿等を収蔵するため、記念館が発足した。館長は堀辰雄氏の奥様、堀多恵子さんであった。　http://www.tachihara.jp/index.html　甘くやさしいソネットを得意とし、また「風信子」（ヒアシンス）と号した立原の生涯は、ギリシア神話のヒアシンスの逸話そのもののように、またその夭折を惜しむことからも、多くの青年を魅了するに足るかぐわしさを放っている。記念館は、その青春期のノスタルジーだけでなく、立原の作品の普遍性を世に伝えていく趣旨をも持って創設された。　また、立原の設計になる「風信子ハウス（ヒアシンスハウス）」が復元され、さいたま市別所沼公園にあることも、この記念館のページでしることができる。　http://www.tachihara.jp/info2-8/index_1.html　ちなみに、今年の「風信子忌」は、３月３１日である。　

  2007.02.20

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• 弥生美術館（5）

  　少女雑誌の挿絵画家の、夢見るような眼に星の入った表現が、実際にストーリー性や性格をもって歩き出し始めたのが、いわゆる少女マンガであろう。　初期の少女漫画家、牧美也子、わたなべまさこ、今村洋子に加え、後年に絶大な影響を与えた水野英子の展覧会が弥生美術館で開催されたのは、数年前のことであった。弥生美術館の守備範囲が、少女マンガをも内包するものであるということは、少女マンガ世代のわたしには、非常にうれしいことである。　江戸期の読売や洒落本・黄表紙といった読み本にルーツを持つ、明治･大正期に始まった円本ブームは、印刷技術の発展に伴い、大衆による文化の消費という現象を倍々ゲーム的な規模でひき起こしていく。挿絵という形で、アートの世界もその潮流に巻き込まれていく。それは、読売や洒落本、黄表紙といったメディアの相方として浮世絵があったのと同じ様である。　しかし、消費されるという形での広まりであるがゆえに、消費されつくしたサブカルチャーは、時代の流れに埋もれていくわけであるが、そのつかの間のきらめきを、美術館という形で留めておいてくれる弥生美術館の存在意義は、これらの画業の収集が単なるノスタルジーではなく、大衆というサイレント・マジョリティーの精神的･文化的遺産の収蔵という意味で、多大なものであると思う。　鹿野氏の偉業に、厚く感謝したい。

  2007.02.19

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• 弥生美術館（4）：竹久夢二

  　華宵や彦造、将吉郎の挿絵は、江戸の読み本の流れをくむ、大衆小説という、マスプリンティングにより全国に広まっていったが、彼らの画はあくまでも挿絵、独立して絵画としての評価を受けるには、後年の鹿野氏による弥生美術館の創設をまたなければならなかった。　鹿野氏の大正ロマンは、必然的に竹久夢二に行き着く。夢二は、屈指のイラストレーターであり、流行歌作家であり、また数々の憂いを含んだ細腰の日本美人の画を描き、一世を風靡した。それこそ、マスカルチャーとアートの狭間を生き抜いた画家である。　鹿野氏は、平成２年、３０００点に及ぶ夢二コレクションを基に、弥生美術館から独立して、竹久夢二美術館を同一敷地内にオープンした。　http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/　また、弥生美術館の収蔵品も、硬派の大衆小説系の挿絵に加え、中原淳一、加藤まさを、内藤ルネなどの少女雑誌系の作品群に手を広げて行き、マスプリンティング美術を指向することとなっていった。

  2007.02.18

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• 弥生美術館（3）：華宵とわたし

  　最初に華宵の絵に逢ったのは、わたしが小学生のときだった。扁桃腺肥大症を患っていたため、冬になると決まって高熱を出していたわたしは、あまり外遊びをせず、家で本を読むことのほうが多かった。　ある日、学校の図書室で、ジョルジュ・サンドの「愛の妖精」という本を借りてきた。初めて読むちょっと大人の世界に加えて、物語世界へ引き込ませてくれたのが華宵の挿絵だった。睫毛バシバシの、華麗で憂いに満ちた登場人物の描写は、ロマンチックなサンドの物語世界にふさわしいもので、病気がちのわたしは、すっかり虜になってしまった。　つぎに華宵の挿絵を見たのは、アルセーヌ・ルパンシリーズの「813」だった。「愛の妖精」とは、全く趣の違うミステリーであるが、最後に絞殺されるドローレス・ケッスルバハ夫人の妖艶な姿が、今も鮮やかに脳裏に焼きついているくらい鮮烈な印象を受けた。　後年、このシリーズがあった講談社の「少年少女世界文学全集」を手に入れるべく、神田を始めとする古本屋を探してみたが、いまだに発見出来ずにいる。また、弥生美術館で見た華宵の作品の中にも存在していなかった。　また、後年講談社の依頼による挿絵原稿の新発見があり、それを展示した展覧会が静岡アートギャラリーで開催され、見に行ったが、その中にも上記の２作品の挿絵は存在していなかった。　　http://www.art.shizuoka-city.or.jp/old/program/takahata.html　華宵の故郷である愛媛に「高畠華宵大正ロマン館」があり、いつの日か訪れてみたいと願っている。願わくば、そこにこの２作品の原画が眠っていて、めぐりあえることを夢みている。

