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カテゴリ:プシコ(精神疾患)な毎日
今週末、精神神経学会の専門医試験(口頭試問)が行われる。
半年ほど前に提出したケースレポート3例について、いろいろ質問されるらしいが、特に準備はしていない。 一生懸命取り組んだケースなので、まあ普通にやれば、答えられるはず...(と思う)。 先ごろ新聞で各科の学会認定医・専門医試験において、症例の捏造や、同一症例の複数医師による使いまわしなどが問題になっていた。 今まで精神科には、「専門医制度」はなかった。 精神保健福祉法に基づいて、強制的な入院や行動制限を行う資格である、「精神保健指定医」が、ある程度精神科医としてのキャリアや力量を示すものと考えられるから、専門医・認定医制度は不要であるという考え方が、根底にあったように思う(それ以外にも、専門医制度を巡ってはかつて様々な紛糾があったのが、いかにも精神科らしい)。 しかし時代も進んで、精神科ばかりが専門医制度がない、というわけにもいかなくなったらしい。 学会の「人と資金集め」という側面もある。 他の学会に比べて、精神科医は学会の正会員になっている率が低かった。 一番メインとされる日本精神神経学会ですら、だ。 学会を催しても、人が集まらなくては話にならない。 お金も集まらないと話にならない。 さて、今回の専門医、申請時に3万、ケースレポート提出時に4万、合格時に3万だ。 合計10万円、日本全国の、精神科歴3年以上の医師ほとんどが、支払って取得することになる。 今回の試験は「過渡期」の試験だが、これから研修規定に定められたすべての経験(例えば定年退職後クリニック開業した有名大学元教授が、今から激しい入院の症例を●例集めよ、と言われても困ってしまうのはお分かりいただけよう。長年に渡って精神医学に貢献してきた先輩方に、資格を与えないというわけにはいかない)をしろと言われたら、えらいことになるので、これまで学会に無関心だった「ほとんど」の精神科医が駆け込み入会、駆け込み申請をしたのだ。 この専門医制度、平成21年度末に正式の専門医証が適格者全員に送られるまでは、医療機関に標榜もできない。 それだけの人数の試験、レポートチェックが一度にできるはずはないから、何回かに分けて行うことになる。 そのため早く試験の順番が回った人と、遅かった人の間で不公平がないようにとのことらしい。 過渡期の試験ということで、ご高齢で、何をお話になっているのかわからないような先生(どっちが患者だか分からないほど呂律が回っていなかったり、タバコを持つ手が震えていたりする先生は実際にいる...)でも、資格をもらえるわけなので、口頭試問と言っても、写真と顔を見比べて本人と確認するくらいの目的か、と高をくくっていた。 いろいろ質問されたとしても、「本当にそれが、受験者自身きちんと診療した症例である」とわかる程度に答えられればいい、訊いてもらえればそれくらい伝わるはず、と思っていた。 しかし、面接官により当たり外れがあるらしい。 ある病院の院長は、3例のうち当然これは選ばれないと思ってヤマを張らなかったケースについて15分間鋭いツッコミをされ続け、青ざめたとのことだった。 それを聞いて、多少診断基準とか丸覚えしたほうがいいかな...とも思ったけれど、レポートを読み返しても何を準備して行けばいいかが分からない。 ...まあいいやって。 この専門医、取得するのはいいけれど、資格を維持するのがまた大変。 5年に一度更新されていくのだが、有効期限5年間のスタンプカードに600ポイント集めなくてはならないそうだ。 例えば精神神経学会に4時間以上出ると90ポイント、1回の学術総会で300ポイントを上限に...など。 他にも救急学会とか、うつ病学会とか、診断学会とかポイント対象学会がいろいろあるが、これらにはいくら出ても60ポイント止まりしか得られない。 年に1回ある、精神神経学会本会へ、5年のうち1~2回は出かけないと厳しいということ。 医師が複数いる病院であれば持ち回り交代で数人ずつ、クリニックの一人しかいない先生なら その期間診療を休んで、出かけなければならない。 東京や大阪などでの至便地での開催ならまだいい(といっても北海道や、沖縄の先生たちはどうするのだ!)が、前泊が必要な多少マニアックな土地で開催される年もある。 日本中の精神科が、手薄になる3日間が年に1回ある、ということになるのですぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年01月25日 19時21分00秒
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