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テーマ:日本的なるもの(437)
カテゴリ:陽明学
一 心友問う。貴老の書を見て、口ではあざけりそしりながら、 心にはひそかに取り得てみづからのまどいをわきまえ、 我心より出〔い〕でたるように人にも教〔おし〕うる者侍り。 書をあらわし侍るにも、貴老の書の筆法発見多し。 しらざる者はいづれをさきともわきまえ侍らじ。 貴老は秘して出だし給わず、とり用うる者の書は出で侍れば、 かえりて末〔すえ〕や本〔もと〕に成り侍らむ。 云う。いにしえより実徳ある人にはにせがたし。 予、不徳にて、言語のみなる故に、人の取ることやすき也。 夫〔そ〕れ有徳には、親炙〔しんしゃ〕する人、其の化をこうぶれり(蒙ぶれり)。 文明の時は有徳の人なれども、言説を以て世の惑〔まど〕いをひらく功あり。 予が言としられて世に益あらんも、人の言と成りて助けあらんも同じ事也。 予が言はなお人の言のごとく、人の言はなお予が言のごとし。 共に天の霊明より生ず。 たとえ取り用うる人あしき心ありとも、聞く人はまどいを弁〔わきま〕うべし。 其の言によりて吉利支丹ごときの左道にまどわざる風俗とならば幸甚なり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年12月19日 08時10分50秒
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