  2007.02.17

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• 弥生美術館（2）

  　　華宵に始まった鹿野氏のコレクションは、大正ロマンの担い手、大衆雑誌の挿絵の世界へ広がっていく。　岩田専太郎、伊藤彦造、山中将吉郎等の時代物小説の挿絵の一大コレクションである。現在志村立美画伯の展覧会が開催中である。　戦後の復興の中、埋もれていったこれらのサブカルチャーが、脚光を浴びだした昭和５０年代に、この美術館が創設されたのは、時代が彼らの絵を再評価するきっかけとなったのではないだろうか。

  2007.02.16

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• 弥生美術館

  　弁護士鹿野琢見氏により１９８４年に創設された弥生美術館は、弥生式土器の発見の地、東京大学本郷校舎近くの本郷弥生にある。　http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/　この美術館の礎となったのは、下記のようなドラマチックな出会いによるものであった。　少年期、鹿野少年は一枚の絵に魅せられた。それは、高畠華宵による「さらば故郷！」という絵であった。それは、きつい目をして、青雲の志を抱いて故郷を後にする少年を描いたものであった。後年、このに描かれた少年のように功成り、名遂げ弁護士となった鹿野氏は、雑誌の記事で作者の高畠華宵が老人ホームでさびしく余生を送っていることを知る。　華宵に、少年の日の想いを伝えた手紙を送ることから、二人の交流が始まり、鹿野氏の自宅に「華宵の間」が作られ、華宵はたびたび上京、復活の展覧会も開かれ、その余韻のうちに華宵は逝去する。　鹿野氏は、私財を投じて華宵の著作権を取得し、そのコレクションを公開するべ私設美術館を創設する。　これが、弥生美術館の始まりであった。　

  2007.02.15

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• １００００HIT御礼

  　細々と続けてまいりましたこのブログも、一昨日１００００HITを記録いたしました。　つたない文章ですが、いつのまにか毎日の生きがいになっております。昨年３月に退職して、papichan2222さんのお誘いでブログというものに巡り合わなかったら、わたしの生活はどんなに退屈なものになっていたでしょう。　ここを訪れてくださる、すべての皆様への感謝と、ご健勝・ご多幸をお祈りいたします。

  2007.02.14

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• 梅園の春

  　娘の通院のアッシーくんをやらされたついでに、近くの岩本山公園に立ち寄った。　折からの陽気で、梅が３分咲きといところか、鹿児島紅という紅梅は、早生品種らしく、５分咲き以上の開花状況であった。　面白かったのは、「加賀白」という品種で、これは白梅なのだが、ガクが赤みをおびているため、花が咲く前は、まるで赤い梅が蕾をつけているように見えるのだった。　今日はお日和も良く、大勢の梅見客が公園を訪れ、富士山を遠景に素人写真家が長タマを構えてシャッターチャンスを狙っている光景も見られた。　あたり一面梅の甘い香りに包まれ、仙境に遊ぶが心地の一瞬であった。

  2007.02.13

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• お悔やみに

  　今日は、先日亡くなった、お世話になった方の霊前にお線香をあげに行った。　息子さんが出てきて、昔その方から「○○」と聞いていたままに、つい「○○ちゃん！」と行ってしまったので、随分不躾なヤツとおもわれたかもしれない。「ごめんなさいね、昔お父さんと、そういう話をしていたので、つい」と謝って、話が始まった。　「親父は、倒れるまでいつもと変わらない生活をしていて、僕ら８０歳までは生きるとばかり思っていたので、まだ（亡くなったことが）信じられなくて」と、お父さんの存在感の今更ながらの大きさを語ってくれた、いい息子さんでした。　「生きてるうちに、逢いたかったね。」と、霊前を辞去してきました。ごめんね。本当に大切なひとこそ、いつでも逢えると思っていても、逢いにいかなければいけないんですね。 　

  2007.02.12

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• 日高川

  　「日高川」は、安珍・清姫伝説に基づく村上華岳の名作である。僧安珍への思いに焦がれた清姫がその後を追い、日高川のほとりへ来て、妄執やみがたく蛇に姿を変え川を渡り、道成寺の鐘に隠れた安珍を鐘ごと殺してしまう、という恋に焦がれた女の一念を、日高川のほとりの情景を描くことで表している。旅姿の清姫を描いているだけなのであるが、もの狂おしい思いに憑かれた女の気持ちの伝わってくる名作である。　これが伝説の中の話であると思っていたら、なんとアメリカで、女性の宇宙飛行士が、同僚の飛行士に恋した挙句顧みられず、その男性の恋人を襲うべく長躯1500ｋｍを車で１２時間ほどで移動し、相手の女性を傷つけた罪で逮捕された、というニュースがあり、まさにこの清姫を思い出してしまった。　逮捕された女性はご面相は様変わりしていて、まさに妄執の虜のような顔であった。人の執念の恐ろしさを見る思いである。

