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2022年05月12日
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カテゴリ:陽明学
 
 一 同志の人々の書を読むこと、心を用いて書を読むか、書を以て心を読むか。
多くは書を本〔もと〕として心を末〔すえ〕とし、
書の文義を解せんことを求めて心をわするるならん。
陽明子、是〔これ〕を食にたとう。
食は此の身を養うもの也。食〔しょく〕しおわりては消化すべし。
若〔も〕し食〔しょく〕積みて消〔しょう〕せざれば病をなす。
後世、博文多識、胸中に滞〔とどこお〕る者は食傷の病也といえり。
故に、よく書を見る者は、かたはし(片端)より解せんとせず、文義にくるしまず。
只〔ただ〕書によって自己の心を説き得て悦ぶところを楽しむ也。
知り得れば本〔もと〕知るべきことなし。さとり得れば本さとるべきことなし。
知覚は知覚なき所に至らんが為也。
しかれ共〔ども〕、知らざるときは淪埋〔りんまい〕す。
 
 問う。先言往行を識〔しる〕してたくわうる(蓄うる)といえるはいかむ。
 
 云う。本〔もと〕立つときは、知識たすけと成るべし。
末〔すえ〕によるときは、知識〔ちしき〕累〔わづら〕いをなす也。
此の身を養うを以て主意とする時は、飲食みな助けとなり、
味わいを好むにながるる時は、病を生ずるがごとし。





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Last updated  2022年05月13日 21時53分52秒



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