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じゅびあの徒然日記

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2008年04月11日
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カテゴリ:カラダの病気
4月に入って、母の症状が少しずつ、目立ち始めた。
肺がんの、脳転移。転移巣の周りに生じた浮腫が引き起こす、せん妄の症状だ。
状態が分かってから、2年半。
原発巣にはイレッサもよく効いてくれて、動きはない。

だが脳転移にはあまり効かない。
母の脳転移も複数あり、新しく出現する度、ある程度大きくなる度、放射線治療をしてきた。
今度は以前に放射線治療をした箇所が大きくなってきたため、同じ場所にもう一度かけることができないのだそうである。
とにかくできるだけ症状を緩和するため、少しでも長く自宅で生活を送るため、薬でやれることを、とステロイド内服薬の投与が始まった。
脳外科の先生からそれが告げられたのと、私が症状を感じ始めたのと、時期がぴったり一致している。
今まで以上に感染に気をつけなくては。

ひとつひとつは小さなこと。
家の雨戸を閉め忘れるとか(2年半前もっとひどかった時は開けることも忘れ、1日中暗い部屋の中で過ごしていた)、セ○ムやドアチェーンをかけ忘れるとか。
台所の三角コーナーに、ごみ捨て用の網が入っていないとか(2年半前、ごみを捨てるだけで大変で、次の網を入れることがしんどくてできないと逆ギレしていた。網をセットしないから、ごみを捨てるのが大変になるのに...)。
薬やレシート、DMや洗濯バサミの入った紙袋が家の中のあちこちに落ち始めるとか(先週日曜日、部屋の真ん中に2個落ちているのを見てついに来たかとゾッとした。ひどくなると、どんどん数が増えて行く。母はやたらと「忘れないように」と紙袋に入れて、そのへんに放置するのだ)。
他の優先すべき作業があるにもかかわらず、朝一番に起き出して、お金の計算をずっとしているとか。
洗濯物を干すのを忘れたり、干したことも忘れたり、私がとりこんでおくとまた洗濯機に入れてしまったり。
調理をすると、冷蔵庫に野菜がたくさんあるのに、肉と魚のものばかり出したり。
夕食後、「疲れるから」とソファに横になってすぐにうとうとしてしまい、とんでもなく遅い時間に起き出して、風呂に入ったり。

母が眠ってから私はリビングへ降りて、ごそごそ洗濯物干しや施錠確認、洗い残した調理器具の洗浄、食器洗い機の中身の片付けなどをするのだ。

外来日なのに朝ギリギリまでばたばたこれらをやっていたら、「どうせ私は役に立たない、この家にいない方がいいのね」と逆ギレされ、大変なことになった。
この私が「ばたばた家事をやっている」ということ自体を、被害的に受け止めるのである。
それで夜中にやることになったのだ。
母はその日私が出勤時間ぎりぎりまで、いや遅刻ラインを越えて家にいたことに気付きもしなかった。
食べるつもりの自分の朝食を置いたまま家事をしていたら、「早く片付けをしろって言ったから」と捨てられていたのは本当に頭に来た。
多少無理をして(すみませんでした)、どうにか診察開始時間には間に合った。
診察は普通にやれた。患者さんが次々に、仕事への、日常生活への不満を話す。
呼吸を整えながら、相槌を打ちながら、「無理ないよねえ」と笑顔で話しながら、「そんなことくらいなら、まだたいしたことないぞ」と心のどこかで思う冷めた私が診察室にいた。

4月の医局会議で「家庭の事情で5月から当直を降りさせていただく」と突然宣言したため、「当分の間なのか」「ずっとなのか」などと事情を知らない一部の医師に詰め寄られたが、返事のしようがなかった。
「母が死んだらやれます」とか、「入院したらやれます」とか、答えるわけにもいかない。
事情を知っている院長が「とにかく、他の先生で一度埋めておくように」と言ってくれたので、その場はとりあえず済んだが...。

今日母は私を呼びとめるのに、名前がどうしても出て来なかったそうで、私のことをこう呼んだ。
「ちょっと、ぶーちゃん」
いくら私がまるっこいからって、それはないだろう.....。





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最終更新日  2008年04月11日 23時39分47秒
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