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カテゴリ:プシコ(精神疾患)な毎日
転勤に伴って、多くの患者さんが「じゅびあ先生に続けてかかりたい」と転医したことは、ここまでブログを読んでくださっている皆さんなら、よくご存知のこと。
概ね、予想通りの患者さんがついて来ることを選択したし、予想通りの人たちがそのまま残ることを選んだ。 残ることを選んだ人たちの理由は、自転車で通院しているので遠くなって通えない、私の転勤先が自宅から近すぎるために近所の目が気になる(!?)、自分は移りたいが送迎する家族が反対した、前の病院のデイケアに毎日通っている、などが主。 近すぎる(笑)、送迎家族が反対、以外は予想できたので、私も最初からそういう患者さんたちにははなから残すことを前提に説明してしまっている。 他に予想通り、と思うのは一見優良顧客だけれども、診察中の会話がいつも表面的で、私が内心「心の底では何を考えているのかわからないなー」と思っていたような人たち。 必ずしも治療期間(お付き合い)の長短によらない。 治療を開始して1ヶ月という患者さんでも、ついて来る人は、ついて来るもの。 私の方がそう思っているくらいだから、きっと向こうも同じように感じていたんだろう。 転勤を伝え、転医するか、残留するか、他の医療機関を紹介するかを尋ねた患者さんのうち、何人かが同じようなことを言った。 患者さん:「△■◎病院(私の転勤先)は、評判が悪いでしょう」 私:「えー?どうして?」 患者さん:「あそこは、重い人が多いって」 私:「ここは、軽い人限定の病院だと思っていたの?」 ...不思議だ。 世の中、高度医療設備を備えた都市部の大きな総合病院に患者さんが殺到している。 「あそこなら、重い患者さんでも診られるのだから、間違いない。」と思って。 がんセンターの場合などを除き、「肺炎だけど、あの病院は肺がんの患者が多いらしいから嫌だ」「十二指腸潰瘍で手術するけど、大腸がんの手術か多いから嫌だ」とはあんまり考えない。 伝染性疾患でもない限り、他の患者さんが何の疾患だろうと、どの程度の病状だろうと関係ない。 むしろ、プライマリで診療すべき軽い疾患でも、総合病院や大学病院に来てしまう患者さんが多くて、困っている状態。 話はそれるが、そこの医者はどうか、というと医局人事で、数年ごとにあちこちを転々としているわけで、「◎◎病院の先生だから優秀なはず、とか思ってしまう患者さんは騙されている!」といつも声を大にして言いたいと思っている。 私:「あのさ、重い患者さんを診られるっていうことはスタッフにそれだけの力量があるっていうこと。軽い人はなおさら余裕で診られるってことなのよ。どこへ行ったって、治療するのはこの私よ。場所が変わって、あなたの治療が変わるはずないでしょ。治療内容なんて、器じゃないのよ。他の患者さんがどうかってのも、全然関係ないのよ。治療方針、治療内容は主治医で変わっちゃうんだよ。」 この説明で、皆さん納得して転医を決められた。 後から思ったけれど、入院患者さんに重い人が多い病院ってことは、軽い人を外来でよく維持している病院、とも考えられるわけ。 外来でかかる分には、他の患者さんが重かろうと軽かろうと、自分は自分で全く関係ない。 たとえ入院したとしても、本当はあまり関係ない。 早く治療を進めて、早く退院することが一番大事。 軽い患者さんを、やたらにすぐ入院させたり、だらだら長く入院させて貯めたりしてる病院ってその方が問題じゃないんだろうか。 前の病院に入院したことのある私の患者さんたちは、肌で感じたはず。 自分は後から入院したのに、先に退院するグループに入れた。 周りの人たちの中には同じような疾患でも、半年、年単位で入院している人がいた。 「ここに残れば、どうなるか。もし悪化した時に入院させられた場合、主治医によっては違う方のグループに入ってしまうかも」ということは私の患者さんにとって大変な恐怖だと思う。 たとえば、見掛け上の器がこぎれいだから、という理由でも医療機関を選んではいけない。 何のために入院するか、ということをもう一度考えてほしい。 病棟に、長く住み続けるつもりなら別だが。 これがまた大学病院とかだと病棟がどんなにぼろくて暗くても、患者さんも家族も、「やっぱり歴史と伝統があるのねえ」ってことで納得してしまうから、不思議なんだよね。 入院した時の担当医は、ほとんど精神科経験1年目、2年目という先生たちになるはずなのに、私なんかよりずっと有り難く見えるらしいね(若い先生たちを育てることはとても大事なので、患者さんがガンガン大学病院にかかって下さることは、むしろ医者の側からして有難いことなのだ)、愚痴だけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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