  2007.02.11

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• 突然の訃報

  　昔同じ職場でお世話になった方が亡くなった。　５年ほどまえに退職して、悠々自適で暮らされているとばかり思っていたので、突然の訃報に驚くばかりである。　山形で生まれ、中学を卒業して、静岡へ来て、苦労をして今の職場に来て、結婚もして、奥様の親御さんの面倒も見、家も建替えるという一所懸命な人生でしたね。静岡へ来たとき持った、「お金を溜めて山形に土地を求めて山荘の主人になるんだ」という夢は叶えられませんでしたが、朝起き野球をし、猟犬を育てて猟期が始まるのを待ちかねるように猟に行き、春蘭を愛でたいい人生でしたね。願わくは、もう少し長く生きていてほしかったです。　ちょっと歯欠けのいい笑顔のまま天国に行けたでしょうか。ご冥福をお祈りいたします。

  2007.02.10

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• ＪＡＬの再建について

  　社長さんは、部長並みの年収９６０万円で頑張るとのコトであるが、そうまでして再建を図らないと経営が立ち行かないところまでＪＡＬの置かれている状況は厳しいそうである。　突然何をいいだすかと言えば、高知行きの手段にフリープランという航空機とホテルを組み合わせた旅行商品を購入して、その価格に吃驚したからである。羽田--高知間の席の片道運賃が３万円くらいではなかろうか。ところが、このフリープランを使うと羽田--高知の往復の飛行機代プラスパレスホテルの宿泊がついて３万円なのである。　旅なれた方には特に驚くことはなく、正規運賃で飛行機に乗るなんて愚の骨頂である、といわれるかもしれない。が、しかし、この価格差は何なんだろう、と思ってしまうのである。団体でチケットを買い取る旅行代理店向けの価格であるから、正規運賃の半額以下で賄えるというのであるが、チケットの発券をみていれば、個人へのチケット販売と変わりはないように思われる。　逆にいうなら、個人はこの安い運賃分のコストを負担させられているということである。　これから団塊世代の大量の遊休現象がおきようという中、もっと個人を大切にする経営をしていただけないものかと思ってしまった。

  2007.02.09

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• ３月７日は高知へ

  　わたしの恨みがましい目線に負けたのか、珍しくも「行ってもいいぞ」と、高知へ行くお許しがでた。その代わり、１泊２日のあわただしい旅程である。　パレスホテルに電話すると、席はまだ大丈夫だという。一人分を確保。次に、旅行会社へ行き、高知パレスホテルを絡めた旅行プランを探してもらい、予約までしてしまった。　リサイタルは、「カルト・ブランシュ」（白紙委任状）。「レストランにシェフおまかせコースがあるように、ピアニストの興のむくままのリサイタルというものもあっていいじゃないか」というハイドシェックの言葉から実現した企画。　それにしても、料理に喩えるなんていうのは、さすが美食の国フランス人。粋ですね。どんなコンサートになるか、いまからわくわくする。

  2007.02.08

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• 白の料理、黒の料理

  　静岡県立美術館のレストランでは、開催中の「ロダン創造の秘密」展にちなんだ特別メニューが味わえる。展覧会の副題にちなみ、「白の料理」「黒の料理」と名づけられている。　http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/visitor/floorj05.html　このレストランは、日本平ホテルが運営しており、気軽に同ホテルの味が楽しめる。　日本平ホテルといえば、最近話題のドラマ「華麗なる一族」の万俵亭の庭は、ここのお庭とプールを使っ撮影されているのをご存知だろうか。　原作にある六甲山から神戸の街、海を一望の下に見渡せるロケーションということで、このホテルの庭園からの景観がイメージに合ったということだそうである。　 http://www.scg.jp/hotel/event/kareinaru.htm　　そうと分かると、ドラマで見渡しているのは、神戸の光景ではなく、子供の頃から見慣れた駿河湾を望む清水の光景であると分かり、ちょっぴり複雑なわたしである。

  2007.02.07

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• ロダン　創造の秘密：黒と白のロダン

  　静岡県立美術館で、2月4日から「ロダン創造の秘密」展がはじまった。　http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/exhibition/rodin.html　副題を「黒と白のロダン」としているが、黒はブロンズ作品、白はブロンズの原型をなす石膏彫刻及び大理石の作品をいい、フランス国立ロダン美術館の協力を得て、趣の違うこの3種の彫刻を並べることで、ロダンの創造過程や技法の違い等を明らかにし、創造の秘密に迫ろうと言う、意欲的な展覧会で、今から楽しみにしている。

