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子供がストレス状態にあるとき、そして周囲の環境や状況が変化した瞬間のホメオスタシスのタイミングでは、顕在意識が弱っているので、お母さんの言葉が暗示として潜在意識の中に入り込み、長期にわたって影響を与えます。ネガティブな暗示もそうですが、当然ポジティブな暗示に関しても、『逆もまた真なり』ということになります。これは『ピグマリオン効果』と言って、教育心理学で言われている現象で、その名前はギリシャ神話の「変身物語」に登場する、ピグマリオン王が恋い焦がれた女性の彫像がその願いに答えたアフロディテ神の力で人間化したという話に由来します。

サンフランシスコの小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストと名づけた普通の知能テストを行ったのですが、学級担任には、今後数ヶ月の間に成績が伸びてくる学習者を割り出すための検査であると説明しました。

しかし、実際のところ検査には何の意味もなく、実験施行者は、検査の結果と関係なく無作為に選ばれた児童の名簿を学級担任に見せて、この名簿に記載されている児童が、今後数ヶ月の間に成績が伸びる子供達だと伝えました。

その後、学級担任は、子供達の成績が向上するという期待を込めて、その子供達を見ていたが、確かに成績が向上していったということです。

また、プラシボ効果と言われているのが「偽薬」の効果です。アメリカのある大学病院で、悪性腫瘍の患者数名に対し、手術を行ったのですが、半数の患者は腫瘍を除去し、半数は何もせずに閉じ、その後の経過をみるという実験を行ったそうです。その結果、腫瘍を除去しなかった半数の患者も、除去した患者以上に予後の経過が良好で、完治した患者もいたとのこと。

そう考えると患者に対しドクハラ的な、患者の不安を煽ったり、患者の感情的な訴えを邪険に扱うような対応をする医師は、殺人罪にも匹敵するような責任があるのだと実感します。

テストでがっかりしているような時の子供は、がん宣告を受けた患者には及ばないでしょうが、ストレスに押しつぶされそうになっているに違いありません。そんなときのお母さんの一言は、子供を大きく変え、入試の結果をびっくりするような素晴らしい結果に導くことでしょう。悪性腫瘍ですら治ってしまう言葉の暗示の力です。子供をやる気にさせるなどはいかに簡単なことでしょう。この効果は、特に思春期前の子供であれば、医者や教師以上に『愛着対象』であるお母さんの言葉の方が絶大な力を持ちます。

もちろん子供の能力とは、先天的なものもあります。しかし、その先天的なファクターには「成長の傾向」や「早さと遅延」はあるものの、それは絶対的な能力差ではありません。また、「能力」と言われるもののうち、ほとんどが後天的であり、環境によって左右されることは、双生児の研究などからも大脳生理学的にもはっきりとわかっています。

特に親子の間の愛着のスタイルや声掛けの内容によって、中学受験においては子供は開成にも受かるし全滅もするという事です。お母さんは子供の催眠術師であり、魔法使いなのです。

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