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じゅびあの徒然日記

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2006年11月16日
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閉鎖病棟をもつ単科精神科病院に勤務していると、メンタルクリニックや総合病院の精神科からご指名で(近医宛でなくて)紹介されてくる患者さんの大半は、入院依頼。
外来通院なら自分のところで診ればいいわけだから、当然だ。
外来だけど転医のお願い、というのは転居や時間・距離的通院事情に伴う転医か、患者さんと前医が診療方針の食い違いや、相性が悪かったとかで喧嘩別れしている場合。

時々他科が入院依頼、と紹介状を書いてくることがあるが、精神科経験のない医師に入院適応かどうかの判断は全くできないはずだから、本来ルール違反。
患者さんには、入院という言葉は出さず、精神科で診てもらった方がいいですよ、という説明でとどめて欲しい。
逆に私たちが身体科に紹介するときも、まず受診です、(入院で診て欲しいなあと本音は思ったとしても)入院になるかどうかは、あくまでかかった先の医者の判断ですと説明している。
日本でトップ10に入るほど有名かつ素晴らしいと評判の総合病院身体科で、通常診療時間内に受診にかけたら「入院が必要だが受診するより先ににうちの精神科に紹介しそれを通してにしろ。医者としての常識がなってない」と怒られたことがあるが、私たちは初めに入院ありき、で紹介できる立場に無いから困ってしまう。
要は受診されて、迷惑だったと言うことらしい。
精神疾患のある人間には、身体の病気にかかる自由(?)もないと感じることがしょっちゅうだ。
身体科の医者あるいは病棟の、精神科アレルギーは、それほど強烈。

話がそれた。

身体疾患で総合病院入院中に、紹介されて退院後即転院で送られてくる患者さんは、「病棟看護が、言うことを聞かなくて手がかかる患者さんに音を上げたから」のことが多い。
うちは単科精神科病院だから、身体の病気を診られる設備も、検査体制も、薬剤のラインナップも、医者の手腕も、揃っていない。
ところが、転院で到着したときから、熱があったり、白血球や炎症反応が高かったり、糖尿病のコントロールがボロボロだったり、胸部X線写真が肺炎で真っ白だったりする。
特に高齢者が多いから、急変すれば、一気に悪化して生命に関わりかねない。
1日経ってさらに熱が上がり呼吸状態が悪くなってきて、元の病院に逆紹介でお願いしようとする。
ところが一瞬でもこちらに入院していれば、もうあちらは知らぬ存ぜぬなのだ。
「あなたのところに入院しているのだから、そちらの患者でしょ。そっちだって病院なんだから抗生剤治療くらいできるでしょ。」
「そんな検査もできないって、あなた医者ですか?よくそんなところでやってますねぇ。」
平身低頭でお願いしなければならない上、ボロクソ言われたことがある。
後で調べたら、言われた相手は卒後数年の女性内科医師だった。

「息苦しい、と言って外来受診されたが、うつ病の亜昏迷状態です」、と総合病院から送られてきた患者さんが、どう診ても本当に息が苦しそうで、聴診してもゴボゴボいってるので、胸部レントゲンを撮影したら、真っ白。
そのままUターンしてもらったら、完全に呼吸不全だったというケース。

こっちは、採血結果も外注ですぐに出ないし、技師がいないからレントゲンも自分で撮影して現像して読影している。
PCでオーダーしただけで全ての結果が出揃って戻ってくる、恵まれた環境じゃない。
身体疾患が出ても、すぐに誰かが引き受けて診てくれるような環境ではない。
恵まれた環境に慣れきってしまうと、医師はそれが当たり前だと思ってしまうようだ。

総合病院からの紹介の場合、本当に本当に、いくらでも検査できる環境なんだから身体疾患を除外してから患者さんを送ってもらいたい。
というより、医学部の精神科の講義で、「精神科的診断を下すには、まず器質的な疾患を除外すること」って習うと思うんだけど、そんな基本はどこかへ飛んでしまうんかな?

精神科閉鎖病棟のある大学病院から、病状が悪化し本人が入院を希望しているから取るように、と「満床」を理由に紹介され、本人の同意による「任意入院」で入院した患者さん。
大学病院で、もう長年投薬治療を受けている。入院したからすぐよくなるという症状には乏しい。
法律的に任意入院というのは、本人が退院したいと言えば、退院してしまう。
その時、「(幻聴で)退院しろという声が聞こえるから、今すぐ退院する」とでも言ってない限り、お引き留めすることは難しい。
案の定、(地域で最高峰の精神医療を提供しているはずの)大学病院で治療してきて、一介の精神科病院に送られてしまった不満もある。
入院して短期で劇的に症状改善することでもないと、「退院したい」と言い出してしまう。
退院したい、大学病院に戻ると言われれば、お引き留めできないので、「力不足で申し訳ありません」と紹介状を書いて戻す。
だが、数日後、そちらの教授から院長に「お前のところの病院は、治療不十分で患者を退院させる医者がいる」とクレームが来て、厳重注意を食らった。
仕方がないので、大学の主治医に謝罪の電話をかけると、「家族の問題を調整してから退院させて欲しかった」とおっしゃる。
....これって、おかしいと思う。

要するに、先方の主治医は、「こっちは大学病院で日々の診療に忙しい。家族の問題なんてめんどくさいことは、暇な単科精神科病院ででも聞いてもらえ」って言ってるってことではないの?
長年、自分が外来で診て、解決できなかった問題でしょう?
しかも、長年自分が外来治療をしてきて、よくならなかった、もしくは悪化して、でも、自分のところに入院させないで、申し訳ないが治療してもらえないかって送ったはずでしょう。
本来、自分の手腕が至らなかった、恥ずかしいと思うことなのよ。
自分の治療内容、処方内容に問題がなかったか反省もしないで、当然のように他人様に送りつけて、思ったように解決してくれなかったから、文句?
文句があるなら、自分で責任もって最後まで診ろよ。

ハハハ、一度や二度じゃないのでつい熱くなってしまった。





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最終更新日  2006年11月16日 16時28分27秒
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