3のつく数字と3の倍数の時だけ...。
昨日のブログで48時間の壁の話を書いたが、これを連休や土日を挟むケースが3日、と考えると、3週間、3ヶ月、3年...このあたりに精神科治療の節目があるように思う。統合失調症初発の急性期で、幻覚妄想状態が大火になっている場合、入院でこれらを鎮火させるのにかかる時間が、2週間~1ヶ月(中央値が3週間くらい)。抗うつ薬を開始し、シンプルな内因性うつ病など非常に反応の良い人だと「かなり楽になりました」と言われるのも3週間。ここで全く状況が変わらないか、悪化傾向であるなら、薬剤の種類や量を再考しなくてはならない。統合失調症の急性期入院で、試験外泊を繰り返し、ある程度服薬理解ができて、「これくらいなら外来でやってみましょう」と退院に持ち込めるタイミングが3ヶ月。院内で再燃したりして手こずるケース、退院しても自宅へ帰ると維持できず、再入院を繰り返すケースは倍をみて6ヶ月が目安か。自律神経症状や、睡眠障害、抑うつ感を訴えてくる人で、短期の治療で勝負ができるケースはほとんど3ヶ月くらいでよくなって、勝手に外来に来なくなってしまう。次の節目は、少し飛んで、3年。残念ながら、1年、2年という節目はあまりなくて、3~6ヶ月までと、それ以上との間には大きな溝がある。罹病期間が6ヶ月を境に「慢性疾患」となるのは、理にかなっていると実感する。私には前の職場から継続して外来診療しているうつ病の患者さんが多くいたが、ここのところぐっと減ってしまった(今の職場はうつ病よりも圧倒的に精神病圏の患者さん比率が高い)。というのは、私の診療開始から3年を超えた患者さんたちが、続々と治療を卒業していったのである。仕事のため、家庭のため、細々と内服を続けたい、という患者さんもある。だが、新婚さんで挙児希望、と言う20代の女性など、どうしても寛解に持ち込んで、一度服薬なしの状態にしたかった。仕事のため、という人はそうでもないが、家庭のためにと細々と服薬を続けていた患者さんが勝手に脱落していくのも、3年だ。もちろん、みな減薬には時間をかけたし、最終の維持量で半年くらいは様子を見て、治療終了となっているのであるが。...念のため言っておくが、同じうつでも躁うつ病の患者さんはリチウムを永続的に服用した方がいい。統合失調症は言うまでもない。糖尿病や高血圧の薬と同じ、と考えてもらった方がいいと思う。時々「半年経ってもよくならないのはお前の治療が悪いんじゃないか」と怒りだす患者さんがあるが、マスコミの言う「うつ病は治療すれば半年でよくなる」は嘘。まあ、3年は辛抱強くね、と言いたいのが本音だ。3年を超えてちっともよくなりません、という場合。次の節目は13年なのか、30年なのか、まだそれだけ同じ患者さんを最初から継続して治療したケースがないので、私にとって未知の領域である。