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じゅびあの徒然日記

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2007年08月31日
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退職した。
有給休暇も認められず、ギリギリまで再来なんぞやっていて、退職する、という実感がまったくない。

タイトルの「玄関が、お花屋さん。」は、病棟や事務がそれぞれ立派な花束で送ってくれたため。
家中の花瓶に挿しても足りない上、安定が悪くてひっくり返りそう。
仕方なくバケツのままでかなりの分量が飾ってある。
近所のスーパーに出かけても、「うちのほうがスゴイ...混ぜて並べとけば、1本100円で売って儲かりそう」と思うほど、玄関は大輪のユリやバラで溢れかえっている。
匂いが強すぎて、まだ運んだ車内も匂っているし、食事をするLDにはとても飾れない。

ここ数日、病院の廊下を歩いていると、とにかくやたらに食べ物をもらった(笑)。
そのへんで出会った職員が私を呼んで、あるいは次々に職員が医局に現れ「少しだけどお土産、京都のお漬物。」「先生、岩おこし食べる?」「女はやっぱり甘いものでしょ(と生ケーキの箱)。」といろいろなものを手渡してくれるのである。
数人で「本当にお世話になったから、先生が辞めるのは本当に寂しいから、お餞別」となんと現金を包んでくれた看護師たちまであった。
看護師から現金をもらっちゃったなんて、初めてだ...。
管理職でもなく、医療ミスの口止め料でもなく、看護師から現金をもらっちゃった医者って私くらいではないか(慌てて半返しの手配をした)。
托鉢に歩けば生きていけそうだった。

いよいよ今日で最後。
急性期病棟ではおばあちゃん看護師(ゴメン)に「先生...」と抱きしめられちゃうし、慢性期病棟の看護師には「先生のフレグランス教えて!」と言われるし、駐車場で荷物を積んでいると「先生、まだ帰らないよね。寄ってよ!」と招かれるし、あちこち引っ張りだこだった。
寄せ書きの言葉の多くが「またお会いできる日を楽しみにしています」。
花束をもらう時(花嫁の母みたいだったよ...)にかけられる言葉も「必ずまたお会いしましょう」「いつでも戻ってきてください」「待ってます」。
うーん、意外に人気者だったのだ(爆)。
でもオーナーが変わらない限り、私がここへまた戻ってくることは難しいだろうな。

入院患者さんの最終診察を、全員やったりして、忙しくもあった。
そんな中、事務長に呼ばれた。
8月いっぱいで辞めるなら、年俸計算で7月に支払われたボーナスは払いすぎなので、9月の振込分から差し引くという。
私は年度途中、賞与の支給直後に入職しているので、今年度分に年俸均等割を主張するのなら、入職年度についても、精算していただきたい(数十万、私の取り分!)と要求。
そうしたらなんと、年俸制と賞与に関する考え方の問題であるが、年度いっぱい勤めたものに対して、賞与とは支払われることなので、その差額のうち1/4を支払わせていただきたい、と言い出す(賞与無し月額均等割で受け取っている医師や、年度途中入職でもタイミングで賞与を満額受け取っている医師もいるのだ!)。
「もう、そういうお話が通ると思ってないでしょう?」と私は苦笑しながら話を遮った。
「派遣医局によりそういう差がついているのですから、関連病院に名を連ねながらこういう扱いをしています、と私も大学に報告せざるをえませんね。」
事務長も言いながら、自分がいかに無茶なことを言っているか分かっているようだった。
「院長が『また』何かおっしゃっているのですか?」という私の問いに対し、彼は「少しね」とだけ答えた。
最終的に「先生の意向に添えるよう、私からも院長にお話しさせて頂きます」と彼は結んだ。

もちろん、何度か院長とも出くわしている。
「今日で最後になります。長い間、お世話になりました」と私から、表面上は穏やかに挨拶。
「おお、そうだったか。ご苦労様でした」と笑顔の院長。
病棟の入り口で出会った時も、彼は私に道を譲り「みんな、主役を待ってるみたいですよ」と腕を差し出すほどだった。
私の前では、どうでもいいような話を自分から振ってくるほど上機嫌。
だが私のいないところでは、1日不機嫌を通り越しているような顔だったらしい。
リーダーの上申(もちろん、業務上重要なことである)も無視。
私が帰りに寄る事務室で事務方が花束を用意して集結している時も、すぐその近辺のトイレ前でむっつり押し黙っていたという。
彼にしてみれば、私がこれだけ惜しまれながら退職する、ということ自体、胸クソ悪いに違いない。
笑顔の裏で、「入職時の精算?不愉快だ。そんなものを今さら払う必要はない。じゅびあに支払う金など、1円でも安くしろ」と事務長に指示しているわけだ。
私の前の笑顔は、上機嫌は、彼の意地なのだ。

帰りは駐車場を出るまで、事務のおねーさんたちが見送ってくれた。
「じゃあね、バイバイ!本当に、いろいろありがと!またねっ」と私は手を振って、出てきた。
みんなの気持ちは、嬉しかったよ。惜しんでくれて、ほんとにありがと。
辞めざるを得なくなったけど、決して現場のみんながイヤだったわけじゃないんだ。

退職金、残りの勤務の給与精算、振り込まれるまで油断は出来ない。
本当に、仕事そのものも、給与や労働条件に関するバトルも今までよく頑張った(自画自賛)。
暫く、ほんの少しだけ、のんびりさせてもらうのだ。
漢検の勉強でもするかな。





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最終更新日  2007年08月31日 23時28分12秒
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