五十肩
お父さんは30代半ばで四十肩というのを患った。会社で仕事をしていたある日、突然右の肩に激痛が走って、そのまま腕が上に上がらなくなってしまった。病院で30代だけど四十肩と言われて落ち込んだのを覚えている。 治療方法は、痛み止めや湿布を処方されたが、基本は肩を無理やり動かして筋肉をほぐすことだった。自力では腕が回らないので、船の舵輪のような機械で腕を回す訓練をしたことを覚えている。2週間ほどで完治したのではないだろうか。 それ以来、腰痛に悩まされることはあっても肩の痛みというのは無かった。ところが今年の3月に、いきなり右腕が後ろに動かすことができなくなった。とはいえ痛みを我慢しながら動かすことはできたので、ねんざのようなものだと思い病院にもいかずに肩を動かさないようにしていた。 そのままベトナムへ出張に行って3か月ほど過ごしたのだが、一向に治る様子もなければひどくなることもなかった。現状維持を3か月続けたまま日本に帰国した。日常生活に支障はなかったし、ゴルフもできていたのであまり問題にしていなかった。 日本に帰国して、病院にもいつでも行けると考えたお父さんは、ひょっとして五十肩と言うやつかなと思い、無理やりに腕や肩を動かし始めた。ベトナムにいるときは、悪化したらベトナムの医者に行かなくてはならないと思い自重していたのだが、日本ならば大丈夫と四十肩の時の理学療法を思い出して、無理やり動かすように訓練した。 その結果、一気に肩の痛みが悪化してしまった。歩きながら手を前後に振るだけで痛くなるようになってしまった。 そこでようやく整形外科で見てもらったのだが、レントゲンや超音波画像で調べた結果異常は発見されず、やはり五十肩と診断された。医者が言うには、無理やり動かすのは間違っていないと言われた。 だが3月から6月末まで安静にというか、あまり動かさないようにしていたことで、「慢性化」している可能性が高いと言われてしまった。 鎮痛剤と抗炎症薬を処方してもらい、肩は意識して動かすようにと指示を受けたので、薬を飲みながら肩を動かし続けたが、今のところ全く改善が見られない。そこで再び整形外科で診てもらったところ、確実に慢性化しているので5回1セットの注射を毎週打つという治療法をすることになった。 初めての経験だったが、超音波画像を見ながら肩に注射をして、薬液の広がりを医者と一緒に見た。医者が言うには、慢性化がひどいほど薬液の広がりが悪く、軽いほど薬液の広がりが良いらしい。だが残念なことに画像で見ていた薬液はお父さんが素人として見てもわかる程に広がりが悪かった。医者も「予想はしていたけど、広がらないね」と診断結果を言われた。 とりあえず5週間にわたって、注射をすることになったわけだが、その間肩は痛くても無理して動かすようにと言われているので、頑張ってはいる。だがいまだによくなる気配はない。30代と50代では治る時間が違うのだろうとは思いつつ、肩の痛みに耐えている。