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テーマ:日本的なるもの(437)
カテゴリ:陽明学
一 旧友問う。貴老、いにしえ士官の時(※備前池田藩士官の時)、 罪人あれども吟味もし給わず、殺すべき者をも助け給えり。 和に過ぎたると申す者あり。 云う。野拙〔やせつ〕は、むかし風にて、当世の風にはあい侍らず。 むかしの武人は人を大切におもいて、理屈をやわらげ侍れば、 罪科〔ざいか〕に行うべき者をも、又よき所あるものなれば、 おしみてかくし置き、我と悔いさとりて改めんことを欲せし也。 世上の理屈を以ては殺すべき者なれども、 其の身に成りて見ればことわり(※理由)もありながら、 命〔いのち〕をおしむ様なるゆえに、黙してことわりをいわざる者有り、 其の心を察して助け有り。 今は世間無事なる故に、理屈を専らにして人を愛せず。 罪〔つみ〕過〔とが〕をもとめ出〔い〕だし、理屈を以て穿鑿〔せんさく〕せば、 直〔す〕ぐなる人は多くは侍らじ。 世間さわがしく国家あやうき時は、用も立つべき者をば、何事をも見ゆるし、 言葉をやわらげて頼むもの也といえり。 俄かにひきかえてはみぐるしかるべき事をおもえば、 かねて有事・無事一つならんことをねがい有り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022年04月15日 06時10分20秒
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