  2007.02.06

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• エリック・ハイドシェック高知公演

  　ＭＩＲＬＩＮさんからの情報で、ハイドシェックの高知公演がわかった。演目は「カルト・ブランシュ」。白紙委任状という意味で、その日の雰囲気で演目が決まると言う、なんとも豪儀な演出である。おまけにディナーつき。　http://www.kochipalace.co.jp/event/ericheidsieck/index.html　あぁ、いいなぁ、うらやましい。ハイドシェックと高知パレスホテルのオーナー氏は、かねてより特別な交誼を結んでいて、その肝胆相照らす交友からこのような企画がうまれたものと思われる。　あぁ、いいなぁ。こういう企画ならかねてからじっくり聞きたいと思っていたドビュッシーも聞けるかもしれない。また、当然高知パレスホテルのお泊りだろうから、以前草津で遭遇したように、ホテルの朝食会場でご一緒し、つたない英語でお話しし、握手をしていただけるチャンスもあるかもしれない。と、わたしの妄想は止まるところをしらない。　でも、3月2日に東京に泊りがけででかけることとし、チケットも買って宿も予約してしまったので、7日に高知に行くなんて言おうものなら、亭主に離縁されてしまうなぁ。　あぁ、おととしも、情報の遅れから一番行きたかったレクチャーコンサートを逃してしまった。今回も、拙速のチケット手配のため、一番の機会をのがしてしまった。しくしく。壊れています。

  2007.02.05

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• フェルメールの青

  　『青いターバンの少女』は、47ｃｍ×40ｃｍという小品ではあるが、黒い背景の中、こちらを振り向き、唇を少し開き加減にした少女の表情が生き生きと描写されいる忘れがたい印象の作品である。　暗い色調が、しかし強烈な印象を与えるのは、少女が纏っている青いターバンの色が画面全体に鮮やかな彩を与えているからであろう。　この青は、アフガニスタン産のラピスラズリという鉱石から作られる特別な青であり、その値は同じ重さの金に相当するの、非常に希少で高価な顔料であったという。ラピスはラテン語で「石」、ラズリはペルシア語で「空」の意味であると言う。　この青については、当時のフランドルで、画家に絵を発注する際、金とラピスラズリ顔料だけは、使用量を契約で取り決めていたという。　オランダの特産品に、デルフト陶器があるが、これも青を基調とした染付けが施された陶器である。染付けのことを中国で「青花」といい、中国陶磁の染付けは、欧州の王侯貴族に珍重され、マイセン、ロイヤルコペンハーゲンそしてこのデルフト陶器に大きな影響を与えている。人々は、金と同じ度合いで青に憧れたのだった。

  2007.02.04

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• 青いターバンの少女

  　２０００年６月、オランダ、ハーグのマウリッツハイス美術館の至宝、フェルメールの『青いターバンの少女』（『真珠の耳飾りの少女』ともいう）が日本にやってきた。　世界的名画のほとんどが東京の会場を通過する中、この絵だけは、唯一大阪市立美術館でのみの公開となっていた。　1月に父が亡くなり、一人暮らしとなった母も、ようやくに落ち着きを取り戻したため、神戸の妹のところを訪問しがてら、娘と三人で関西へ赴いた。　母のお守りを妹に頼み、わたしと娘は一路天王寺の大阪市立美術館へむかった。　ところが、美術館入り口についてみると、列の最後尾はここではない、という。もちろん、世界的に希少なフェルメールの絵、それも代表作の『青いターバンの少女』であるから、並ぶにのは覚悟の上、1時間やそこら何の苦がありましょう、と切った見得は、むなしく地に堕ちてしまう。なんと、最低でも4時間まち、しかも行列は隣接する天王寺公園を一周ぐるりと廻って美術館に帰ってくるのだという。　頃は6月で、初夏の日差しは遠慮なく降り注ぎ、またお日柄もよいと見えて、天王寺公園では、どこのおじさんやおばさんかはしらねど、カラオケ大会の真っ最中。そんな気楽でうるさい風景を恨めしげに見ながら、延々と並ぶこと5時間。やっと美術館入り口へたどり着く。後で娘にきいたら、彼女は暑さと脱水でヘロヘロで、ほとんど覚えていないということだったが、いよいよ世紀の名画『青いターバンの少女』とご対面である。　47×40ｃｍ、サムホールサイズの2.5倍ほどの小さな絵、けれどこの中には17世紀の光と生命が宿っていた。

  2007.02.03

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• 新国立美術館

  　猪瀬直樹氏が、メールマガジン「日本国の研究」で、新国立美術館に「あきれてモノがいえない。借金だらけの国が、３５０億もの巨費を費やしてハコモノを作るだけの仕事をまだしている！国有財産を売り払って借金の返済にあてようという意識はないのか」と、コメントしている。さらに、館長の林田某氏は、３回以上の天下りをしている「渡り鳥官僚」であるという。　官僚がいけないという訳ではない。しかし、美術館の館長というものは、その美術館の格でもあるのである。　金沢２１世紀美術館が、地方美術館として最多の動員数を誇っているが、ここの館長の蓑豊氏は、名だたるキュレーターであり、大阪市立美術館長時代、門外不出といわれたフェルメールの「ターバンの少女」を日本に招聘した経歴を持つ。この絵は、大阪でしか公開されず、どうしても見たかったわたしは、６月の炎天下５時間近く列に並んで観覧したものである。　そのときの噂で、この絵は、大阪市立美術館の館長が特別なよしみで日本に招くことが出来たのだ。本来キュレーターとはそういうものなのだ、という意見を読んだ記憶がある。　しかるに、新国立美術館長氏は、プレスのインタヴューに、「六本木アートトライアングル」だの「12の展示会場がある」だの、愚にもつかないコメントしか発せず、この美術館で具体的に何をしたいのか、と言うヴィジョンは全く見えてこなかった。　今後の行く末が案じられる。

