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じゅびあの徒然日記

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2007年11月08日
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たとえば、貧血。たとえば、痛み。
身体疾患が疑われるけれど、精神科単科の病院では検査しきれない、もしくは私では判断できない、薬剤のラインナップがなくて治療できない患者さんを、総合病院へお願いすることはよくある。

ある患者さんを、肝機能障害で総合病院消化器内科へ送ったが、治療終了で帰されてきた。
どれくらいのデータに戻ったのかな、と念のためすぐに採血すると、転院前より貧血が一気に進行している。
食事もあまり摂れないので、体重が減少している。
消化管出血、消化器系の悪性腫瘍、疑わなければならないものが沢山ある。
どうして気がつかないのだろう。どうしてそのまま帰してしまうのだろう。
肝機能障害の治療目的で送ったら、それだけ診て終わり、ということなのか。
仕方がないので再度外来受診させると、一日がかりで、帰されてくる。
今度は外来で検査すると言われる。
しかもその検査は、上部消化管内視鏡が2週間先、大腸内視鏡が1ヶ月先。
その間、精神科の治療を優先できず、検査を待つためだけの入院。
食事の摂れない患者さんは、どんどん動けなくなる、衰弱してきてしまう。
家族は遠い病院までの往復、そして「行っても何もしてくれないこと」に不満げ。
その不満は、ご機嫌を損ねるわけに行かない総合病院の担当医師ではなく、言いやすい私にぶつけられる。
「とにかく食べられるようにしてもらえなければ、心配だ。動けなくなってしまうんじゃないのか。このまま弱らせるつもりか。このままの状態では家族は連れて帰れない。ここに置くしかないのだ」
私も何とかしてあげたいと内心頭を抱えているが、如何ともし難い。

原因不明の貧血と、重度の腎機能障害で総合病院へ送った患者さんは「うちで検査をしても判らないから、お前のところに置いておいても同じ」と帰されてきた。

重症肺炎で送ったある患者さんは、「うちで治療しても改善は見込めず、家族がそちらで最期まで診てもらうことを希望したため」と帰され、1週間以内に亡くなった。
設備の整わない医療施設で看なければならない苦悩。
せめて少しでも楽にしてあげたいが、私の内科的な力量と、設備、薬剤の問題で無理。
本人も苦しい最期だったに違いない。

消化器内科に受診させた患者さんが「これは消化器疾患ではなく、肺炎ですから」と帰されたこともあった。
「そのまま隣の呼吸器科に依頼していただけないのでしょうか」と尋ねたら、「消化器科と呼吸器科は別々で関係ない。それは改めて自分で依頼しろ」と言われた。
仕方なくまた同じ病院の呼吸器科に数日後(にしか入れてもらえない)予約を取り直して、家族、職員を付き添わせる。

院外受診も、軽いうちにかければ「こんなものでいちいち送ってくるな」「精神病院でも診られるでしょ」と叩き返され、もう限界のところまで見極めてかければ「どうしてこんなになってから連れてくる。看護や主治医は何をしていた」と怒られる。
これくらいなら入院させてくれるだろう、これくらいまで悪くなれば総合病院で診てくれるだろう、そのタイミングを考えなくちゃならないってこと自体、おかしい。

すべて、一流と呼ばれる総合病院の話。
そこへ行けば腕のいい先生がいて、地域で最高の医療が受けられる、と信じる患者さんたちがある時は列を成して、ある時は波のように押し寄せるような医療機関。

どこが一流だ、と私は鼻で笑うのだけど。
人道的におかしい、倫理に悖る、ということに気づかないのだろうか。
そういう当たり前の感覚ってないのだろうか。
自分や自分の身内が、そんな風に扱われたら、とは感じないのだろうか。





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最終更新日  2007年11月08日 11時23分24秒
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