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じゅびあの徒然日記

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2008年06月23日
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患者さんは、錠剤の数の増減に、敏感だ。
薬が増えるのを嫌がって、調子が悪いことを隠そうとする患者さんもいれば、錠剤の数が増えただけで、服薬を拒否する患者さんもいる。

実際には、「錠剤の数≒薬の強さ」ではない。
例えばヒルナミンと言う薬があるのだが、病院での採用は、50mg錠、25mg錠、5mg錠となっている。
当然、5mg×4錠<25mg×1錠なのだから、数に惑わされるのはナンセンスだ。
大きい薬も嫌われるが、セレネースのように1mgより0.75mgの方が大きい薬剤もある。
どうしても「薬の見た目」が増えてしまう場合、気にする患者さんにはそのへんを説明して、調整を行う。

入院患者さんでは、いちいち知られずに薬剤の調整を行うために、散剤を使うこともある。
初発で来院した患者さんや高齢者の場合、いきなり十分量の薬剤を使わず、数日間少量投与して副作用などの様子を見ることがある。
初期投与量が少ないだけなのだが、適切と思われる量まで増やすと「薬を増やされた」「こんなにたくさんの薬をのみたくないから、元に戻してほしい」と言われてしまう。
私が何をどう説明しても、「薬が増えた。つまり自分は入院してからさらに状態が悪くなっている」とショックを受ける患者さんもあるので、それを防ぐためというケースもある。
全部を散剤にできない場合は、胃薬やカマなどの下剤を使っておいて、そこに散や顆粒の向精神薬を加えて微調整するという手も使う。

もちろん、患者さんの精神症状がよくなって、主治医の説明を概ね理解できるような状態になれば、こんな小細工はしない。
薬剤情報提供書を出している外来患者さんにもしない(概ね理解して服薬しているという前提だ)。
原則、病識がなく、治療に同意できず、服薬に対して拒絶的な患者さんに対してだけである。
隠れて食事に水薬を入れることなどは、後から治療関係が成り立ちにくくなるので、嫌いなのだ。

「じゅびあ先生は、入院初期にマーズレンとムコスタなんて胃薬をWで入れているけれど、鎮痛剤や風邪薬と同じで、胃薬はたくさん使った方がいいのか?」と尋ねられたことがある。
これは、薬の増量に抵抗しそうな患者さんで、後から必ず錠剤の数が増える場合に入れ替えて使う、いわば「遊び玉」だったりする。
顆粒や散剤も調整できるよう、顆粒の胃薬も入れている。
使っているのは全てマルメの病棟だから、はっきりと言えるが、儲けるためではない。

薬嫌いのうつ病のおばあちゃんが、「ふらつきがひどくて薬を減らしてください」とおっしゃったので、毎食後1錠ずつ胃薬を減らしたら、「すごくよくなりました」と言われたことがある。
こういうプラセボ効果にも使えるのである。

処方変更を嫌がる患者さんに、どうしても薬を錠剤にしてほしい、と迫られ、全て錠剤にした時は、最初からわざと細かい錠剤で数を目一杯多くした(2mg錠があるのに、わざと1mg錠で数を増やす、というように)。
後から可能な処方調整の幅を、広くとっておきたかったからだ。
内科の降圧剤が1錠朝についているが、これだけでも「朝1錠多い」と不満げだ。
そのため、朝昼夕と錠剤を不均等分割して、見てくれの数は揃えてある。

一方で、沢山薬をのみたがる患者さんがいる。
例えば、睡眠剤が沢山ないと、眠れないと信じている患者さん。
こういう患者さんには、めちゃめちゃ刻んで細かい錠剤を出している。
「こーんなにのんでいるのよ」ということが効き目になるケースもあるのだ。

若い先生たちに、こんな手を使っているのよ、とバラすと、「凄いですね」と驚かれるのだが、こんなことは誰でもやってないんだろうか。





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最終更新日  2008年06月23日 22時00分58秒
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