  2007.02.02

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• 「ゆき」で～す。

  　お初にお目にかけます。　我が家の悪童「ゆき」です。　もらってきたときは、片手の手のひらにちょこんと乗ってしまう、雪合戦の玉のような仔猫でした。体もガリガリで、ミルクも飲めず、低体温を起こしていて、注射器でミルクを口に流し込んで、やっと命をながらえていたものでした。体重240ｇ、雪球のように解けてしまわないか、ヒヤヒヤ、毎日ことあるごとに触って体温のあるなしを確認していました。　「大丈夫よ、うちの猫も最初注射器だったけど、いまでは一番大きくなってるわ」、とよく行くお肉やさんの娘さんが励ましてくれた通り,みるみる大きくなって、いまや体重は5倍強、1.2ｋｇにまで育ちました。　いたずらが大好き、わたしがキーボードを打っていると、「かまって、かまって」と、噛み付いたり、注意を引こうとして爪をひっかけてきて、連日生傷がたえません。　昼は日当たりのよい南側の仕事部屋にいて、娘のひざかけが大のお気に入りです。 

  2007.02.01

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• Happy Birthday

   今日は５５回目の誕生日である。　仕事をやめて一年たらずなので、まだなんとなく家庭にいる自分がしっくりこない。　年金の一部受給には、まだ５年もあるので、その間の生活は、いわゆる団塊の世代のようにはめどが立っていない。　主人がサラリーマンならよかったのだが、自営業になってしまったので、国民年金を支払ったり、健康保険も任意継続で、掛け金を払わなければならず、思ってもみなかった費用がかかる。　それでも、とりあえず、ハッピーかどうかは分からねど、お誕生日である。　ヴェネチアングラスで、ペリエでも飲もうかしら。

  2007.01.31

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• ヴェネチアングラスとドライフラワー

  　イタリア旅行のお土産のヴェネチアングラスと、お正月の飾りに使ったミニバラの写真です。　黄色が綺麗に残りました。 　また、旅に出たくなります。

  2007.01.30

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• 生きている化石：ラブカ

  　つい先日、生きている化石といわれる「ラブカ」という深海魚が生きたまま捕まり、後に死んでしまったそうだが、泳ぐ様子などが観察され、謎に満ちた生態が少し解明されたという。　http://www.cnn.co.jp/science/CNN200701250038.html　ラブカは、古代のサメに大変よく似ていて、そのため生きた化石といわれている。わが静岡県の駿河湾は、水深が深く、タカアシガニなどの様々な種類の深海生物が生息しているが、この「ラブカ」も、駿河湾東部地区でよく見られたり、漁師の網にかかったりしているそうである。　西伊豆の戸田村（へだむら：現在は沼津市戸田）には、古くからそうして網にかかった「ラブカ」の標本が展示されている。一見のどかに見える戸田の海であるが、ここは体長2メートルはゆうにあるというタカアシガニの産地でもあり、深海魚の宝庫であるという。　また、戸田村は、その昔、ロシア軍艦「ディアナ号」が戸田沖で難破し、提督プチャーチン以下のロシア帝國海軍の将兵が、ここで村人の助けを借りて船の修繕を行ったという逸話があり、その際の遺品などが、造船博物館として、ラブカの標本のある深海生物館と隣あわせで展示されている。　

  2007.01.29

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• 美術館ボランティア

  　先日熱海のＭＯＡ美術館に行った際、美術館ボランティアのお世話になった。　Ｕさんという、男性で、現在は商社にお勤めで、月に一度こうしてＭＯＡ美術館で来館者の案内をしているとのことであった。ＭＯＡ美術館の成り立ちや建物について、また常設の展示物について、丁寧なご説明をいただいた。　仕事柄外国にいくことが多く、ご自分のアイデンティティ確認のために、趣味をかねてボランティアを務めていらっしゃるとのことであった。　前回訪れたとき、何気に見ていた仁清の壷や秀吉の黄金の茶室、美術館の中にしつらえられ、３ケ国語の同時通訳が可能な能舞台、今回初めて見たヘンリー・ムーアの「王と王妃」、その前の広場で演じられる夏の特別な薪能、ブールデルとマイヨールの彫刻等を解説していただき、見聞を広めることが出来た。　こういう趣味をいかした生活がいつかできたらよいと思うが、生来の怠惰ゆえ、まだ踏ん切れない。 

