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じゅびあの徒然日記

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2008年10月31日
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カテゴリ:カラダの病気
90代の施設ショートステイ中、という女性が、家族とケアマネに連れられてやって来た。
大腸癌で下血して入院した他の総合病院を退院してから、日にちが浅いのに紹介状も持参していない。
本人は寝たきりで家族の受付手続きより先に処置室に運ばれ、看護師がバイタルを測ってくれた。
血圧も低いし、動脈血酸素飽和度も90パーセントを下回るほど。
本人は声をかけても無反応で、もう意識が混濁している。
全身土気色で冷たく、すごく素人的な言い方をすれば、「この人、生きてる?」というような印象。

カルテ作成も済んでいないし、家族が予診(診察の前に、これまでの経過や家族歴、既往歴などをざーっと聞き出す。おもにワーカーさんが行う)にも入っていないので、先に出て行って、「全身状態が非常に悪いようだが、これは内科なり、退院した総合病院の診察を先に受けるべきではないか」と説明した。
家族の記入した診察申込書には「ショートステイ先で大声を出し、これでは看られないと言われたため、精神科治療をお願いしたい」とあったが、この状態では鎮静をかけようもない。
精神科病院では身体の詳しい検査を行うことはできない上、先日退院したという総合病院からの診療情報も全くない。
まるっきり中の見えないブラックボックスなのである。
その時間から予診でお話を伺い、先に精神科診察や検査、投薬を行うと3時間近くかかって、午後に入ってしまうため、総合病院への受診が難しくなるのだ。

ところが家族とケアマネが、断固精神科診察と処方をしろ、と譲らない。
この状態で、さらに鎮静がかかる向精神薬を使用すれば、さらなる血圧の低下と呼吸抑制が出現する可能性があり、使える状態ではないことも説明した。
しかし、家族は退院した総合病院には止血してすぐ追い出されたので、絶対にもうかかるつもりはない、他にも以前から心臓疾患などで受診していた総合病院があったが、そこも認知症があるからと下血の時に引き受けてくれなかった、1ヶ月前に受診した老人病院では身体は何ともないと言われた(その後大腸癌で下血しているのだが)、などと言い、しまいには「お前は診察を拒否するのか」と怒りだした。
退院後自宅では介護できないためあちこち施設を当たったが、ほとんど大腸癌のために断られ、現在のショートステイ先がようやく見つかった、その施設に看られないと言われれば行き先がない、それでも薬を出さないと言うのか、とエライ剣幕。
施設の嘱託医が前日も安定剤を使ったが全く効かず、「精神科へ行け、ついでにそこで身体も診てもらえ」と言ったのだそうだ。
ケアマネも、順番が違うことは分かったので、この後内科にかかるが、どうしても先に精神科診察をしてもらいたい、と粘る。

...そういう問題ではないんですけど。
大声もへったくれも、本人もう意識低下してきてるし。
このままここにいたら(うちに入院したとしても)、死んじゃうよ。
意を決して、強硬な態度に出た。

これ以上の鎮静は本来必要ないが、家族の陳述を信用して向精神薬を出したとする。
高齢でもあることだし、それを服用したことによって全身状態の更なる悪化、場合によっては突然死することがあるかもしれないが、当方は責任をとれない。
ここで待っている間にも、急変する可能性がある。
私は内科的なことは分からないので、当院では一切身体に関する対応はできない。
それでも構わないという覚悟がおありになり、どうしてもとご家族がおっしゃるのであれば精神科診察を先に行う。

一瞬家族は迷ったようだったが、その後施設の嘱託医(内科開業医。本来そんなところにかかるような悠長なレベルではない)を受診して、向精神薬の服用が可能か尋ねるので、とにかく大声が出ないようにしてもらいたい、診察と処方をしてもらいたい、と強く希望した。

早く結果を出すために検体検査と頭部CTを先に行い、ワーカーが家族から話を訊いている間にも、さらに血圧が10低下し、下は測定不能に。
動脈血酸素飽和度も60台まで下がってきた。怖い。
「とにかく早く回して!本当にここで死んじゃうよ!」
採血結果も90歳代とはいえ非常に悪く、本当に先日まで総合病院で手厚いケアを受けていた人なのかと思えるほど。

なんていうか、もう大腸癌の末期だったのだと思う。
急に興奮や暴言が出現したのも、意識が混濁し、ご臨終前のうわごとみたいな状態に入ってきたのだと想像する。
身体疾患の悪化に伴う、せん妄の悪化である。
施設もこんな人を看られないと言っているが、本人は寝たきりで徘徊もできない。
他の入居者の所へ出向いて迷惑行為を行える状態ではもはやない。
問題は産科医だけでも、医師の数だけの問題でもなくて、医療も、介護も、ここまで士気が下がっているのか。

結局、一分でも早く家族を納得させ、身体科を受診させるために最小限の投薬をした。
あの女性が実際にこの薬をのめることはないだろう、と思いながら。
1週間後の予約には現れなかったから、やはりあのまま....だったんだろう。





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最終更新日  2008年10月31日 17時33分09秒
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