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カテゴリ:思い出(社会人・海外)
お父さんの会社の社員が恐れていることの一つに、創業オーナの会長とその息子の社長が会社に忘れ物をしたり無くしものをすることというのがある。どうしてこれが恐れられるかというのを書いてみたいと思う。
通常、この二人以外の社員が忘れ物をしたときは、「どこどこに置いてある」という場所に忘れ物が置いてある。なので、確認の電話があった時にすぐにモノが見つかって、あとから届けるとか、書類ならメールで送るなどの処理ができる。 ところが会長と社長が「忘れ物をした」という時は、8割ほどの確率で「どこどこに置いてある」という場所にない。
そして無いということを伝えると、「そんなはずはないからもう一度探せ」とか「誰かに盗まれたのではないか」と言い出すのだ。無論すべて勘違いで、あとから本人が別の場所で見つけて解決する。 電話を受けて対応した社員にとっては本当に迷惑なうえに、会長や社長の案件なので、自分の仕事を停止して対応しなくてはならない。
先日ベトナムに行った社長から、ベトナム用のスマホを忘れてきたと電話があった。残念なことにお父さんを指名してかかってきた電話だったので逃げることができなかった。もちろん社長が置いてあると言った場所にはなかった。 そこから3日間にわたって、ここをみてくれ、あそこを確認してくれと電話があった。もちろん指定された場所をすべて見るのだが、スマホは出てこない。おそらく社長のカバンかどこかに入っていて見つけ出せないでいるだけだとお父さんは思っている。
不思議なことに、会長も社長も自分の荷物をひっくり返してしらみつぶしに探すということをしてくれない。無駄と思いつつ、社長のカバンやスーツケースを全部空にして探してみてくださいと言うのだが、今回もそれはやらないつもりらしい。 最終的に、新しいスマホをベトナムで買うことにしたということで今回の騒ぎは終わった。実に迷惑である。
その1週間後ぐらいに、今度は書類に押すベトナム工場のスタンプ(判子のようなもの)がないと連絡があった。これは事務所の書類用金庫に入っているモノで、その金庫を開けられるのは社長とお父さんだけである。社長がベトナムにいない時、お父さんがベトナムで代理で使うスタンプである。 社長はお父さんがどこか別の場所に置いたと思って電話してきたのだ。お父さんは会社の重要なスタンプなので、使ったらすぐに金庫に戻している。押すときも金庫の横で押してすぐに戻しているので、別の場所に持っていくことはありえない。そのように伝えたのだが、社長が信じていないことは、口調で分かった。
とにかくもう一度金庫の中身をすべて出して探してくださいとお願いした。個人の問題でなく会社の重要なスタンプなので、社長も今回は本気で金庫の中身をすべて出したようだ。その結果、金庫の引き出しの奥に落ちていたのを発見したという連絡があった。 そしてお父さんのしまい方が悪いから引出しの裏に落ちたような言い方をされてしまった。面倒くさいので、とりあえずあってよかったですねと言って終わりにしたが、ひどい話だと思った。
なぜならお父さんは4月から6月末までベトナムで社長の代わりにそのスタンプを使ったが、そのあと7月に社長がベトナムに行っている。お父さんは6月末から今までベトナムに行っていないので最後にそのスタンプを使用したのは社長である。 今頃はそれに気がついているのかもしれないが、騒がせて「申し訳ない」の一言は一生社長の口から出ることはないだろう。
どうして会長も社長も自分の記憶や状況判断は絶対に間違っていないと確信したまま生きていけるのか不思議である。社員のせいにしたり、大騒ぎした失くしものや忘れ物は、結局本人の勘違いで出てくることばかりなのに、本人はその記憶をきれいさっぱり失くしてしまうのだろうか。 社員は全員「またか」としか思わないし、指名された人の徒労に対して「お気の毒様」と思っている。今回の犠牲者はお父さんだったが、多くの社員が同じ経験をしている。何とかならないものだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.09.29 00:10:11
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