カテゴリ:おっさんの主張
さてすっかり不定期となっておりますが、このブログはまだいい方で、
こちらからダークな話題のみを切り離したもう一つのブログの方は・・・ もはや放置状態・・・、超不定期状態のブログが2つになってしまいました、 いっそのこと統合しようと思っていますので、近々こちらのブログに引っ越しする予定です。 なので今後時々、ダークなかなり異質な視点からのお話しがたびたび登場します あちらでは基本的に文章のみの掲載でしたのでこちらでもそのスタンスを継承しこの話題の時は文章のみの掲載となります。 さて異質な視点からのブログとはどんな内容か、ということで一つ書いてみましょう・・・ 童話というものがありますが、童話というものも別の視点から見るとかなり異質なブログになります。 今日は「かちかち山」のお話し・・・ 「かちかち山」と言えば、田畑を荒らすいたずら狸が爺さんにつかまり鍋にされそうになったところを婆さんを殺して逃亡、 それを兎が敵討ちするというお話です、 さてこのお話しでは兎と狸を擬人化しているわけですが、擬人化して人間と同格にしたら、 狸のやったことは窃盗罪、それを拉致監禁したうえに殺害しようとしたのは完全にやりすぎ、過剰防衛です、 一方狸がやった殺人は自分が殺されそうになったのですから自衛的要素が含まれ十分に情状酌量の余地があります。 それを無関係の兎が残虐非道な方法で殺害したのは情状酌量の余地が一切認められない殺人罪です。 兎は死刑に相当します。 擬人化しても兎、狸、人間という立場に変化がないということになると・・・ これは人間にとっての正義であって人間ではない兎が人間の基準で狸を裁くのはおかしいということになります。 ということでちょっと立場を変えて新しい「かちかち山」を作ってみましょう。 まあ新感覚スプラッターと思ってお読みください・・・ ある島に5000年生きた妖狐の夫婦が住んでいました、 狐は長く生きると霊力を持つと言います、2匹の狐は霊力を持ち人間よりもずっと賢く力も強く特殊な能力を持っていました。 雄の狐は「銀狐」、雌の狐は「玉藻」共に強い霊力を持った妖狐でした。 2匹は人間たちに農業や猟を教えました、人々は2匹を神の使いとして敬いました。 ある日2匹は重い病にかかり、永い眠りにつきました、そう500年ほど・・・ 永い眠りから目覚めた2匹は驚きました、自分たちの神域に下等な人間たちが住み着いていたからです、 500年の月日が流れ人間達は妖狐のことを忘れ去り、伝説の生き物と思っていたのでした。 もともと人間よりもずっと優れた能力を持った妖狐ですから、すぐに人間達を駆除し小さな小山に追いやりました。 住む場所を奪われ、人間達は食べるものもなく飢えと寒さに震えていました。 妖狐達は捕まえた人間を使い田畑を作り、多くの作物を作り、豊かな恵みをもたらしていました。 飢えに耐えかねた人間達はたびたび妖狐の田畑に忍び込み、作物を盗んでは飢えをしのいでいました。 ある日、島の若い娘ミミが畑に忍び込み盗みを働いているところを銀狐に捕まってしまいました、 銀狐は怒り「神域を荒らす性悪な小娘は鍋にして食ってやる」 そう言ってミミの衣服を剥ぎ、裸にして檻にとじ込め妻の玉藻に鍋にするように言いつけると再び畑に戻って行きました、 玉藻は大きな鍋にたくさんの野菜を入れて煮込み、あとはミミの手足を切り刻み鍋に入れるばかりになりました。 ミミがもう命はないものと檻の隅で泣いていると、玉藻はぽつりと言いました。 「わらわはこんな痩せた小娘の肉など硬くて美味くないから嫌いじゃ、昔まだ人間達が悪さなどせず仲良く暮らしていたころに食った鳥鍋が食いたいものじゃ」 ミミは玉藻に懇願し、きっと美味しい鳥鍋をご馳走するからとなんとか檻から出してもらいました。 檻から出てホッとしたミミはなぜそんな酷いことをして人間など食べるのかと玉藻に尋ねます、すると玉藻は言いました、 「そなたたち人間だって自分達よりも劣っていると考えている鶏や豚や牛を食うではないか、人間よりも優れている我ら妖狐が人間を食って何が悪い」 ミミは怖くなって玉藻を殺してしまいます、すぐに逃げようと思いましたがそこに銀狐が帰ってきました、 妖狐たちは普段は霊力で人間の姿に化けていましたが、死んで霊力のなくなった玉藻は元の狐の姿に戻っていました、 ミミは死んだ玉藻を台所に隠し、玉藻の着ていた衣服をかぶりました。 変幻自在どんな姿にでも化けられる妖狐ですから、玉藻の衣服を着た娘を銀狐は玉藻が化けたのだと思い込んでいました。 「なんじゃ玉藻、その姿が気に入ったのかえ?、ではその娘の鍋を食ってしまおうぞ」 いつ見つかって殺されるかわからないミミは生きた心地がしません。 「いいえまだ肉が良く煮えておりませぬ」 「そうかそうか、では庭木に水でもやってくるとしよう」 庭先にいられたのでは逃げることもできず、肉の替わりなどないのでミミは仕方なく死んだ玉藻をバラして鍋に入れました。 やがて戻ってきた銀狐は満足そうに鍋をほおばり始めました、 「どうした玉藻、そなたも食べぬのかえ?」 見つかったら確実に殺される、ミミは恐怖でとても鍋など喉を通りません、 そこで生前に玉藻が言っていたことを思い出しこう言います。 「わらわは小娘の肉など硬くて臭いから好きでない、庭の葱を臭み消しに採ってまいります」 そうして葱を採りに行くフリをしてそのまま逃げ帰ってしまいました。 