|
カテゴリ:うつ病
3年ほどに渡って私が診察しているうつ病のOさんがやって来た。
元々はマリッジブルーで始まって他で治療をしていたが改善せず、私のところを訪れた人で、1年近くの休職を経て、復職、さらに1年余りをかけて元の持ち場に完全復帰した患者さんだ。 初診の頃とはうって変わって、見るからにキャリアウーマン、充実した日々を送っていた。 そんなOさんが、「仕事もやれているし、調子は悪くないけれど、少し疲れた。やる気が出ないことがある。」と訴えた。 先日は今の持ち場に戻って初めて、ついに一日だけ「風邪です」と休んでしまったそうだ。 そんな話を聞いて「ふぅん、でも、そうやってテキトーに1日休む、っていうのも、賢い技だよ。そんな手が使えるのは進歩進歩!」と褒めてしまう私。 いいんだろうか(笑)。 「Oさん、今は自分より下の立場が多いところで働いているよね?だから、気遣いは要らなくなって楽だ、って言ってた。」 「そうです。」 「ひょっとして、部下の仕事を肩代わりしてない?自分でやった方が早いからとか、考えて、みんな自分でやっちゃうの。」 「ああ、そういうところあります。部下がモタモタしていると、『もー、何やってんの。いいよ、私がやるよ』ってつい言っちゃう。」 「それやってると、部下はいつまで経っても仕事ができるようにならないし、あなたも楽にならないよ。今、見ていてイライラしても、じっと待たないと。」 「そうかあ。その部下が他の人と組んだときに、『Oは何教えてきたんだ』って言われちゃうんですね。」 「そうそう、まさにそれよ。自分の給料が部下の10倍とかなら自分で働けばいいけれど、部下にもしっかりお給料分、働いてもらわなきゃ。」 「給料なんてほとんど違いません。そうか、そんなこと考えたことなかった。今まで上司から与えられた仕事を、とにかく自分でやる、ってことばかりだったから...。」 「例えば、何かと口答えするような若い子っているでしょ。でもそういう子って、負けん気が強いから、何かできたときに『頼りになるね』『助かるよ』って言ってあげると、次からますます張り切って働いてくれるのね。自分のやる気が出ないときこそ、いいチャンス。部下のやる気を出させて、うまく使うの。結果的に出世するのはそういう上司よ。で、部下が困っている時にタイミングよく『どうした?』って声かけてさりげなくスマートにフォローなんてしてあげたら...。」 「私の株も上がっちゃいますね。」 「もう、私がやるからいいわ、なんて取り上げちゃうと、部下には『頑張っていたのに』とか、『まだこれからこうするつもりだったのに』って思いがあることもあるよ。自分が部下だの立場なら、こうされたらやる気が出るってことを、部下にやるの。それでうまく部下を操れちゃったりしたら、どんどん面白くなるよ。」 「今日は何か、凄くいい話を聞かせてもらっちゃいました。」 彼女は感激して帰ってくれたけれど、うちの上司にもその1/10でもやってもらいたいよ、と自分で言ってて思ってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月03日 23時31分26秒
コメント(0) | コメントを書く
[うつ病] カテゴリの最新記事
|