  2007.01.28

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• 邂逅ならず

  　２月２５日は、相模湖交流センターで、相模原市教育委員会の自主事業として、エリック・ハイドシェックのコンサートが行われる。　ここで、はたと、遠藤彰子先生が、相模原市教育委員であることを思い出したわたしは、無謀にも遠藤先生あて、今回のコンサートにいらっしゃるかどうか伺うメールを出してしまった。　わたしの好きなアーティスト二人が、相模湖交流センターで邂逅する、ということがあったとしたら、それは、わたしにとっては事件である。ほとんど妄想の域である。　この押し付けがましい図々しいメールに、なんと遠藤先生からお返事をいただいた。残念ながらその日は、先生の勤務する大学の試験日で監督にいらっしゃるので、相模湖交流センターにはいけないということであった。　残念ながら二つの魂は邂逅することはなく終わってしまうのである。 　奇しくも、お二人とも、今年は北海道に初お目見えである。ハイドシェックは、5月に札幌交響楽団トコンチェルトを、遠藤先生は９月に網走市立美術館で個展を予定している。この双方の催しが成功裏に終わるよう、祈ります。

  2007.01.27

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• 初天神

  　昨日は２５日。北野天満宮の「初天神」の日だった。　普段はひっそりと静まり返っている北野天満宮だが、毎月２５日には市が立つ。祀られている菅公にならって「天神さん」とよびならわされている。　たこやきやらの食べ物屋台や、古着、古道具、骨董などに加え、昔は道具類（金槌や鉋まど）の屋台まででて、立錐の余地もない賑わいである。　季節は違うが、こんなレポートも発見した。　http://travel.kansai.com/sp/welcomekyoto/0412_welcome3.html　このほかにも、２１日の東寺の「弘法さん」や百万遍知恩寺の市が有名である。中世の香りのする市の呼称で売られているものが、現代風のものであり、それが見事に融和しているところに面白さを覚える。　ちなみに、年の初めの市を「初天神」、年の納めの市を「終い天神」という。これは東寺の「弘法さん」も一緒で、「初弘法」「終い弘法」と呼ばれている。

  2007.01.26

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• 冬季うつ病

  　今朝のテレヴィで、「冬季うつ病」という季節性のうつのあることを知った。急に大量の炭水化物（ご飯やケーキなど）を摂取したり（ドキッ）、気力の衰え、特に眠くて眠くてたまらない、といったことが主な症状であるという。　嘘のような話であるが、このうつ病は、飛行機に乗って沖縄やハワイといった明るくて日差しの強いところへ行くと、行くだけで治ってしまうのだという。強い光を浴びることが、一番の特効薬、いいかえれば、日差しの薄いところで、日光をほとんど浴びないような生活をしているとかかり易いという。　これで、エドゥアルド・ムンクのことを思い出した。ノルウェーの画家ムンクは、自身うつ気質であり、家族にもうつ患者がいた。彼の描く絵は、白夜の風景の中、人間と周囲の風景の境界が溶け出してしまっているかのような感覚（「叫び」）、夜のしじまの中、幼い裸体をさらす少女の後ろから黒い暗雲のような影が迫ってくる不安（「思春期」）、エロスを湛えた成熟した女性（多分妊婦）が、胎児と共に今にもどす黒い死にとりつかれていく生と死と性の混在（「マドンナ」）といった、得体の知れないけれど日常的に抱え込んでいる不安と幻視に満ちた絵を描いた。　19７０年の大阪万博のとき、ノルウェー館で「思春期」の少女に逢った衝撃は、未だにわたしの心に刻まれている。この少女に逢いたくて何回も万博会場に足を運んだものである。太陽の塔なんて、ろくに覚えていない。　彼のこの日常的に抱え込んでいる不安が、ようやく世紀末を迎えようとしていた人々の心に遭ったと見え、19８０年代以降いくたびかムンク展が開催されている。　おもしろいのは、後年ムンクの絵の色調が全く変わり、明るいパステルカラーの絵を描いていることである。　解説は、うつ気質が治まってきたかのような解説をされていたと思うが、この「冬季うつ病」を知るに至り、そこそこ絵が売れるようになったムンクが、陽の多く降り注ぐ南国に行けるようになって「冬季うつ病」が解消された、とわたしは勝手な妄想を巡らすのである。

