お父さんから子供たちへ

世の中には趣味と呼ばれるものと道楽と呼ばれるものがある。意味的には似ている気がするがだいぶニュアンスが違う。

　趣味は自分や周囲の役に立つものといったプラスのイメージがあるものが該当するのではないかと思う。またお金がかかるものもあるが、お金をかけなくても趣味に熱中することができる。役に立つか、お金がそれほどかからないかのどちらかを満たしていれば「趣味」ということができると思う。本当の趣味とは言いづらいが、「仕事が趣味」という言い方もある。

　もっと具体的に言うと、ジョギングや俳句などはお金をかけない典型的な趣味ではないだろうか。その他にも野菜作り、裁縫など趣味として認められることはいくらでもある。

　この趣味にお金をかけていき、それが行き過ぎると道楽になる。道楽とはお父さんのイメージでは周囲が轢くほど趣味にお金をかけている人がやっていることだと思う。イメージはプラスマイナスゼロか完全にマイナスである。

　ジョギングも家の周りの決まったジョギングコースを普通に走っている分には趣味だが、ジョギングシューズを集め出してしまったり、あちこち旅行して、ジョギングを始めたら道楽となるのではないだろうか。

　道楽の典型的なものは、飲む・打つ・買うで飲酒・博打・女遊びであるがどれも趣味とは言えない。趣味が高じて道楽になる典型的なものは骨董品集めではないだろうか。テレビで骨とう品などを鑑定する人気番組があるが、骨董好きというのは結構存在するものである。道楽（マイナスイメージ）と本人もわかっているだけに、周囲にあまり言わないのだろうと思っている。

　お父さんは、趣味は何ですかと聞かれたらゴルフ、釣り、昆虫採集と答える。怖いことにこの３つはすべてお金をかけようと思えば際限なくかかるものばかりだ。
　昨年までは昆虫採集（オオクワガタの灯火採集）にかなりお金をつぎ込んでいた。発電機、電球、スポラート、三脚、その他の備品を毎年買い増しして充実させてきた。

　そしてもう一つの趣味である釣りは、一昨年ぐらいからかなりお金をつぎ込み始めた。最初は釣りの内容に合わせて必要なモノを買っていたが、一通りそろうと今度はより良いモノを買う様になった。まだ何十万円もするような道具を買ったことは無いが、探せば高いものはいくらでもあるのが釣りの世界だ。

　使ってみてわかるのだが、やはり高いものは安いモノにはない良さがある。性能もそうだがデザインや感触、音などが良いのだ。今後も釣りにはお金をかけ続けるかもしれない。今はまだコロナのせいもあって家の周辺で釣りをしているが、将来行ってみたい釣り場というのは結構ある。どのあたりまで突き進むのか自分でも最近怖くなってきた。

　趣味というより道楽というレベルでお金をかける人は意外と周囲に存在している。若いころは車にお金をかけてカスタマイズする人が周りに結構いた。すごい人だと車本体よりもカスタマイズにかけたお金の方が多いという人も知っている。

　本人が楽しんで納得していれば問題はないと思っているが、できれば道楽も家族の理解を得ていた方が良いのは確かだ。お父さんが昆虫採集にお金をかけていた時は、お母さんはかなり納得も理解もしてくれていなかったが、釣りにお金をかけることに関しては、昆虫採集よりは理解されている。釣った魚を食べることができるというメリットが家族にあるからなのだろう。それでも釣りに行くより魚屋で同じお金を出した方が効率的と言われるが。

　趣味よりも道楽になった方が、やっている本人は正直な話楽しいとお父さんは思っている。余る程お金があるよりも、次はこれを買いたいとお金をためているときや、どうしても欲しくて無理に買ってしまう時のドキドキ感は、余る程お金がある人には味わうことのできない感情だと思う。

　お父さんは理解できないが、アニメやゲームに入れ込む人もやはり楽しくてたまらないのだろう。趣味を持つことは大事とよく言われるが、お父さんは道楽を持つと人生が楽しいと、もう一歩先まで皆に勧めたいと思う。ただし家族が生活に困るぐらいになるとマイナスが大きすぎるが。