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じゅびあの徒然日記

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2008年06月10日
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カテゴリ:事件
秋葉原の事件は、患者さんたちにも大きな影響を与えている。

「外をおちおち歩けませんね。武装しないと...防弾チョッキとか。」
「今まで日本は治安が良すぎた。これから先は悪くなることはあっても、よくなることはないと思う。」
これは決してシゾ(統合失調症)の患者さんたちの妄想ではなく、まぎれもない現実なのだ。

「自分も頭が急に変になって、突然何人もの人を殺したくなったりするんじゃないか」と不安になったり落ち着かなくなったりした人もいた。
...いや、実際は決してそんなことをしそうにない患者さんなんだけれど。

犯罪心理学のことは、私にはさっぱり分からない。
だが多かれ少なかれ、自分にとって何の利益にもならない無差別殺人を引き起こした容疑者は、何らかの精神変調をきたしていたと思われる。
彼が交差点の人波にトラックで突っ込んだ瞬間、アドレナリンがドーンと放出されて、異常な興奮や陶酔感を味わう、一種のトランス状態だったことも比較的容易に想像できる。
現実感なんて、なかったんじゃないか。

そしておそらく将来、裁判で彼についた弁護人が、減刑のために精神鑑定を要求するだろうということも、予想できる。
私が精神鑑定が必要と思っているということではない。
それが彼ら弁護人としての職務だから。

これまでに被告自身が、過去に精神科治療を受けていたことを盾に「俺は精神病だから、精神鑑定を受ければ罪に問われないはずだ」なんて言い出すケースもあっただろう。
自分で精神鑑定を求められるだけの能力がある被告に、精神鑑定が必要なのかは疑問。

私は、精神障害者の権利を守る立場にある。
それは間違いない。
精神に障害のある者が、その障害によって犯罪を引き起こした場合には、刑罰でなく、治療を受けさせる側の職務についている。

だが、微罪ならともかく、一人の人間として、「これは許せない。厳刑で当然」「罪もない被害者側は泣き寝入りなのか」「精神障害者だからと言って、帳消しや割引になるのはおかしいのではないか」と思えるような犯罪は、やっぱりある。
もちろん、精神障害がないはずの、健常と言われる人たちの犯す犯罪の方が、よほど多いんだけどね。

きっと、このような社会的事件で精神鑑定を請け負った先生たちは、口にこそ出せなくても、職務と一人の人間としての感情や倫理観との間で、板挟みになるに違いない。
精神科医は被告や犯罪を裁く立場にないのだ。

個人的には、これは本当に個人的にはだが...。
社会的に有名になるほどの重罪を犯すと周囲から保護され、もっともっと微罪を犯した人たちが一生その罪を背負って生きていくということに、何とも言えないやりきれなさも感じるのだ。





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最終更新日  2008年06月10日 20時08分08秒
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