  2007.01.25

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• 新国立美術館の開館に思う

  　六本木エリアに新国立美術館が開館し、すでに六本木ヒルズにある森美術館、３月に近傍に開館するサントリー美術館とあわせアートトライアングルの形成などと騒がれている。　この美術館は、収蔵品を持たず、展示会場のみで運営される美術館であると言う。　「展示場のみで運営」ということは、貸しスペース及び企画展の収益で運営していくということだ。それはそれで面白いアートシーンを現出してくれるのかもしれないが、わたしには大いに不満である。　たしかに、バブル期には、国や各地方自治体は金余りが起こり、美術館の林立、収蔵品の買い漁りが起こった。いまでも、我が県の県立美術館にも「なんでコンナモノ買ったんだろう｣という、終始一貫しないコローやコンスタブルあたりの風景絵画がなんの脈絡もなく置かれているし、ただ「フジタ」というサインだけのフジタの風景画なんてシロモノがある。　けれど、たとえば石川県立美術館の色絵雌雉香炉は個人からの寄贈という記載があるように、個人コレクターが、その所蔵品のよりよき住処を求めて、その美術館の収蔵力に惹かれて自己の所有にかかる逸品を、その美術館を信頼して託すということがあり、そういうコレクターと美術館の信頼関係というものは、その美術館の格を押し上げていくものではないか。　美術品を単なるモノとして見るのではなく、未来への遺産として伝えていこうという複数の意思の結実で、文化というものは継承されていくのではないだろうか。　その点から考えるに、この新国立美術館のシステムは、イベント好きの官僚の考えそうなカンジがして、その行く末が案じられるのである。また、さらに言うなら、イベント開催館が増えることで、展覧会の水増しが起こらないかという危惧もあわせ持つものである。

  2007.01.24

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• MOA美術館の鍋島展

  　官窯としての鍋島焼きは、藩内の殖産興業策というよりは、政治的な意図（具体的には将軍家献上品）をもって作られたものであるという。　藩と藩、藩と幕府との関係は、今のような都道府県と国という関係ではなく、もっと緊張した関係が存在していた。それは、各大名は武家書法度により幕府から細かく規律され、藩に一揆のような不祥事があったり後継者が定まらなかった場合は、国替えや改易という処分が行われ、更に、幕府の方がさまざまな口実を設け、大名たちの財政的な疲弊を目論んだり、取り潰しを計画敵に行うこともあったからである。　それらを避けるため、各藩は将軍はじめ幕府要人に贈り物をして機嫌を取り結ぶこととなる。鍋島焼きも、このような意図で、有田焼きの職人の腕の立つものを連れてきて、採算を度外視した焼き物を作らせたのだという。　初期の頃から、器の形も一点もののような変形皿が多く、また絵付けも隆盛期の色絵鍋島期の作品は、色数も多い美しい、意匠を凝らしたものが次々と作られ、中には染付けを行った上から赤い釉でドットを描いて色の重層さを出す、といった手の込んだ手法を用いているものもあった。　皮肉なことに、この色鍋島を頂点とする華麗な焼き物が廃れていったのも、また幕府のせいであった。　徳川八代将軍吉宗が出した倹約令により、幕府が「ぜいたく品」と定めた品は製造が禁止されてしまう。この影響で、鍋島も、華美な色絵ではなく、質素な染付けが主流となってしまうのだった。　一度廃れた技術というものはなかなか元に戻ることは難しく、以降の鍋島焼きに、かっての華麗さが戻ることはなかったという。

  2007.01.22

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• セキュリティー

  　楽天のブログ管理ページが変化した。前のものに比べて使いにくく感じたので、ブログスタッフページへイって見ると、たくさんの苦情がきていた。　驚いたのは、プロフィール設定である。プロフィール編集ボタンを押すと、Mixyのような画面が現れ、その「氏名」のところに、なんと本名（ハンドルネームでないもの）が、記載されてしまっているではないか！　たまたま開いたMIRLINさんのページに驚くべきことが載っている。　http://plaza.rakuten.co.jp/mirlin/diary/20070118/ 　この世の中、ネットで本名をさらすほど危険なことはないというのは、ブログ初心者のわたしでさえ分かることなのに、ブログの元締めたる楽天がなんてことするんだ！とくに、SNSリンクスに登録している人は、要注意である。

  2007.01.21

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• 明暦の大火

  　昨日は、江戸東京博物館にも足を伸ばし、開催中の「江戸城」展を見た。　太田道灌の築城以来の江戸の歴史を、幾多の資料を展示して振り返っていくもので、その在りし日の威容が、50分の1の模型で松本城と比較したり、CGの再現映像を作り上映するといった工夫で表現されていた。　帰宅して、webを覗いて知ったことであるが、奇しくもこの日は、明暦３年の大火（いわゆる振袖火事）で、江戸城天守閣が消失した日であった。

  2007.01.19

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• ギメ東洋美術館展

  　今日は主人の仕事が一段落したので、休養を兼ねて、かねてより行きたかった原宿の太田記念美術館の「ギメ東洋美術館展」に行くこととし、早朝の東京行きのバスに乗った。　太田記念美術館は、ラフォーレ原宿のすぐ前のこじんまりした美術館であった。今回の企画展の展示は、盛沢山の一級品の浮世絵を展示するため、かなりスペースを詰めての展示で、また、目玉である北斎の「龍・虎図」は、貴重品であるため、かなり照明をおとしてあり、また評判を伝え聞いて、かなりの観客が押し寄せたため、せまいわ暗いわで、視力の衰えを実感する始末であった。　それでも、さすがに北斎の龍・虎図は、いきいきとした表情のすばらしい作品で、90翁の作とも思えない、若々しい精神の感じられるものだった。　会場で上映されたヴィデオによると、美術館の基となった浮世絵コレクターのエミール・ギメは、明治9年に日本へ渡航した際、河鍋暁斎の元を訪れたのだと言う。同行したフランス人の画家が暁斎の顔をスケッチし出すと、暁斎もやおら筆を取りその画家の似顔絵を描き始め、双方のスケッチの競演となり、ギメは暁斎の画力にいたく感動し、作品の買い上げにいたり、その約定に基づき、後日「釈迦如来像」という作品が送られてきたという。　このほか展示品には、写楽、春信、歌麿の優品のほか北尾重政など珍しい浮世絵師の作品も含まれており、ギメの所蔵品の質の高さを窺わせるものだった。