やがて真実に気付いた銀狐は5000年連れ添った妻が死んでしまったことに嘆き悲しみ、怒りに震えました。 妖狐に飼われていた人間のポン太がそんな銀狐に言います。 「銀狐様のお怒りはもっともです、きっとこの私が敵をとって見せましょう」 「そなただって人間であろう、性悪な人間に何がわかる・・・」 「いいえ私は銀狐様の田畑を荒らしたりはしません、玉藻様を失われた銀狐様の悲しみはよくわかります」 「ぜひ私を敵討ちに行かせたください」 銀狐はポン太が敵討ちに行くのを許しました、 ポン太の計画は騙してミミ達をこの屋敷に連れてきて屋敷ごと焼き殺してしまおうというものでした、 銀狐は屋敷の裏の祠に隠れそっとその様子を覗いていました。 やがてポン太は「銀狐が怒り狂って人間達を皆殺しにすると言っている」「銀狐を殺してしまわなければ大変なことになる」 と人々を焚き付けてミミと戦力になりそうな若者達を言葉巧みに誘い出しました、 屋敷に着くとポン太は裏口からそっと抜け出し、計画通り屋敷に火を放ちました。 屋敷は見る見るうちに炎に包まれ、若者達は生きたまま焼かれて死んでいきます。 ミミは以前捕まった時に見つけた庭の井戸に飛び込んで何とか命は助かりましたが背中に大きな火傷を負ってしまいました。 ポン太はミミを討ち漏らしたことを悔しがり、「次こそはきっと敵を討って見せる」と言いました、 銀狐は言います「あの娘のことはともかく、われは人間が憎いわけではないのじゃ、われの田畑を荒らしたりしなければそれでよい」 「銀狐様、玉藻様を殺されたのを忘れてしまわれたのですか、人間は飢えればまたあなたの田畑を荒らします、そしてやがてはあなたを殺そうとする」 そう言ってポン太は銀狐に魔法で小さくてみすぼらしいけれど丈夫な船と、大きくて立派に見えるけれど合図をしたらたちまち消えてしまう幻の船を出してもらいました。 前回の事件で島の若い男たちは皆死んでしまい、残されたのは女、子供と年寄りばかりでした ポン太に騙されたことを知らない人々をポン太はもう一度焚き付けます、 「銀狐は怒り狂ってもう手がつけれれない、この島から逃げなければ殺されてしまう」「幸い港に隠してある船を見つけたそれに乗って逃げよう」と・・・ そして大火傷を負って苦しんでいるミミにこう言います。 「その火傷にはお前が殺した玉藻の呪いが込められている、このままではお前は3日ともたずに死んでしまうだろう」 「ここに呪いを抑える薬がある、これを火傷に塗れば、痛みは今よりも増すが命を失うことはない」 ミミは迷いましたが生きたい一心で薬を塗ってくれと頼みました、 しかしポン太が用意した薬は銀狐に頼んで作ってもらった毒薬でした。 薬を塗ると火傷は見る見るうちに悪化し、激痛が襲います、ミミは痛みに悲鳴を上げてのたうち回りました、 痛みで朦朧とするミミを引きずるようにしてポン太は言います、 「さあ、早く逃げないと銀狐が追ってくる、この娘は玉藻の敵、それに火傷で弱りきっている、何かあったときに皆を巻き添えにしてしまう、私と一緒にこの小さな船に」 「もしもの時はきっと銀狐はこの小さな船を追ってくる、だから皆はこっちの大きな船に乗って逃げてください」 船が沖に出てしばらく行くとポン太は海に餌を撒き始めます、不思議に思った女達は何をしているのかと聞きます。 「な~に、ようやく沖に出て一安心、腹が減ったので釣りでもしようと思いまして・・・」 しかし集まってきたのは魚ではなくたくさんのサメでした。 そこでポン太は船にかかっていた魔法を解きます、大きな船はたちまち幻と消え女達は海へと投げ出されます、 サメ達は我先にと女達に襲い掛かり海は真っ赤に染まっていきます。 昨日まで仲の良い友であった者達がサメに食い荒らされ肉片に代わっていく様をミミはただ茫然と眺めていました。 サメ達の食事が終わり海面が静けさを取り戻しかけたとき、ポン太は火傷で身動きの取れなくなったミミを抱え上げ静かに海へと投げ込みました。 海面が再び赤く染まります・・・ 全てが終わりポン太は島に帰っていきます、 銀狐に事の顛末を報告するために。。。 5000年生きた妖狐である銀狐です、ポン太が話さずとももうすべてを知っていました。 そしてポン太の話を静かに聞き、 「そうか」と静かに言いました、そしてこう続けます。 「われは今日は人鍋が食いたい、そなたが島の人間を全て殺してしまい人鍋はこれで最後になってしまうだろう」 「最後の人鍋、心して食べようぞ・・・」 さて最も悪いのは誰でしょうか?・・・ 最後の結末はオリジナルの「かちかち山」からちょっと変えています、 人間の正義など人間の都合だけの自分勝手なもの、人間でない狸や兎には何の関係もないものです、 自分勝手な正義を振り回した愚かな兎の末路など兎鍋の具材が良いところでしょう・・・ 我々人間は食物連鎖の頂点に立ち、歪んだ食う側の正義を振り回します、 食う側の正義など食われる側にとっては何の関係もなく、鶏や豚から見たら人間など鶏食い、豚食いの化け物でしかないのですよ。 さて食物連鎖の一つ上、人間を食う側の生き物が現れたら・・・ 我々はその正義を受け入れることができるのでしょうか。。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[おっさんの主張] カテゴリの最新記事
|
|