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じゅびあの徒然日記

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2007年01月27日
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慢性で長いこと経過してきた患者さんたちを退院させようとすると、ご家族の強い抵抗に遭う事がある。
急性期と違って、短期間でこれだけよくなったから、とかいうキッカケに乏しい、というのも1つ。
そういう意味では外来通院に切り替えるタイミングが難しい。
ある程度のところで踏み切らないと、その時点より症状の改善が遅々として進まない、もしくは少しずつになってしまうタイミングを逃してしまい、ずーっと入院させざるをえない、退院を言い出すキッカケがもうない、という事態に陥ってしまう。

慢性期で最初から私が主治医、というケースは少ない。
ほとんどが、歴代主治医を経過して、私のところへ回ってきた患者さんたちだ。
ご家族によっては、「前の先生は退院なんて言い出さなかったのに」「あんたは引き継いでから●年しか診ていないから(それでも年単位だ!)、知らないだろうが、本当にこれが家にいて大変だったんだからな」などとおっしゃる。
過去に体験したひどいケースでは「前の事務長(あるいは院長)が、入院させるとき(30~40年前、場合によっては半世紀前なんてこともある)、この子は死ぬまでここで看ますからと言ってくれたのに!約束違反だ」と言われたケースがある。
そんな、私が生まれていない頃とか、小学生の頃の約束を持ち出されても、困ってしまう。

慢性期に移行してしまっていたが、目標を立てて「ここまでできるようになったら、ご家族に退院の話をしてみるからね」と言ったところ、頑張ってくれた患者さんがあった。
もう何年も入院していたが、私が引き継いでから、たった半年余り。
一応「(歴代主治医で)ちっともよくならなかったのを(私が)半年でかなりよくした」のだが。
私が家族面談で退院の話を持ち出すと、大変な反対にあった。
「今までだって、病院の中にいてもすぐ悪くなって、続かなかったじゃないか」
「退院させると言うのなら、もっと長く状態が変わらないことを証明してみろ」
「家にいる他の者が、納得しない」
「(その患者さんが)帰ってきたら、私たちは外食にも行けなくなって、ストレスが溜まる」

認知症と思われる患者さんに、外来で、とにかく薬をのませてまずやってみましょうと説明した時にも、入院させたい一心の、もしくは当然入院させてもらえると連れて来たご家族に、罵声を浴びせられる事がある。
「あんたみたいなお医者様で、裕福で楽な生活をしていたら、私たちのキモチなんて、分からんだろうが!あんたたちは患者をここから外へ出せば終わりで、家族の苦労なんて他人事だろう!」

こんな私事を漏らすわけにはいかないから黙って聞いているが...患者の家族のキモチは、痛いほど分かっている。
小さい子ども2人を抱えて、楽でも、裕福でもない(もちろん、医師という資格を持っていることで、日本の母子家庭の平均よりは、正直恵まれた生活ができていると思う)。
幻聴に左右されたり、徘徊してしまったり、家の中を滅茶苦茶にしてしまったりする家族は(今は少し落ち着いているが)私にもいた。
そういう家族を仕事をしながら看るのがどれだけ大変か、もよく知っている。
母も、化学療法中「ウイルスや細菌をもらうかもしれないから」「作っている人がカゼをひいているかもしれない」と言い続けたし、治療が済んだら済んだで、カツラで外に出るのを嫌がったから、外食はご法度になった。
帰宅が遅くなったりすると外で夕食を済ませたい日もあったが、母が待っている以上、必ず家で食事の準備をしなければいけなかった。
空腹を我慢する上、寝るのが遅くなる子どもたちも辛かったはず。

自分もその経験をしているだけに、かえって患者さんのご家族に厳しい面も持ち合わせているだろうなと思う。
家族の中に誰か患者がいたら、その人のために周囲も多少の犠牲を払うのは当たり前だ、と考えてしまうのだ。
「これくらいなら、家で看られるはず」と思うラインが、私という医者は厳しいと思う。
「外食に自由に行けないから、ストレスが溜まるって?何を甘えてるの?それくらい家族なら当たり前でしょ」と思う自分がどこかにいる。
こういうことをおっしゃるご家族は、外に患者さんを連れて行くのを自分たちが(流涎が多いとか、食べるのが著しく遅いとか、顔つきで病気と分かってしまうとかいう理由で)恥ずかしい、ということから、「外食をみんなが我慢しなきゃいけない」と言っているのが分かる。
今まで何の治療も受けずにきた患者さんに初めて薬物を処方する時、まずご家族でこれをのませてやってみましょう、と言っても「誰ものませられる人間はいない」と入院をゴリ押しされると(つまり入院させたら退院後も誰もいないということなのだ)、こっちも内心ムッとしてしまう。

本当に口に出しては言えないから、患者さんのご家族に分かってもらえるとは思わないが、「私だって、この境遇の中、苦労して何とかやっているんだからさ」と思ってしまう。
「お前みたいなお医者様は何不自由ない生活をして患者の家族の苦労も分からんだろう」と怒鳴られると、「私の生活を知りもしないで勝手なことを言うな」と叫びたくなってしまう。
...冷たいかな。





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最終更新日  2007年01月27日 22時28分41秒
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