  2007.01.18

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• 父の誕生日

  　１２年前の今日、阪神淡路大震災が起きた。今日は追悼の行事が行われた。震災の傷は深く、今も仮設住宅での老人の孤独死があいついでいるという。　また、今日は７年前に亡くなった父の誕生日でもある。　その前の年の９月、急な腹痛に襲われた父は、かかりつけの病院で救急治療をうけた。知らせを受けて急行したわたしは、当番医から大腸ガンが肝臓に転移していて、手のほどこしようのないことを知らされた。　心臓に人工弁を装着し、ペースメーカーも入れている父は、大腸ガンの開腹手術も受けているので、満身創痍、さらにワーファリンの投与をうけているので、出血すると、止まりにくくなっている。さらに、このたびの転移のため、常に腹部大出血の可能性が存在した。　母と兄弟たちと相談し、最良の方法として、聖隷三方原病院のホスピスに入院する途を選択した。ホスピス外来で、入院可能との診断をいただき、病室があく連絡を待ち、１２月１０日に入院した。　ホスピスの部屋は、広く明るい10畳ほどの個室で、床暖房が完備。前年本人の希望で自宅に床暖房を備え付け介護用ベッドも入れたので、自宅の父の部屋とあまり変わらない雰囲気で、気に入った様子だった。ベッドの傍らに、2畳ほどの、付添い人が常時居られ、寝起きも可能なスペースがあるため、自宅を空け母も一緒に（付き添いとして）入院した。　　母が用事があるときは、われわれ子供の誰かがつくこととし、またホスピス内に家族室が2部屋あり、リネン代だけで泊めていただけるので、時間の許す限り4人の子供とその家族が父に逢いに来ることができた。また、民間療法の類のサプリメントも、「効果があるという実証はないんですよ」と、担当のＭ先生はおっしゃったものの、「それでご家族の気が済むのなら｣という留保つきで、服用を許していただいた。　ホスピスの中で、クリスマス、一月のお誕生会、お正月のマジックショーと行事を迎え、同じ1月生まれの母もお誕生を祝っていただいた。　それでも、日増しに消耗は激しく、15日にはほとんど食べることの出来ない状態になってきた。「お父さん、がんばってね。17日には、さっちゃん（娘）がケーキを作って持ってくるからね。」というわたしに、肝臓の転移が大きくなったせいで、ダルそうに肯く父。水の代謝も悪くなり、手足はむくんで、パンパンになってしまっていた。　17日午後、家で焼いたロールケーキと生クリーム、ハンドミキサーを抱えて、わたしと娘が到着し、ホスピス内のキッチンで仕上げにかかる。「早く、早く！」と、母から声が掛かる。もう限界で、朝から何度となく気を失いかけていたという。ケーキができあがり、娘が切り分けて病室に持って行く。カクカクと、最後の気力を振り絞って懸命にケーキを口に入れる父。一口口にし、そのまま意識は遠のき、もう意識が戻ることはなく、昏睡状態のまま3日後に臨終を迎えた。　この世で最後に口にしたものが、孫娘の手作りのバースデーケーキであったということは、7年たった今でも、思い出すと涙が出る。切ない、けれど幸せな思い出を父はわたしたちに贈っていってくれた。自身の誕生日に。　お父さん、ありがとう。

  2007.01.17

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• 三十三間堂

  　昨日は小正月。我が家でも小豆粥を皆で味わった。　この日は、京都の三十三間堂で通し矢が行われるが、それにもまして、正月の風情が感じられるのは、本堂である。　この寺院は、ご本尊の千手千眼観音菩薩坐像のある内陣の柱の間が三十三あるので、三十三間堂と呼ばれているが、正式な名称は蓮華王院といい、内陣は本尊千手観音菩薩坐像を中心に左右に各一段50体の千手観音菩薩が10段計1000体が立ち並ぶ様は、壮観である。小正月には、この仏像の一体一体に、もち米と小豆が供えられていて、檀家の方々の信心が偲ばれる光景が見られる。　この1000体の仏様の中には、必ず見知った顔があると伝えられている。わたしが訪れたのは30年も前のことであるので、見知った顔があったかどうかは、記憶の彼方へ行ってしまっているが、機会があったら再訪し、詳しくさがしてみたいものである。

  2007.01.16

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