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カテゴリ:うさぎ
バイバイ、ありがとねっ!
病院を退職する時と同じように手を振って出たところは、ペット霊園のセレモニー室だった。 るーなちゃんと、最後のドライブになってしまった。 1週間前、動物病院で、歯、爪、涙管、耳、栄養剤、輸液とフルセットやってもらって、ほんの少し、るーなちゃんは持ち直していた。 最後の数日は、起き上がって座り、自力で食事をとっていたほどだ。 昨日の、朝まで。 夜になって、「また」転んでいたので、起こし、水分を取らせようとしたが、ダメ。 フードを手に載せて勧めても、もう口を開けなかった。 子どもに小さい給水器に入れたポカリスウェットを渡し、与える当番をさせた。 交互にやっていたが、ある程度飲ませることに成功した。 だが、少し呼吸が荒い。息をするたびに頭が大きく前後に動く。 今までこんなことはなかったから、いよいよ、最期の時が近づいたのを私も悟った。 「もう食べたくない、飲みたくないんだね。じゃあ、桃しゃんはどうかな。いい匂いだよ。」 今年最後になるだろう、買い置きしてあった桃を容器に入れて出すと、よろよろしながら近づき、ペロペロと舐めている。 「ゆっくり休み、るーな」と私は明かりを消した。 今朝はもう死んでいるかもしれない、と覚悟してうさぎの部屋を開けた。 るーなは、えさ箱に寄りかかって座っていた。 もう食べたり飲んだりした形跡はなかったが、桃はいじくってあった。 下顎を大きく動かして呼吸している。相当呼吸状態が悪い。目も、半開き。 ポカリの給水器を口元に当てたが、追いかけて口をパクパクするばかり。 「もう、無理なんだね。苦しいんだね。分かったよ。でも、お昼までは、待っていてよ。」 私は間もなく勤めることになる病院に、挨拶に出かけた。 るーなと暮らし始めたのと、8月まで勤めていた病院に、当直で入ったのは、ほぼ同じ頃。 何となく、退職するまではるーなが私のことを見守ってくれているような気がしていた。 8月の終わりにめっきり弱りだし、ああ、やはり...でも8月いっぱいは、生きてくれるだろう、と勝手に思っていた。 前の病院での私の歴史と、るーなとの暮らしは、ほとんどが重なっているのだ。 昼に帰って来たときには、るーなは完全に力尽きていた。 様子からすると、私が出かけるのを見守って、じきだったようだ。 私を次の職場に送り出して、役目を終えたのだ。 本当によく頑張ったね。長い間、ありがとね。 私の中で何一つ、るーなのこと失われていないよ。 いつもいつも傍にいる。何も変わらないんだよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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